デジタルの時代だからこそ、使いやすいアプリを選びましょう
スマホの乗り換え案内アプリが現代人の移動にとって欠かせないものになっています。仕事の際や、日々のちょっとした移動はともかく、旅行の際にもスマホ一つで何でも検索できる時代です。乗換案内、そして路線図としての機能を兼ね備え、かつては旅のバイブルと呼ばれた紙媒体の時刻表は、このようなスマホアプリの台頭で発行部数が大幅に減少し、存在の危機に立たされています。
しかし、古くから時刻表に使い慣れた人にとって、スマホの乗り換え案内は使いにくいものでもあります。確かに、スマホアプリは出発地から目的地までの最短、最速ルートを瞬時に調べてくれるわけですが、あくまでも点と点を結ぶだけで、実際の位置関係、さらには前後の列車関係など、面的なデータを知ることが時刻表に比べ劣っています。調べることが出来れば、まだ良いですが、そもそもそのような機能が入っていないアプリも存在します。今回はそのように路線図など、面的な情報を追うことも出来る乗換案内アプリを調べてみました。
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時刻表がバイブルなのは今の時代も変わらない
今の時代、そもそも時刻表を手に取ったことがないという人が圧倒的に増えているのではないでしょうか。しかし、昭和生まれの世代ならば、人生に一度は時刻表を読んだことがあるはずです。分刻みで電車が運行されている都心部はさておき、地方への出張、旅行時に時刻表は欠かせないものでした。
時刻表と言うと、単に鉄道の時刻だけが載っているように思われるかもしれませんが、それだけではありません。大型の時刻表ならば、飛行機、船、バスと言ったあらゆる交通機関の時刻が掲載されている他、宿の連絡先など、旅に関わる全ての情報が掲載されていました。もっとも、週刊のマンガ雑誌より重い大型の時刻表を持ち歩くのは大変で、私も鉄道の時刻を中心にまとめられたコミックサイズの小型版のものを持ち歩くことがほとんどでしたが、今どこを走っていて、次の駅で何分停車するので土産が買える、降りても次の列車まで何分後に来るといった情報が瞬時に視覚的に捉えることが出来ました。
しかも、アプリでは単純に数値演算して最速の乗り継ぎを示すだけですが、路線の全体を網羅した時刻表ならば、例えば実は手前の駅で降りておいた方が確実に座ることが出来るということもわかるわけで、そのように頭を使いながら移動するのが当たり前だった身にとっては、全てをアプリに任せっきりの現代人の移動には違和感を感じざるを得ないと言うのが正直なところです。
とはいえ、今の数あるアプリの時刻データも、元となっているのは交通新聞社が発行している時刻表(主に全国のJR線の時刻)です。交通新聞社はJRをはじめとしたの時刻データを取りまとめている唯一の機関であり、アプリ会社はここからデータを買っています。
この毎月更新されるデータの購入費用は相当なものです。ですから、日本の乗り換え案内アプリにはある程度の資金力が無いと参入出来ないという面もあります。変な話ですが、名の知らないアプリに入っているデータは、かなり信ぴょう性が低いと思った方が良いでしょう。少なくとも、Google上の駅情報から抽出しているデータを使っているアプリは、ほぼ使い物になりません。
路線時刻表機能を持ち合わせたアプリが優秀と言われる理由
時刻表VSアプリ、どちらが便利かと言われたら、当然アプリに軍配が上がるでしょう。
今や、どの号車に乗るのが階段に近く、乗り換えに便利なのかというところまで案内してくれます。時刻表を入念に読んでいるのは、鉄道マニアくらいでしょう。しかし、繰り返しになりますが、アプリでは面的に情報を捉えることが出来ません。何も考えずに、ただアプリに任せて、言わるがままに電車に乗っている分には構わないのですが、電車の時刻(運行ダイヤ)には基本的に規則性があり、例えば、この路線ならば10分に1本、あの路線なら6分に1本急行があるというようにです。
紙媒体ならば、路線全体の時刻表を視覚的におさえることが出来、どこで各駅停車を追い越すのかも一目瞭然です。さらに、主要駅間のおよその所要時間もわかりますので、双方の路線のこのようなパターンさえ頭に入れておけば、わざわざアプリを開く必要もなくなるのです。
実際、私は東京、それに大阪くらいの運行パターンをだいたい頭に入れている為、乗換案内アプリを使ったことがありません(遠出をするときは、やはり紙の小型時刻表を持参しますし)。仮に乗り遅れても、わざわざ検索する必要もなく、全体的に10分なり、15分なり繰り下げれば済むのです。実は、そんな時刻表に慣れた世代から、熱烈に支持されるアプリが存在しました。ぐるなびが提供していた「えきから時刻表」です。
その名の通り、紙の時刻表をそのまま電子媒体化したような内容と操作性が特徴で、JRのみならず、都市部の私鉄、地下鉄も列車番号付きで、路線別の詳細な時刻表を無料で表示することが出来ました。しかしながら、2019年3月をもって、サービスが終了となり、落胆の声が多く上がりました。そして、未だに「駅から時刻表」に匹敵するアプリは存在しないと言われています。
乗換案内・路線図アプリのおすすめ人気ランキング7選
操作性、利便性にすぐれた乗換案内、路線図アプリをランキング形式を以下に紹介します。
【第1位】デジタル JR時刻表 Lite
乗換案内・路線図アプリおすすめランキング第1位は、『デジタル JR時刻表 Lite』です。交通新聞社が提供する乗換案内、路線図アプリの決定版。紙媒体の「JR時刻表」、「My Line 東京時刻表」をそのままアプリに落とし込んでおり、路線別のJR・私鉄の全国の時刻表、さらに列車番号が閲覧できる、現状唯一のアプリです。もちろん、日本全国の路線図からの検索、また経路案内も可能。見知らぬ土地でもGPS機能もあるので安心です。紙の時刻表のメリットと、電子版のメリットを併せ持っています。しかし、1か月360円の有料サービスです。従来、これらの機能が「駅から時刻表」で無料で提供されていたことを考えると、残念に思います。
近年では、経路案内が駅から駅だけでなく、バス停、さらには徒歩と、地点から地点への経路案内に発展、しかも無料で提供されていることもあり、路線時刻表が見たい層以外からは、わざわざ課金してまで使いたくないという人が多いかもしれません。しかし、私は昭和生まれのオッサンとして、路線時刻表機能を備えたこのアプリを1位として紹介しておきます。なお、Web版(トレたび)では無料でこれに近い機能がありますが、操作性、視認性共に非常に悪く、アプリに誘導しているのではないかと思うほどです。
【第2位】乗換案内ハイパーダイヤ
乗換案内・路線図アプリおすすめランキング第2位は、『乗換案内ハイパーダイヤ』です。日立システムが提供する、あまり知られていない乗換案内です。これは、元々鉄道事業者向けの運行管理やダイヤ作成の支援システムですが、一般利用者に経路検索として開放されています。
駅名を入力して経路を検索する一般的な乗換案内ですが、面白いのは、経路検索後に列車の前後のみならず、その区間の終日の時刻表を列車番号付きで表示できる点です。ただし、この時刻表が通常の縦書きではなく、横書きになっているため、日本人にとっては、少々見づらいというのが難点です。また、黒白の2色表示で視認性が良くありません。なお、鉄道以外には空路にも対応しています。ただし、業者向けという性格が強いため、アプリ版は月250円の有料です。路線時刻表はWeb版で閲覧しましょう。
【第3位】駅すぱあと乗換案内
乗換案内・路線図アプリおすすめランキング第3位は、『駅すぱあと乗換案内』です。日本で初めて電車の経路検索ソフトを開発したヴァル研究所が提供する乗換案内です。アプリ版からは全国の路線図から駅名を選択するだけで、時刻表の検索が可能です。鉄道の他、バス、空路、フェリーなどにも対応しています。特徴は、経路と共に定期代を簡単に表示出来ることです。
また、Web版では、各駅時刻表がリスト表示ではなく、駅貼り同様の横表示で見ることが出来るため、前後だけでなく、他の時間帯の時刻がすぐにわかるなど、時刻表としての機能も持ち合わせています。ただし、列車詳細があまり見れなかったり、やはり経路検索という性格が強いです。とはいえ、乗換案内としても操作性は抜群であり、Yahoo!乗換案内にも、駅すぱあとのシステムを利用しています。アプリ内課金がありますが、基本的には無料で使えます。
【第4位】駅探
乗換案内・路線図アプリおすすめランキング第4位は、『駅探』です。駅探が提供する、ずばり「駅探」です。その名の由来は駅前探検倶楽部。駅前情報などと連動させた乗換案内の老舗的存在です。鉄道、バス、空路などを使った最適な経路が調べられる他、新幹線や飛行機がホテルとセットでお得な価格での予約が可能になっていることが特徴です。
また、各駅時刻表が行き先や種別に応じた絞り込み表示が可能な他、Web版ではこの時刻表がリスト表示ではなく、駅貼り同様の横表示で見ることが出来ます。これらは無料のサービスですが、アプリ内課金をすることで、駅からの徒歩経路などの検索にも対応できます。ただ、主要都市の地下鉄を除いて路線図が用意されておらず、場所がわからない場合は、通常の地図上から駅を検索する仕組みなのが残念です。
【第5位】乗換NAVI TIME
乗換案内・路線図アプリおすすめランキング第5位は、『乗換NAVI TIME』です。ナビタイムジャパン社が提供する、日本最大級のナビゲーションサービス「NAVITIME」の乗換案内。鉄道、バス、空路、フェリーなどを検索できます。混雑レベルの表示や「エレベーター優先」「階段を避ける」などのNAVI TIMEならではの検索条件も搭載。アプリ版では主要都市の見やすい路線図から駅を選択可能。路線図が全国に拡大することに期待したいですね。
ナビゲーションアプリとしては文句なしの機能を備えていますが、アプリからの各駅の時刻表表示がリスト表示に限らたり、列車毎の詳細が見れないなど、旧来の時刻表に慣れている人にとっては不満が多いのも事実です。アプリ内課金をしない限り、無料で使えます。
【第6位】Yahoo!乗り換え案内
乗換案内・路線図アプリおすすめランキング第6位は、『Yahoo!乗り換え案内』です。こちらも乗換案内の代表的存在。「Yahoo! 地図」とリンクして駅付近の地図も表示でき、ナビゲーションアプリとしての性格が強いです。なお、空路には対応しておらず、交通機関は鉄道、バスの検索に限られます。鉄道の部分を見てみると、アプリ版でも横表示の各駅時刻表を見ることが出来るのが特徴。ただし、列車毎の詳細情報が出なかったり、時刻表の絞り込み表示が出来なかったりと、やや機能に劣りますが、料金は全て無料です。経路案内としては素晴らしい性能を持っています。
【番外編】乗換路線図
乗換案内・路線図アプリおすすめランキング番外編は、『乗換路線図』です。このように、結局、紙の時刻表に代替えされるような、読んで考えて楽しむ、そして仮想旅行する気分になれるようなアプリはそう多くは存在しないのです。しかし、余計な経路案内はいらない、とにかく路線図を楽しみたいという人の希望に応える待望のアプリが誕生しました。その名も、「乗り換え路線図」です。
なんと、全国のケーブルカーやリフト、ロープウェーも含めた全ての鉄道路線を網羅。しかも、紙面の都合で歪みがちだったかつての路線図と異なり、実際の地形と線形に限りなく忠実に、かつ見やすいという実用性を備えた、最高峰の路線図アプリです。どうやら、作っている人も、筋金入りの地図マニア、路線図マニアの様子。日本のみに留まらず、アジアを中心とした各国にも対象エリアを拡大中。日本の路線図では駅名をクリックすることで、「駅すぱあと」のWeb版にジャンプ出来ます。純粋に路線図に親しみたい方には、是非おすすめのアプリです。
まとめ
駅から時刻表のサービス停止で、紙媒体の時刻表並みの機能を無料で活用できるアプリは、ほとんどないというのが現状のようです。ただし、紙の時刻表を毎月買うことを考えれば、「デジタル JR時刻表 Lite」の値段設定は十分に経済的ですし、持ち運びの手間もかかりません。また、もっと路線図を純粋に親しみたいという人には「乗り換え路線図」との合わせ技も良いでしょう。加えて、単に地点間を移動する最適なルートを検索するには、無料のナビゲーションアプリがあれば十分とも言えます。
一つのアプリで全てを済まそうとせずに、今後はいくつかのアプリを使い分けていく必要があるのかもしれません。