最短駅名、最長駅名の字数差は何文字?
日本で一番短い駅名は当然一文字の「津」ですが、逆に一番長い駅名を知っていますか?
長い駅名タイトルの座を巡っては、ある意味熾烈な?争いが繰り広げられており、ランキングは変動します。長らく島根県の一畑電鉄「ルイス・C・ティファニー庭園美術館前」駅(25文字)が日本一の座にありましたが、2007年に美術館の閉館で駅名を変えざるを得なくなり、熊本県の南阿蘇鉄道「南阿蘇水の生まれる里白水高原」駅(22文字)と茨城県の鹿島臨海鉄道の「長者ヶ浜潮騒はまなす公園前」駅(22文字)が同文字数でトップに立っていました。
しかし、今年3月、さらに名前を持つ駅が誕生しました。京都府の嵐電、「等持院」駅が改称され、「等持院・立命館大学衣笠キャンパス前」(26文字)となったのです。
しかし、駅名は長ければ良いというものではありません。公共性の高いものですから、わかりやすさ、言いやすさも重要です。このように長い駅名は、総じて地方のローカル線に多く、乗客を増やすために、いわば「キラキラネーム」を付ける場合もあります。それでも、等持院の改称については、古都京都を走る質素な嵐電のイメージに似合わないなどの反対意見も出ました。本来、駅名は駅はその地域の歴史や文化と密接に関わっている為、通常はその土地の名前を使うのが一般的です。
しかし、駅名は一種の宣伝媒体でもあるために、宣伝やイメージアップのような名称を付ける例も増えているのです。そんな近年の駅名あれこれを紹介します。
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JR各社でもこんなに違う、駅名の付け方
山手線の30番目の駅として2020年3月に開業した「高輪ゲートウェイ駅」では、開業前に駅名変更を求める声が大きく上がりました。大々的に報じられたため、皆さんの記憶にも残っているのではないでしょうか。地方のローカル線ならまだしも、都市部で非常に多くの人々が利用する駅では、逆にシンプルでわかりやすい駅名を付ける方が、理にかなっています。ですから、「高輪」で十分だったものを、自社の再開発エリアの名称である「グローバルゲートウェイ品川」と組み合わせたものにしたことが、我田引水的だと指摘されたのです。
しかも、公募という形をとっておきながら、全くランキング上位に入っていない「ゲートウェイ」を用いたことも火に油を注ぐ結果となりました。しかし、JR東日本のネーミングセンスの悪さは今に始まったことではなく、おじさんたちが頑張って今風の駅名を付けたが失敗したんだろうというのが私の考えるところです。
JR東日本の最近の新駅
JR東日本の新駅にはひらがなやカタカナを多用する傾向があります。話題性を見込んでこのような名称を付けているものと思われますが、駅名は未来に渡ってずっと受け継がれていくものであり、むやみやたらなキラキラ駅名はいずれ陳腐化していくことになります。
JR東日本は列車名にもそのような名称をよく与えていましたが、結局時代にそぐわなくなり、今では名前を変えたり、昔の名称に戻すという事例も発生しています。JR東日本発足後に設置、改称された代表的な駅をピックアップして紹介します。これ以外にもJR東日本発足後、多くの駅が誕生、改称されています。気になる人は是非調べてみて下さい。
ほっと湯田 1991年 (陸中川尻から改称。駅に隣接する温泉施設の名称から)
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ほっと湯田
かみのやま温泉 1991年 (山形新幹線山形開業時に上ノ山から改称)
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かみのやま温泉
千葉みなと 1992年 (千葉港から改称)
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千葉みなと
勝沼ぶどう郷 1993年 (勝沼駅から改称、フルーツ名称駅名の嚆矢)
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勝沼ぶどう郷
井川さくら 1995年 (芸名・人名だと勘違いしそうな実在の駅名ランキング1位)
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井川さくら
ひたち野うしく 1998年 (現住所の表記も牛久市ひたち野)
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ひたち野うしく
八王子みなみ野 1998年 (八王子ニュータウン街開きに合わせて開業)
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八王子みなみ野
いわき 1999年 (いわき市からの要望で平から改称、現住所はいわき市平)
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いわき
さくらんぼ東根 1999年 (山形新幹線新庄延伸と同時に開業)
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さくらんぼ東根
さいたま新都心 2000年 (周辺街びらきに伴い開業)
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さいたま新都心
いわて沼宮内 2002年(東北新幹線八戸延伸時に沼宮内から改称)
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いわて沼宮内
越谷レイクタウン 2008年 (周辺街びらきに伴い開業)
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越谷レイクタウン
吉川美南 2012年 (武蔵野操車場跡地周辺の区画整理事業に伴い開業 当て字で「みなみ」と読む)
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吉川美南
石巻あゆみ野 2016年 (「復興、未来、新生活への歩み」というメッセージが込められている)
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石巻あゆみ野
あしかがフラワーパーク 2018年 (近隣のレジャー施設名から)
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あしかがフラワーパーク
このようにJR東日本の駅名は駅周辺への施設の開業、名産、また自治体の再開発事情によってネーミングされている例が非常に多くなっています。ですから、JR東日本に全ての原因があるわけではありません。しかし、海浜幕張~南船橋間に新駅が設置される予定であり、おそらくここにもキラキラ駅名が採用されると予想されます。
キラキラネーム禁止!!JR東海の新駅名
2020年3月、高輪ゲートウェイ駅の開業の裏で、JR東海にも新駅が誕生しました。東海道線の袋井~岩田間に設置された「御厨」(みくりや)駅です。自治体からの請願によって設置された新駅で、周辺にはヤマハスタジアムを初めとしたヤマハの関連施設なども多く点在していますが、由緒正しい御厨を駅名としています。現住所からは既に消えている名称ですが、歴史的な名称をあえて与えたと言われており、広報担当者も開業時に高輪ゲートウェイと比較するような発言をしています。伝統を重んじるJR東海ならではの駅名といえるでしょう。
なお、「御厨」は長崎県の松浦鉄道、さらに読みは同じながら漢字表記が異なる「御来屋」がJR西日本に存在しています。ではJR東海発足後に設置された駅名をピックアップして紹介します。
三河安城 1988年 (愛知県及び安城市の請願駅)
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三河安城
逢妻 1988年 (現住所は刈谷市熊野町)
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逢妻
東静岡 1998年 (東静岡貨物駅の跡の再開発エリアに設置)
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東静岡
愛野 2001年 (ワールドカップ開催に先立ち設置、静岡スタジアムエコパ最寄り駅)
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愛野
春田 2001年 (名古屋市、名古屋市住宅供給公社、JR東海で協定を結び着工)
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春田
長泉なめり 2002年 (JR東海唯一のひらがな入り駅名。地名上の納米里が読みにくいことによると思われる)
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長泉なめり
野田新町 2007年 (刈谷市の請願により設置、駅名は現住所から)
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野田新町
南大高 2012年 (名古屋市南部の開発エリア、イオンモール大高最寄り駅)
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南大高
沿線の開発事業などと主に開設されていることはJR東日本と変わりませんが、駅名はこのように地名を重視した簡単なものになっています。なお、ひらがなが入る駅名はJR東海管内で「長泉なめり」が唯一の存在で、加えて「池の浦シーサイド」駅は2020年3月に廃止されたため、カタカナの入る駅名はJR東海管内から消滅しました。駅名改称もJR東海発足後、ほとんど実施されておらず、1991年に下部、及び湯谷がそれぞれ下部温泉と湯谷温泉に改称されたのが数少ない事例です。JR東海はこれほどまでに歴史や伝統を重視する会社です。
実用本位のJR西日本の新駅名
2020年3月、JR西日本は2023年に大阪駅北側の再開発エリア(うめきた)に開業する新駅名を「うめきた」ではなく、「大阪」にすると発表しました。これまた高輪ゲートウェイの開業に近かったことから、大きな反響を生みました。新駅なのに大阪?どういうことかというと、既存の大阪駅と構内通路で結び、同一駅の扱いにするのです。利用者にとっては、どちらの駅で発着する列車も自由に選択でき、運賃計算上も単純明快になりますので、これは大きなメリットです。この新駅には関空方面への特急列車も停車予定です。
ですから、JR西日本にとっても、「うめきた」という遠方から来る人にわかりにくい名前にするより、「大阪」にすることで、より多くの人に利用してもらおうとする意図もあります。京阪神圏のJR西日本の路線は多くが私鉄各線と競合しており、利用者の争奪戦を繰り広げてきました。JR西日本では東海道線、山陽線、福知山線をJR京都線、JR神戸線、JR宝塚線に改称し、私鉄路線と名称を揃えてわかりやすくするという施策を発足直後から行ってきましたが、駅名に関しても同様です。JRを冠して、近隣の私鉄の駅名と揃える例が増えています。具体的にどんな駅名があるのか見ていきましょう。
JR難波 1994年(近鉄、南海、地下鉄の「なんば」に合わせ湊町から改称)
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JR難波
JR三山木 1997年(近鉄京都線三山木と合わせ、上田辺から改称)
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JR三山木
JR藤森 1997年 (JRを冠する最初の新設駅、京阪本線に藤森駅が存在)
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JR藤森
JR小倉 2001年 (近鉄京都線に小倉駅が存在)
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JR小倉
ユニバーサルシティ 2001年 (USJ開業に伴い開設)
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ユニバーサルシティ
JR五位堂 2004年 (近鉄大阪線に五位堂駅が存在)
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JR五位堂
さくら夙川 2007年 (近隣に阪急神戸線夙川駅が存在するが、桜の名所であることから、さくらを冠した)
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さくら夙川
JR河内永和 2008年 (おおさか東線一期開業と同時に開設、近鉄奈良線に河内永和駅が存在)
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JR河内永和
JR俊徳道駅 2008年 (おおさか東線一期開業と同時に開設、近鉄大阪線に俊徳道駅が存在)
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JR俊徳道駅
島本 2008年 (阪急京都線との並行区間だが独自の駅名を設定)
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島本
はりま勝原 2008年 (JR西日本管内に勝原駅が存在することから旧国名の播磨をひらがなで冠した)
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はりま勝原
須磨浦海浜公園 2008年 (近隣の須磨浦海浜公園から。山陽電鉄の須磨浦公園駅とは離れている)
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須磨浦海浜公園
JR総持寺 2018年 (阪急京都線に総持寺駅が存在、JR京都線内で初めてJRを冠す)
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JR総持寺
JR淡路 2019年 (おおさか東線二期開業と同時に開設、JR京都線に淡路駅が存在)
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JR淡路
寝屋川公園 2019年 (東寝屋川から改称、東寝屋川という地名がない為)
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寝屋川公園
梅小路京都西 2019年 (京都鉄道博物館最寄り駅として開業)
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梅小路京都西
JR西日本では国鉄時代の長い駅間を埋め、並行私鉄と張り合うために新駅の開業が非常に多くなっています。上にピックアップしたものは一部に過ぎませんが、駅名にJRを入れるのは全国でも西日本のみとなっています。ただ、わかりやすい反面、既存の私鉄駅と必ずしも乗り換えが出来るわけでもなく、離れていることもあるので注意が必要です。しかし、キラキラネームにせず、JRを加えることで、わかりやすく既存駅と区別することが出来ますので、良いアイディアだと思います。
まとめ
今回はJRの駅名をピックアップして紹介してきましたが、各社で全く駅名の付け方が異なります。今後も多くの新駅が誕生したり、改称されたりすると思いますが、どのようなネーミングになるのでしょうか。皆さんの最寄り駅の名前が変わるとしたら、どう思いますか。仮にキラキラ駅名でなかったとしても、初めのうちは抵抗感があるのではないでしょうか。ですから、鉄道会社においても、駅名を命名するときには地域に寄り添った相応しいものを考案して頂きたいものです。