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外国人向けの地図記号16種が新たに制定されたワケ【世界と比較】

地理 地図記号 国際化

やっぱり日本の地図記号はわかりにくい?

 

フランス、イギリス、アメリカの地図記号と比べてみましょう。

 

 

最近、日本で外国人の姿を見かける機会がぐっと増えました。まずは2010年までに訪日観光客年間1000万人を目指すとして日本政府が2003年にスタートした「ビジットジャパンキャンペーン」ですが、周辺国からの観光ビザ免除の解禁、さらには東南アジア諸国における所得増から、訪日観光客は急増し、今や年間3000万人以上の外国人観光客が日本を訪れています。

 

来年には東京オリンピックも控え、さらなる増加が予想されます。表記の多言語化、様々な宗教に対応するためのメニューの用意など、受け入れ機関では様々な取り組みがなされていますが、「新たな地図記号」の制定もその一つです。みなさんも子供の頃に覚えさせられた記憶があるであろう地図記号、外国の人にはもっとわかりにくいというのは当然かもしれません。外国人向けの地図記号の制定理由を深追いすると共に、海外の地図記号事情をお伝えします。

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国土地理院が外国人向け地図記号16種を制定

2016年3月、国土地理院が外国人向けの新しい地図記号15種類を制定しました。7月に観光案内所が追加され、現在では16種類になっています。増えゆく外国人観光客への対応、さらには2020年の東京オリンピックの開催を見据えていることは言うまでもありません。なお、国土地理院は日本の地形図を唯一発行している機関です。いわば、地図の元を作成している国の機関が、国内の共通基準としての新たな地図記号を制定したのです。

 

16種類とは言うものの、そのうち2種は従来通りで、一部または全てを改変したものが7種、全く新たに設定されたものが、7種となっています。わかりやすくなったというよりも、何故今までこれらを使わなかったのかと思うほどですが、街中でよく見かけるピクトグラムをイメージする人も多いのではないでしょうか。

 

下記は16種類の新しい地図記号の一覧です。

外国人向け地図記号16種

外国人向け地図記号16種

 

下記の記事で外国人向けの地図記号クイズプリントも用意してますのでご利用ください。

 

日本の地図がわかりにくいは本当か?

さて、地図記号と聞くと拒否反応を起こす人も多いかと思いますが、実際問題として日本の地図は難しいのでしょうか?例えば、知らない土地へ初めて海外旅行に行ったときのことを思い出してください。もちろん、グーグルマップは使わないことが前提です。駅や空港に着いてから、目的地までの間に迷ってしまいたどり着けなかったということは、あまりないのではないでしょうか?

 

それは、ほとんどの場合で、案内看板や地図にピクトグラムが用いられているからです。

 

ピクトグラムとは、「絵文字」「絵単語」などと呼ばれ、情報や注意を示すための視覚記号です。一部の記号は世界的に標準化されています。具体的に言うと、非常口マークや車いすマークがそれにあたります。翻って日本の案内表記類を見てみましょう。そこに難解な地図記号があるでしょうか?

 

いや、ほとんど見当たらないはずです。日本においてもこのようなシーンにおいてピクトグラムが多様されているのがわかります。

ピクトグラムと地図記号の違い

元はヨーロッパ発祥と言われているピクトグラムですが、日本で広まりを見せたのは奇しくも1964年東京オリンピックであったと言われています。日本人の英語コミュニケーション能力が、現在よりもさらに低かった時代、より簡単な情報提供手法として作成されました。半世紀の時を経ても、今と昔、全く事情は変わらなかったわけです。

 

現在、日本はピクトグラム大国と呼ばれるほどで、JIS(日本工業規格)が定める案内用のピクトグラムは、現在136種類。これだけあれば、外国人も道に迷うわけがありません。なお、JISが定めていることからもわかる通り、ピクトグラムを管理・管轄しているのは経済産業省ということになります。対して地図記号の管轄は先述の通り、国土地理院が作成しているわけですから、その上部組織である国土交通省ということになります。

 

ピクトグラムの管理・管轄が経済産業省 地図記号の管轄は国土地理院!

 

そして、その制定を遡れば、日本近代化の源、明治時代です。つまり、いずれも役割は同じでも、所轄官庁、それに歴史が全く異なるものなのです。ただ補足するとすれば、ピクトグラムはより記号としての実用性を求めるもの、地図記号は地図の実用性(よって記号は専門的になる)求めるという違いはあるでしょう。土地利用の作業資料としての地図記号に、従来ATMやデパートなどの記号が存在しなかったのも納得できます。ですから、観光客のため、地図記号をより実用性の高いピクトグラムに準じたものに変更するのは当然の流れと言えそうです。

ピクトグラム

それでも従来の地図記号は変わらない

このニュースを聞いて、覚える記号が少なくなって良かったという人もいるかもしれません。ただ、残念ながらあくまでも今回の改定は、外国人向けの地図にのみ適用されますので、従来の地図記号は変わりません。先述の通り、国土地理院の地形図は、本来作業用、調査用資料ですから、逆に交番マークを書き込みなさいというときに、ピクトグラムでは一苦労です。地図記号が簡略化されているのには、それはそれで理由があるのです。

 

しかし、裏を返せば民間団体が観光客向けに作っていた地図には従来からピクトグラムを利用していて、地図記号など使っていないというのも多く見受けられます。ですから、今回外国人向けの地図記号が制定されたと言ったところで何が変わるかと、個人的には懐疑的な気持ちでいます。あくまでも、監督官庁が時代の流れに合わせ、整合性のない部分を修正、共通指針を示したということになります。

 

とはいえ、従来、地域により微妙な差異があったとも言える地図上のピクトグラムが、今後統一されるというのはメリットであると言えますね。

地名表記が変わる

地図記号ばかりは取り上げられ、あまり注目されていませんが、今回の改定で、英語の地名表記についても明確化されました。

 

例えばFujisan」「Mt.Fujisan」「Mt.Fuji」と、従来バラバラであった富士山の表記を「Mt.Fuji」に統一するというものです。川についても同様で、荒川は「Arakawa River」となり、「Ara River」ではなくなります。これは意義のあることだと思います。

 

英語の地名表記が変わる

↑英語の地名表記が変わる↑

どうなってるの? 世界の地図記号

このように、地図記号の本来の役割から、一般人にはわかりにくいイメージとなる地図記号ですが、世界の国々では外国人観光客に対して、どのような対応を行っているのでしょうか。

 

日本は最近、外国人観光客の数が増えたと言っても、ヨーロッパの国々の外国人受け入れ数には及びません。ここではフランスとイギリス、それにアメリカを例にとって見てゆきましょう。

 

フランス式の地図記号

フランスの地図記号は非常に数が多いです。建物や特定地区を示す地図記号でも60種類以上あると言われています。しかも、その記号は日本の地図記号のように、なかなかわかりにくいものも含まれています。しかし、世界一のインバウンド観光客を抱えるフランスはどのように外国人対応しているのでしょうか?

それは、凡例の部分に「TOURIST INFORMATION」の項を設け、英語とフランス語の二か国語の表記とし、さらに観光客向けの施設、30種類ほどにはピクトグラムのような記号にするなどの配慮がなされています。

 

下記はフランスの地図記号です。

フランスの地図記号

↑フランスの地図記号↑

イギリス式の地図記号

イギリスの地図では、建物の示す記号がほとんどありません。では、どのように表記しているかというと略語です。

 

例えば学校、「School」ならば「Sch」、郵便局の「Post Office」ならば「PO」という風にです。さすがは世界共通言語の英語を公用語としているだけはあると思います。日本の地図記号ではまず定着しない方式ですが、一部の駅名を略して駅コード(3レターコード)として、駅ナンバリングと併記するという取り組み(例えば渋谷を「SBY」とするなど)は、これに似たものと言えます。

 

なお、この略語の他に、イギリスでも「TOURIST INFORMATION」の項を設けており、ここではピクトグラムに準じた記号(下図参照)が掲載されています。

 

イギリスの地図記号

↑イギリスの地図記号↑

アメリカ式地図記号

アメリカの建物や施設を表す記号は、ほぼピクトグラムとなっています。もちろん、それ以外の記号は日本と同じく、複雑怪奇な地図記号が多く存在しており、一般の人々が触れ合いやすい部分に限り、表記を簡略化していると言えるでしょう。

 

アメリカの地図記号

↑アメリカの地図記号↑

 

まとめ

このように、各国地図記号の「わかりやすさ」には様々な対策を取っています。地図というのは本来、軍事作戦のための資料でした。ですから、それを観光客に対応させるというのにはいささか無理があり、今の時代、昔のままのルールを使い続けるというのは難しくなっていると言えます。そのような流れで、日本も「わかりやすさ」を意識した新たな記号がようやく制定されました。

しかし、あくまでも外国人向けに限り、旧来の記号も引き続き使用されます。この裏には、所轄官庁同士のせめぎあいと言いますか、大人の事情があるような気もします。

 
 

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