世界地図の分野から必ず出題される時差問題。簡単な解き方教えます!!
世界地図と切っては切れない関係にある時差問題、入試においても必ず1題は出ると言われるほどですが、コツさえ押さえてしまえば簡単です。しかし、時差問題で悩んでいる人は案外多いはず。時差が生まれる要因と説き方を簡潔に説明します。この記事を読めば、どんな時差問題にも対応出来るはず。時差問題に苦手意識を持つ人は必見です。
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時差問題はメルカトル図法とセットで覚える
時差問題は必ずと言っていいほど、メルカトル図法の地図に関する出題と共に問われます。逆に言えば、メルカトル図法の地図をマスターしていないと、時差問題は解きづらいということになります。まずは、メルカトル図法の地図からおさらいしましょう。
メルカトル図法とは?
メルカトル図法の地図は、緯線と経線が垂直に交わっている地図です。地図全体は長方形で、その中に世界の国々が描かれている、普段から私たちが目にしている世界地図です。ですから、何も恐れることはありません。今回、時差の問題で注目してもらいたいのは経線です。この経線を読み取り、問われている地点の経度がすぐに読み取れるようにしましょう。何故なら経度と経度の差が時差になるからです。
なお、意地悪な問題では経線に度数が書かれていません。この場合は、本初子午線及び日付変更線にマーカーを入れ、その間に何本経線があるかを数え、計算してください。日付変更線は本初子午線から180度離れている(地球が球体をしていて、その半分なのですから暗記せずともわかるはずです)わけですから、180を経線の本数に応じて割ってください。そうすればそれぞれの経線の度数はすぐにわかります。もちろん、本初子午線を挟んで東側が東経、西側が西経です。
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時差問題のポイント解説
地球は東回りに24時間で1週しています。太陽は東から昇り、西に沈むのですから、誰でもわかると思います。つまり、東の地域ほど早く朝がやってくるのです。東の地域とは東経の地域です。日本は東経135度にありますから、西経に位置するアメリカ大陸よりも早く「新年を迎える」わけです。これは基礎知識として覚えてください。
次に経度ごとにどれほどの時差が生じるかです。これも簡単な計算で求めることが可能です。24時間で地球が360度回るのですから、360度÷24時間=15度/時間となります。つまり、15度ごとに1時間のずれが生じます。なお、時差問題はあくまでも計算上で求めることの出来る形式的なものですので、実際の各国が定める標準時子午線を覚える必要はありません。その地点の経度に素直に従ってください。また、計算で割り切れないような経度差は出題されませんので安心してください。とにかく、以下の2点を最低限覚えましょう。
時差を求めるポイント
- ある地点から東へ進むほど時刻は早くなり、西へ向かうほど時刻は遅くなる
- 経度15度で1時間のずれ。
経度差の求め方
次は経度差の求め方です。地図上に地点が書かれている場合は、経線の数を数えればわかります。また、文章で示されている場合は計算で求めてください。例えば、東経135度の明石と東経77度のインドのニューデリーの経度差は55度です。もちろん、15で割り切ることが出来ないので、実際にニューデリーが出題されることはないでしょう。
ちょっと難しいのは東経と西経を跨ぐ場合です。例えば東経135度の明石と西経118度のアメリカ、ロサンゼルスとの経度差を求めなさいと言われた場合、悩んでしまう人がいます。おそらくそれは、経度0度となる本初子午線が中心にきた世界地図を頭の中に描けていないからと思います。もし、そのような地図が描けたら計算は簡単です。イギリスが中心の地図を思い浮かべてください。日本は東の端っこの方、アメリカは西側に来ます。
するとどうでしょう、簡単に経度差は求められるはずです。本初子午線を中心に東へ135度、そして西へ118度ですので、経度差は135度+118度で253度ということになります(※15で割り切れるようにするため、試験で出題されるときは、ロサンゼルスは西経120度になっています)。この考え方が、実は非常に重要なのです。
時差の求め方
いよいよ本題の時差の求め方です。ここまで読めばなんとなくわかると思いますが、実際に例題で確認してみましょう。
問題1 東経135度の明石が1月1日午前6時のとき、ロンドンは何月何日の何時でしょうか?
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まずは経度差からです。ロンドンは経度0ですので、その差は135度です。では何時間の差があるでしょうか。計算で求めましょう。135度÷15度=9ですので、9時間の差が発生します。旅行好きの人なら、計算するまでもないと思いますが、念のために計算はしましょう。次はロンドンが日本より9時間早いのか、遅いのかということです。ここでミスをする人が出てきますが、わからなければ本初子午線(ロンドン)を中心に考えてください。
すると、ロンドンは日本より西にあることがわかります。(ロンドンの場合は、本初子午線を中心にしなくてもわかると思いますが)ですから、ロンドンは日本より遅いのです。1月1日6:00マイナス9時間です。12月31日午後9時と導き出されたでしょうか。
これが時差問題の基本です。
続いて、東経と西経を跨ぐ場合(日付変更線を跨ぐ場合)です。日付変更線を東から西へ進むときは1日進める。逆に西から東へ進む場合は1日遅らせると紹介されていますが、これを考えると頭が混乱するので、無視して構いません。
先ほども説明した通り、本初子午線を中心に地図を描けば、さほど難しいことはありません。日付を跨ぐことがあっても、前の問題でも日付は変わっているため、さほど問題はありません。どうしても太平洋上にある日付変更線に戸惑う人がいますが、本初子午線を中心に考えれば、日付変更線を考える必要はありません。その方が計算はラクです。
「時差」の基本問題に挑戦
時差についてよく出題される問題を少し解いてみましょう。
問題1 先ほどのロサンゼルスで考えてみましょう。なお、ここでは西経120度とします。ロサンゼルスが1月1日の午前6:00のとき、日本の明石は何月何日の何時でしょうか?
▼ 解答をみる
下の記事で時差の問題をご用意してます。
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「時差」の応用問題に挑戦
基本的な時差の求め方はもうバッチリかと思います。しかし、入試では航空機のフライト時間を絡めた問題や、サマータイムに因んだ問題もしばしば出題されます。ただ、どれも文章中にヒントがたくさん書かれていますので、落ち着いて解けば間違えることはありません。
問題1 次の略地図Ⅰは、地図の中心にある東京からの距離と方位が正しくあらわされた地図である。 また、略地図Ⅱは緯線と経線が直角に交わった地図である。これからの地図について、あとの問いに答えなさい。なお、略地図Ⅰの緯線は赤道から15度ごと、経線は本初子午線から30度ごとに引いてある。
(ア)次の文中の□あにあてはまる、ものをあとの1~4の中から一つ選び、その番号を答えなさい。
1.北西 2.西 3.南西 4.南
略地図Ⅰ及び略地図Ⅱのタンザニアは、東京から見てほぼ□の方位に位置している。
(イ)次の文中の□にあてはまるものを、あとの1~4の中から一つ選び、その番号を答えなさい。
略地図ⅡのAで示した地点に対して地球の中心を通った反対側の地点は略地図ⅡにBで示した地点であるとすると、Bで示した地点は□である。
1.南緯35度、西経40度
2.南緯35度、西経140度
3.南緯55度、西経40度
4.南緯55度、西経140度
(ウ)略地図Ⅰにある東京からリマに航空機で行くには、一度乗り継ぐ必要がある。日本時間のお2月15日午後4時に東京国際空港を出発し、12時間かかってヒューストンに到着した。その2時間後にニューストンを出発し、リマに到着したのは現地時間の2月15日午後11時であった。ヒューストンを出発してからリマに到着するまでにかかった時間を書きなさい。なお、リマの標準時の基準となる経度は略地図ⅠのLの経線で示している。また、サマータイムの設定はないものとする。
(エ)略地図Ⅱにある都市Cの月ごとの平均気温と降水量をあらわしたグラフと都市Cの周辺で栽培される代表的な農作物の組み合わせとして最も適するものを、あとの1~6の中から一つ選び、その番号を答えなさい。
1. X-ライ麦 2. X-オリーブ
3. X-カカオ 4. Y-ライ麦
5. X-オリーブ 6. Y-カカオ
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問題2 世界の地理について、以下の問に答えなさい。
(1)資料1の大陸A~Dの自然環境の特徴について述べた分として適当出ないものを、ア~エから一つ選んで記号を答えなさい。
ア Aには、アルプス山脈がありライン川が北海に注いでいる。
イ Bには、ウラル山脈がありナイル川が地中海に注いでいる。
ウ Cには、ロッキー山脈がありミシシッピ川がメキシコ湾に注いでいる。
エ Dには、アンデス山脈がありアマゾン川が大西洋に注いでいる。
(2)資料1のXの線をなんと呼ぶか、漢字5文字で書きなさい。
(3)資料2は、資料1の大陸Aの西側にあるバリと大陸Aの東方にある札幌の雨温図であるが、気温に大きな違いが見られる。札幌より高緯度にあるバリの冬季の気温が高い理由を説明しなさい。
(4)下記の表は、資料1のロサンゼルス国際空港から関西国際空港に向かう際の運行スケジュールである。表中の( Y )に適する日時を書け。
出発時刻 | 飛行時間 | 到着時刻 |
ロサンゼルス国際空港 (西経120度) 12月27日13時10分 |
12時間30分 | 関西国際空港 (東経135度) ( Y ) |
(注)経度は現地の標準時子午線である。また時刻は現地時刻である。
(5)次の文章は、資料1の大陸Cに関して述べたものである。( )に適する語句をカタカナで書きなさい。
1970年代以降アメリカでは、ほぼ北緯37度より南の地域に工業が発達した。この地域は気温が温暖で( )と呼ばれる。土地が安く手にはいり、労働力も豊富で賃金が比較的安いことなどがこの地域に工業が発達した理由である。
(6)資料1の大陸Dについて、おもな主語がポルトガル語である国を、資料4のア~エから一つ選んで記号で答えなさい。
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まとめ
応用問題は解けたでしょうか?入試において、たかが一題されど一題の時差問題です。基本的な解き方さえマスターすれば応用問題でも対処出来るはずです。何度も言うようですが、地理分野は点数を落とさせる問題ではなく、取らせる問題です。単語を知らなければ解けない歴史の問題とは大きく違うところです。ですから、ちょっとした応用問題であっても、このような地理の問題はなるべく満点を取りたいところです。間違えたところは何度も解きなおし、納得して、試験本番に臨みましょう。
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