極東日本!!世界基準の世界地図に慣れよう
小学校で日本地理を終えると、中学入学後最初に習う地理は世界地理です。学校にもよりますが、基本的に日本地理は一番最後に習います。そんな中学地理で、最初に出てくるのが緯度・経度の話です。小学校地理でも名前だけは出てきます(特に経度)が、詳細はあまり学習しません。そこで、初めて触れる世界地理と共に、緯度・経度も加わり、混乱してしまうというお子さんを多く見てきました。
しかし、緯度・経度は非常に簡単ですし、これがわからないと国の位置や気候もわからなくなってしまう、重要単元なのです。詳細は後述することにしますが、この単元で一番重要なのは世界基準、つまり西側世界の国が使っている世界地図に慣れることなのです。子供たちは勝手に日本列島が世界の中心にあると思い込んでいますが、“極東裁判”という名の通り、日本は世界の東の端っこです(地球の端っこではありません)。世界の中心は、産業革命の中心、イギリスであることは紛れもない事実なのです。このイギリスを中心とした世界地図を頭に描ければ、世界地理は単純明快。緯度・経度もすんなりと頭に入ってくるのです。そして、国々の位置が一発でわかります。これをまず覚えてください。
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緯度と経度
皆さんの家には住所がありますね。住所がなければ、手紙を届けることも出来ませんし、誰かの家に行くことも出来ません。簡単に言うと、経度と緯度は地球上の住所を簡単に示すための仕組みです。地図上で縦の線が経度(経線)、横の線が緯度(緯線)で、それぞれが交わるところが、その土地の住所です。
例えば、東京は北緯36度、東経140度です。ただ、そんなことを言われてもよくわからないと言われそうですが、先ほどの世界基準の地図、つまり0度の経線と0度の緯線が地図上の中心で交わっている地図を手元に用意すれば簡単にその位置を探すことが出来るでしょう。
しかし、緯度と経度は単に地球上の位置を示すものではありません。学校の試験で狙われるのは、実はこの位置以外の情報なのです。
経度の基礎知識と役割
タイトルとは逆になってしまいますが、まずは皆さんになじみの深い経度の話から始めましょう。何故身近かと言うと、小学生ならば誰でも知っている“東経135度”の正体だからです。先ほど小学生地理で習うと書いたのはこれのことです。東経135度は日本の東西の中心を通る線であり、別名、日本標準時子午線。つまり、日本の時間を司る線なのです。経度はイギリス、ロンドンの旧グリニッジ天文台を通る線(世界標準時子午線又は本初子午線)を基準として、地球を東西に180度ずつに分けた線(経線)で、経線は地図上で北極と南極を結ぶ縦線で示されています。経度0度の本初子午線を基準として西側は西経、東側は東経と表します。イギリスを中心として日本は東に135度のところにあるということです。
このように経線はあくまでも人為的に設定された線です。衛星写真やGPSの無い時代、船乗りたちは星から自分たちの位置を知り、そして地図を作っていました。ですから、経度0度の経線は、その天体観測の最前線であったグリニッジ天文台に設定されたのです。
経度の役割
経線の別名の通り、経度(経線)は世界の時刻を司るものであり、イギリスが世界の標準時となっています。日本の時刻がGMT+9と表示されるのもここにあります。GMTつまり、Greenwich Mean Timeに9時間足したのが日本の時間です。ロンドンが1月1日の午前0時ならば、日本は1月1日の午前9時となります。ここがまた混乱するポイントですが、ロンドンから東、つまり東経のエリアではロンドンより早く、西経のエリアではロンドンより遅いのです。太陽は東から昇るという基本に忠実になれば簡単です。そんなわけで、試験に出るのは、経度と時差と絡めた問題が圧倒的に多いのです。先ほど、世界基準の世界地図を押さえようと言ったのはここに理由があります。
時差問題に挑戦
まずは基本問題から解いてみましょう。
時差の計算問題 [基本編]
地図1を参考に□にあてはまる語句を答えなさい。
問題1 明石とカイロの時差は何時間か。
(135度-□A度)÷15度=□B(時間)
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問題2 明石が1月1日午前6時のとき、ロンドンは何月何日の何時か。
① 時差を求める
(135-□C度)÷15度=□D(時間)
② 地図を見ると、ロンドンは明石より□E側にある。ロンドンの時刻は明石よりも□Fになる。明石の時刻のD時間前の時刻である。よって、□G月□H日□I時となる。
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時差の計算問題 [応用編]
続いて時差の応用問題です。以下の問に答えなさい。
問題1 日本の空港を午前を午前9時50分に出発した飛行機がイギリスのロンドン空港にその日の午後1時に到着した。飛行時間は何時何分か、答えなさい。なお、ロンドンは経度を0度を標準時とする。
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問題2 ブラジルのサンパウロで行われるサッカーの試合が、日本のテレビで生中継される。試合の開始時間は、3月11日午後8時である。日本では何月何日の何時に放送が始まるか、答えなさい。なお、サンパウロは、西経45度を標準時とする。午前・午後の区別をつけなさい。
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問題3 次の文は、地図2のサンフランシスコにある本社から、ア~エのいずれかの都市にある支社に送ったメールである。どの支社に送ったものか、1つ選びなさい。
メール内容 ↓
会議内容を海外の支社に送信した。送信と受信で時差はなく、本社から2月1日午後1時に送信し、この支社では2月1日午後9時に受信した。
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- いずれもイギリスを中心とした地図を頭に描くことが出来れば、より簡単に解ける。
時差の問題は、「中学受験 地理シリーズ」でも解説してます。時差の特訓問題もご用意してます。ご覧ください。
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緯度の基礎知識と役割
時刻を司る経度(経線)とは逆に、世界の気候に関わってくるのが緯度(緯線)です。緯度は赤道を基準に南北を90度ごとに分けたもので、赤道より北側が北緯、南側が南緯になります。ですから、赤道が緯度0度、北極が北緯90度、南極が南緯90度となります。“赤道直下”という言葉がある通り、赤道に近いほど基本的に暑くなり、極に近づくほど寒くなります。これを社会の用語では低緯度地域・高緯度地域と呼び、言い換えれば高緯度になるほど寒冷な気候に、低緯度になるほど温暖な気候になるわけです。
よく日本の子どもたちは南に行けば暖かくなると考えていますが、これもやはり日本を基準に考えているからです。日本は北緯に位置していますから、赤道より北側の北半球の地図しか見ていないのです。そうすると南に行くほど暑いと考えてしまうわけですが、南半球のことも忘れないでください。赤道から離れれば、ふたたび寒くなるのです。ただ、赤道を基準にしているため、人為的に設けられたというよりかも自然の摂理に則っていますので、考え方としては簡単です。
気候問題に挑戦
ただ、経度と違い、緯度が試験で問われるというのはあまり多くはありません。というのも、地球上の気候が緯度に準じているのも確かですが、気候を決める要素はそれだけではありません。海流や山脈、標高によっても大きく変わってくるからです。ただし、あくまでもその基本にあるのは緯度です。また、気候単体で問われるのではなく、その土地の植生や作物と関連して出題されることも多いです。
気候問題 [基本編]
問題1 次の文中の□にあてはまる語句を答えなさい。
赤道を中心に気候帯は、熱帯→□①→温帯と分布し、□②は北半球にのみ見られ、極地には□③が分布している。
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気候問題 [応用編]
問題1 次の地図を見て、あとの問に答えなさい。
地図中のa~fの気候の降水量を表したグラフをア~カよりそれぞれ選びなさい。
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まとめ
このように考えれば緯度と経度は決して難しいものではありません。特に時差の問題などは社会には珍しく、計算が絡んできますので、頭の体操として非常に面白いのではないかと思います。そして、何度も繰り返すようですが、日本列島が東の端にある世界地図にしっかりと慣れ、頭の中でおおよその世界地図を書ける(大まかに六大陸が書ければ十分です)ようになればバッチリです。
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