鉄道沿線をリアルに描いた作品が今熱い
日本が世界に誇るアニメ。その人気の秘訣はまるで実車のようなクオリティの高い描写力にあるのではないでしょうか。世界的にアニメは子供の見るものという認識が圧倒的です。しかし、ご存じの通り、日本のアニメは大人も対象としており、大人も十分満足できる仕上がりです。当然、キャラクター自体は可愛らしく、カッコよく、デフォルメされていますが、街の風景や植物の一本一本まで詳細に描かれているのは圧巻と言えます。ですから、私たちの生活に欠かせない鉄道風景も、本当にリアルに描かれている作品もあります。
特に近年では実在の地域を舞台にしている作品も多く、アニメを見た人たちが実際に現地を訪れる「聖地巡礼」が盛り上がっています。また、鉄道会社も沿線活性化のために、そのようなアニメとタイアップするキャンペーンを繰り広げているところもあります。また、鉄道マニアの中には、このようなアニメと掛け持ちで趣味としている人も多く、アニメと鉄道の相性の良さが、今注目されています。
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鉄道会社が本気のアニメを作った
沿線に多くのアニメプロダクションがある関係から、鉄道各社の中でもアニメへの理解が強い「西武鉄道」。多くのアニメーションとのコラボレーションを実現してきました。
特に鉄道アニメとして不動の存在とも言える「銀河鉄道999」の原作者、松本零士氏のゆかりの地が大泉学園という縁で、長らく銀河鉄道999のラッピング車両を運行してきました。また、一世を風靡した「ケロロ軍曹」を起用したマナー啓発キャンペーンでは「スママ」というオリジナルキャラクターを作る力の入れようです。
また、アニメの舞台となった「あの花」とのタイアップも記憶に新しいところです。
そんな西武鉄道がついに2018年に自社のアニメを製作しました。秩父エリアの観光地を紹介する25分ほどの短編アニメで、秩父鉄道が誇る観光列車、「52席の至福」や、秩父地方の風景を忠実に再現しています。色々ツッコミどころのあるアニメですが、登場人物のキャラクター設定には、西武鉄道らしさが反映されており、マニアが見てもニヤッとしてしまうでしょう。
鉄道マニアでなくても楽しめる、リアルな鉄道が登場するアニメ・映画ランキング8選
このように、実際にある風景をそのまま取り込んだ作品というのは非常に現実感があり、あたかもその作品に入り込んだような錯覚さえ覚えます。そのために、あえてリアルな描写に努めているというのもあるでしょう。しかし、風景はともかく、鉄道描写というのはある意味特殊で、この鉄道描写はいい加減だなとか、作っている人も鉄道マニアだなとか、というように、わかる人が見るとわかってしまうシーンでもあります。
よくあるのは、車両と音が一致していなかったり、パンタグラフの位置がおかしかったり・・・と。逆に時代物の作品では、本当に時代考証をやっていて、本当にリアルに作っているなと感心してしまうものもあります。そんな、鉄道が作中に登場する作品をランキングで紹介します。なお、第6位以下は鉄道マニアを対象にした鉄道に特化した作品です。
【第1位】新世紀エヴァンゲリオン
鉄道が登場するアニメ・映画おすすめランキング第1位は、『新世紀エヴァンゲリオン』です。クールジャパンと呼ばれるような近年の日本のアニメを代表するような「新世紀エヴァンゲリオン」。作品の舞台は第3新東京市と名付けられた架空の都市ながら、神奈川県箱根、芦ノ湖付近に存在するとされており、実際の地形などが一部反映されています。箱根と言えば、小田急ロマンスカーや登山電車が有名ですが、作品にも登場しています。その他にも、第3新東京市を走るモノレールは多摩都市モノレールにそっくりだったりします。
さらに、「エヴァンゲリオン新劇場版:序」では、変圧器輸送用の大物車が登場(テレビ版ではトラックで輸送されていた)。第6の使徒を殲滅するために行われた「ヤシマ作戦」で、日本全国の電力を集結させる用途で活躍します。牽引したのは実在するDD51形ディーゼル機関車と明らかにマニアを意識多様な演出でしたが、それもそのはず、総監督を務める庵野秀明氏は実は鉄道好きであることが明かされています。
近年ではJR西日本の500系新幹線や、名鉄ミュースカイとのコラボラッピングも記憶に新しいところです。また、今年1月からは作品の舞台、箱根エリア一体で「エヴァンゲリオン×箱根 2020 MEET EVANGELION IN HAKONE」キャンペーンが開催され、特別展示や限定ラッピングなどで、箱根の街全体がエヴァンゲリオン一色に染め上がりました。
【第2位】君の名は。
鉄道が登場するアニメ・映画おすすめランキング第2位は、『君の名は。』です。2016年に公開され、世界的な大ヒットとなった長編アニメーション映画「君の名は」。東京都心と岐阜県飛騨地方の架空の町、糸守町を舞台にストーリーが繰り広げられますが、そこにも非常にリアリティのある鉄道風景が登場します。新海誠監督の手掛ける作品は、非常に瑞々しい街並みが登場することで有名ですが、特に東京の風景は本物そのまま。新宿駅を中心として、ひっきりなしに電車が行き交う風景が象徴的に描かれています。
新海氏自体、鉄道に詳しいわけではないものの、鉄道風景にキャラクターを立たせるのが好きだと言います。ですので、主人公の「瀧」とヒロインの「三葉」が最後に再会するシーンでも、電車が重要な役目を果たしています。この映画の製作にはJR東日本の子会社も協力しており、当然東京の電車が音も映像もリアルに描かれるわけですが、東海道新幹線のシーン、また糸守町の最寄りとされる飛騨古川駅も忠実に再現されています。
余談ではありますが、映画のヒットを受けて、本来特に協力関係の無かったJR東海が、飛騨古川駅のシーンを用いた記念Toicaを発売したのも話題になりました。鉄道会社も惚れこませた作品と言えるでしょう。
【第3位】シン・ゴジラ
鉄道が登場するアニメ・映画おすすめランキング第3位は、『シン・ゴジラ』です。こちらも庵野秀明氏が総監督を務めた2016年公開の特撮映画、「シン・ゴジラ」。こちらにはエヴァンゲリオン以上に多くの鉄道が登場します。やはり東京を示す象徴的な存在として通勤電車は重要、縦横無尽に行き交うシーンが描かれている他、ゴジラの上陸地点として欠かせない京浜急行や、江ノ電も登場します。実際に「シン・ゴジラ」の制作には多くの鉄道会社が撮影に協力しており、多摩都市モノレール、江ノ電、東急、京浜急行、北総鉄道などが協力しています。また、無人列車爆弾として新幹線も登場し、こちらも注目です。
【第4位】未来のミライ
鉄道が登場するアニメ・映画おすすめランキング第4位は、『未来のミライ』です。甘えん坊でちょっとわがままな4歳の男の子の時空を超えた冒険を描く2018年公開の映画。主人公の「くんちゃん」は大の鉄道好き。部屋の中は電車のおもちゃで溢れています。妹の名前には「のぞみ」・「つばめ」が良いとねだるほどの筋金入り。監督の細田守氏の実際の息子さんを題材にしたストーリーということで、監督ではなく、お子さんが鉄道好きなんですね。
子ども目線から見た世界、特に自分が知らない世界へ連れて行ってくれてくれる存在としての「電車」が作品全編を通して登場します。わがままが目立つ年頃の男の子の成長が、電車のおもちゃのレールをつなぎ続ける遊び、そして実際の電車に乗って行く旅に投影されています。終盤に現れるちょっと不気味な東京駅、さらにそこに現れる黒い新幹線にも注目です。この新幹線は実際の車両メーカーのデザイナーが設計を手掛けているのです。
【第5位】この世界の片隅に
鉄道が登場するアニメ・映画おすすめランキング第5位は、『この世界の片隅に』です。2016年に公開され2019年12月19日まで1133日に渡る日本のアニメ映画史上最長となるロングラン記録を打ち立てたこうの史代氏の漫画を原作とする映画「この世界の片隅に」。戦時中の広島県の軍港、呉を丁寧に描いたこの作品ですが、この作中でも鉄道は所々に登場します。当時の広島駅や呉駅、呉線を走る蒸気機関車牽引の急行列車などがしっかりとした考証に基づいて描かれています。今では、短距離の普通列車しか走らない呉線ですが、かつては山陽本線のバイパスルートとして長大な列車が東京や大阪から直通していたのがわかります。
【第6位】新幹線変形ロボシンカリオン
鉄道が登場するアニメ・映画おすすめランキング第6位は、『新幹線変形ロボシンカリオン』です。実在する新幹線がロボットに変形するキャラクターが活躍する子ども向けアニメーション。しかし、単なる子ども向けと侮ってはいけません。このような鉄道戦隊ものアニメとしては初めて、JR東日本が監修した他、新幹線を保有するJR各社が製作に協力しています。このような背景から実在する鉄道関係施設も多く登場します。最大の見どころは現実ではあり得ない、JR東海とJR東日本の新幹線が協力して敵を倒すという姿を楽しむことが出来ると言うことでしょうか。
【第7位】RAIL WARS
鉄道が登場するアニメ・映画おすすめランキング第7位は、『RAIL WARS』です。日本國有鉄道が分割民営化されなかったという、「もし」のパラレルワールドの日本を舞台に、鉄道公安隊と、國鉄解体を目論むテロ組織との戦いを描いた青年鉄道マニア向けの作品。女子をメインとした登場人物に目が行きがちですが、國鉄が生き残っていたらというマニアックな設定な上、限りなく実際の歴史にも合わせてパラレルワールドが展開されています。合理化こそ最善の世界観ではないため、現実世界ではあり得ない旧型車両と新型車両の競演、そして新幹線と在来線の共存など、鉄道好きにはたまりませんが、一般受けは良くないかもしれません。
【第8位】ミラクル☆トレイン〜大江戸線へようこそ〜
鉄道が登場するアニメ・映画おすすめランキング第8位は、『ミラクル☆トレイン〜大江戸線へようこそ〜』です。鉄道駅擬人化、かつ女子向けという挑戦的な作品。都庁前、新宿、六本木、汐留、月島、両国を中心とした大江戸線の各駅を擬人化した美麗男子が、乗り合わせた悩み多き女子をエスコートしていきます。悩みを持った女子がこの列車に乗り込んだ場合、その悩みが解決されない限り降りることが出来ないという設定です。各キャラクターの性格や個性はそれぞれの駅を反映したものになっており、なかなか考えられています。もちろん、大江戸線の車両自体は、当時の主力車両12-000形の4次車を再現していますが、内装は開業時の一次車のインテリアを採用というこだわりも。