暗記項目だらけの世界地図、日本地理ならまだしも世界地理となるともう手も足も出ないという人が多いのではないでしょうか。意味もない国名を覚える必要はありません。本当に必要な国名だけをピンポイントで教えます。世界地理を本格的に勉強するのは中学生になってからです。しかし、中学になれば英語も加わり、さらに算数は数学にパワーアップ。覚えることは他にもたくさんあり、社会の授業まで手が回らないというのが正直なところではないでしょうか。
ですから、覚える知識の取捨選択が必要です。そして、ただ暗記するのではなく、ある程度自ら学習する意欲を持つこと。そうしなければ、なかなか頭に入ってきません。とは言え、どこから手を付けたら良いかわからないという人も多いでしょう。ここでは主に世界地図の書き方と暗記方法、入試で問われる本当に必要な国名だけを教えます。
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まずは漠然とした世界地図を書けるように
細かな国名を覚える前にまずやってもらいたいのは、世界の6大陸及び三大洋を抑えた地図を真っ白な紙の上に描けるようにしてください(緯線と経線が垂直に交わるメルカトル図法で構いません)。正確である必要はありません。ただ、ユーラシア、アフリカ、北アメリカ、南アメリカ、オーストラリア、アメリカだけではあまりにもざっくりしていてイメージしづらいかもしれません。ですので、このときに注意してもらいたいポイントをいくつか説明します。
ちなみに描く順ですが、どこから始めても構いませんが、まずは日本から書き始めて、東南アジアや中東方面に描き始めて西に進んでいった方がイメージしやすいかもしれません。さらに、この順で書き始めていくと、日本が東の端っこになり、中央にイギリスの本初子午線がくる地図になりますので、今後の緯度・経度の学習にも使える地図となります。
白地図を書くときのポイント① 国の位置関係
まっさらな状態から世界地図を描くのはなかなか大変です。ある程度実際と異なっても問題ありません。ただ、描く上で注意してもらいたいポイントがあります。それは日本を通る主要な緯線・経線と他国との位置関係です。これは入試でもよく問われる問題です。重要なのは以下の3つです。
東経135度
日本の東西の中央を通る東経135度の経線。正確には兵庫県明石市を通る経線ですが、白紙に世界地図を描く上では、日本列島の中央付近に縦の線を1本引けば構いません。この線がほぼ中央に来るようにオーストラリア大陸を描きましょう。
北緯40度
日本の中心を通る135度が重要なのはわかりますが、緯度になると果たして何度が重要なのか。それは北緯40度の緯線です。秋田県の八郎潟付近を通る緯線です。この緯線が実は結構重要で、朝鮮半島の付け根付近、中国の北京、地中海の北岸(スペイン・イタリアなど)、アメリカ大陸の中央付近を通ります。秋田と言うと日本人的感覚だと北国という印象ですが、実はこれよりも北にある国と言うのが多いことに気づきます。ヨーロッパのほとんどが北緯40度より北ですし、アメリカのニューヨークもまさに北緯40度です。ニューヨークと共にメガロポリスを形成するボストン、ワシントンもほぼ同緯度です。これは気候の問題を解くのにも重要になってきます。
赤道
日本とは関係ありませんが、世界地図を描く上での基準となりますので、合わせて覚えましょう。赤道の通るエリアの多くが発展途上国であることもあり、なかなかイメージしづらいですが、シンガポールのやや南を通ると考えるのがもっともわかりやすいと思います。シンガポールはギリギリ北緯(北半球)に位置しています。これをずっと西へ伸ばしたところにアフリカのギニア湾がくるようにします。さらに西へ進むと南アメリカ大陸に行き当たりますが、南アメリカ大陸の5分の1程度を赤道より北側に突き出すように描くとバランスが取れます。
白地図を書くときのポイント② 特徴的な地形、半島や湾をおさえる
オーストラリア大陸など、小さな大陸ならばおおよその形を書くのは簡単です。しかし、大きくなるとバランスを取るのが大変になってきます。最も大きいユーラシア大陸を中心に、白地図に盛り込みたい要点だけを説明します。
ユーラシア大陸攻略法① 本初子午線を引く
アジアからヨーロッパに至る巨大なユーラシア大陸。これを終われば、世界地図の半分を描いたと言っても過言ではありません。しかし、その分バランスを取るのは簡単ではありません。ですので、日本列島の東経135度線を引いた後、経度0度の本初子午線を先におおよそで良いので決めてください。本初子午線がユーラシア大陸のほぼ西の端です。本初子午線のさらに西側にスペインを出っ張らせばOKです。ちなみに、本初子午線の反対側、東経/西経180度、つまり日付変更線がユーラシア大陸の東の端です。ロシアをにょきっと出っ張らせば完成です。言うまでもなくその向かい側は北アメリカになります。
ユーラシア大陸攻略法② 半島と湾
ユーラシア大陸の南側には特徴的な地形が多く、重要な国が目白押しですので、しっかりおさえましょう。まず、日本列島と先ほど引いた本初子午線の中間あたりにインド半島を逆三角形ふうに書き入れましょう。もちろん三角形の先端は赤道より北側です。今度はそのインド半島と日本列島の中間あたりにインドシナ半島とマレー半島を書き込みます。なお、マレー半島の先端と先ほどのインド半島の先端は同じ位置くらいです。次に本初子午線とインド半島の中間くらいに四角いアラビア半島を加えます。このときに注意したいのはアラビア半島の東西は鋭く切り込みの入った湾になっていることです。東側がペルシャ湾、西側が紅海です。ペルシャ湾は日本に向かうタンカーの通過地点ですので、時事問題にもよく取り上げられますので、しっかりおさえましょう。
さらに紅海の北側が地中海です。紅海と地中海は本来は切り離されていますが、今はスエズ運河で繋がっています。最後にその地中海にイタリア半島を書き込めばおおよそのユーラシア大陸は完成です。より、正確に書きたい場合は地図帳とにらめっこしてどんどん書き加えて行ってください。
アフリカと南アメリカは逆三角形
なかなか馴染みのなく、国の位置を覚えろと言われてもなかなか難しいのがアフリカと南アメリカです。必要な国名はあとで説明しますので、ここでも大陸の形だけを抑えましょう。地図を見ればわかりますが、アフリカと南アメリカの形はなんとなく似ています。注意すべきは、前にも書いた通りアフリカは赤道が通るところにギニア湾があり、そこをくびれさせることです。ちなみに、本初子午線と赤道が交わるのもここです。ギニア湾に面した地域にはいくつか重要な国が並んでいます。南アメリカは赤道のやや下がブラジルです。このブラジルが三角形の頂点になるように描きましょう。
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受験対策 これだけは覚えるべき国40選
世界にはおよそ190の国々が存在します。これら全てを覚えるには相当の労力を必要としますが、もちろん、これら全てを覚える必要はありません。試験に狙われる国だけをおさえれば良いのです。極端な話、例えばコンゴ民主共和国やパプアニューギニアが試験に出ることはほぼ無いと言えます。仮に出たとしても、それは別に捨てたところで問題はありません。では、どんな国が出題されるのでしょうか?
それは、何らかの形で日本と関わりのある国、または時事問題として有名になった国です。それは、単に地図の知識として問われるのではなく、歴史や貿易などと絡めた問題として出されるのがほとんどであるからです。筆者がこれだけは覚えてもらいたいという国をピックアップします。
日本と歴史的にかかわりがある国
中学受験レベルで問われるのはほとんどが日本史で出てくる国です。アフリカや南アメリカはよほどのことがない限り出題されることはありません。いわば、初級編です。必ず覚えましょう。そして、高校受験になれば貿易相手国としての出題が増え、覚える国はさらに増えます。ただ、以下に示す国さえしっかり覚えれば世界地理の勉強がだいぶ楽になることは間違いありません。
※尚、当サイトでは 元社会科教師が、中学受験の地理で重要なことを単元ごとにまとめてます。また、問題集もご用意してますのでご活用ください。
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アジア・オーストラリア
日本のお隣、中国、韓国はもちろんのこと東南アジアまでは一通り覚えたいものです。太平洋戦争との絡みはもちろん、近年めざましい発展を遂げるASEANの各国は外交上、貿易上も日本とのかかわりが密接なものになっています。日本からも比較的近い国々ということもあり、出題頻度は圧倒的に高いです。
国旗 | 国名 | 日本との関係 |
中国 | 卑弥呼の時代からのお付き合い。 | |
モンゴル | 元寇。 | |
韓国・北朝鮮 | 仏教・漢字・稲作は朝鮮半島から。白村江の戦い以来のせめぎあい。 | |
ベトナム | ベトナム戦争。 | |
タイ | 江戸時代のアユタヤ日本人町。 太平洋戦争時の同盟国。 |
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ミャンマー | 太平洋戦争時に占領(旧名ビルマ)。アウンサンスーチーによる民主化。 | |
マレーシア | ルックイースト政策。 液果天然ガス主要輸入先。 |
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インドネシア | 石炭・天然ガスの主要輸入先。 ASEAN本部。 |
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フィリピン | バナナ主要輸入先。 | |
インド | 仏教発祥の地。日本の援助で新幹線建設計画。2000年以降発展を遂げるBRICs国のうちの一つ。 | |
サウジアラビア | 石油の主要輸入先。 | |
アラブ首長国連邦 | 石油の主要輸入先。 | |
カタール | 液化天然ガス主要輸入先。 | |
トルコ | アジアとヨーロッパの境。 | |
イスラエル | 中東紛争の火種。 | |
オーストラリア | 日本との時差が少ない。石炭・鉄鉱石主要輸入先。 |
ヨーロッパ
日本の明治時代以降の近代化に大きく影響を及ぼしているヨーロッパ。ヨーロッパ国内の位置関係はなかなか難しいですが、五角形のフランスとドーバー海峡を隔てた対岸にあるイギリスを軸として東側のドイツ、西側のスペイン、南側のイタリアと主要国をまずしっかり覚えましょう。
国旗 | 国名 | 日本との関係 |
イギリス | 産業革命。日英同盟。 | |
フランス | 富岡製糸場。 | |
スペイン | キリスト教伝来。 (フランシスコザビエル) |
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ポルトガル | 鉄砲伝来。 | |
イタリア | 日独伊三国同盟。 | |
ドイツ | 日独伊三国同盟。 | |
オランダ | 江戸時代の鎖国下において貿易を出島で継続。 | |
ベルギー | EU本部、NATO本部。 | |
ロシア | 日露戦争。原油産出量世界一(サウジアラビアより多い)。 |
北アメリカ
北アメリカは国数が少ないので、もはやここに羅列するまでもないとは思いますが、アメリカはカナダを挟んで北と南に分かれていることをおさえましょう。また、国と同時に主要な都市をおさえましょう。
南アメリカ
日本から最も遠い南アメリカ。なかなか馴染みがありませんが、古くから日系人コミュニティが形成されているなど、実は日本と関わりの強い国があるのも事実です。日本の裏側にある南アメリカにはどんな国があるのか、自ら調べてみてください。
国旗 | 国名 | 日本との関係 |
ブラジル | 世界最大の日系人を抱える。鉄鉱石主要輸入先。2000年以降発展を遂げるBRICs国のうちの一つ。 | |
チリ | 銅鉱主要輸入先。 | |
ペルー | 銅鉱・銀鉱主要輸入先。 世界有数の水産国。 |
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メキシコ | 銀鉱主要輸入先。 |
アフリカ
南アメリカと並んで馴染みの少ないアフリカ。世界最大の砂漠、サハラ砂漠は有名です。しかし、工業化に後れを取る国も多く、モノカルチャ経済に頼っている途上国が多いのが特徴。チョコレートの原料や茶は日本にも輸出されています。
国旗 | 国名 | 日本との関係 |
エジプト | エジプト文明。 | |
南アフリカ共和国 | アフリカで数少ない工業化を達成した国。2000年以降発展を遂げるBRICs国のうちの一つ。希少金属も産出。 | |
ガーナ・コートジボワール | チョコレートの原料となるカカオの一大生産地。第七代国連事務総長を輩出。 | |
ケニア | 道直下だが高地は比較的涼しい気候。茶の栽培 | |
リビア・チュニジア | 地中海に面し、難民がヨーロッパに渡り、一時社会問題に。 |
まとめ
世界のおおよそ大陸の形と国々の位置、受験で覚えるべき国がなんとなくわかったでしょうか。国の位置は一気に覚えようとせずに、難しければ学校で習う単元ごとに予習として勉強してください。おそらく、学校でもここで紹介した国々が主に解説されるはずです。また、国の位置をしっかり覚えたい人には白地図などの商品も発売されているので、上手く活用してみてください。
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