中学受験 歴史シリーズ。第14回目は『日本の歴史 – 近代(明治時代1)』です。
前回の講義『日本の歴史 – 近世(江戸時代4)』では、開国前後の様子と江戸幕府滅亡までの動きについて見てきました。
大政奉還、そして戊辰戦争を経て江戸幕府が滅ぼされ、近代社会の幕開け、明治時代が始まります。およそ680年ぶりに幕府の政治から、朝廷の政治、つまり天皇を中心とした国の営みに戻ったわけですが、これと同時に、明治政府は、欧米先進諸国にならって政治・経済・社会体制の整備を目指し近代化を進めていきます。しかし、日本の近代化は世界に100年以上遅れを取っていました。ですから、欧米に追い付け追い越せと、破竹の勢いで日本は近代化を進めていきます。では、日本はどのようにして近代化を推し進めてきたのでしょうか。今回は、明治政府が行った欧米に負けない強い国づくりの中身を学習します。
それでは確認していきましょう。
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前回までの学習内容【おさらい】
本題に入る前に、前回までに学習したことをおさらいしましょう。歴史の学習は連続性が重要です。歴史の分野では毎回、復習問題をまず解いてから始めましょう。
問題1 1853年、アメリカの【 】が【 】に来航し、開国を求めた。
問題2 1854年、江戸幕府は【 】を結び、【 】と【 】を開港した。
問題3 1858年、大老【 】の独断専行で、天皇の許可を得ないまま日米修好通商条約が結ばれた。
問題4 日米修好通商条約は、日本側に【 】が無い、また【 】であるといった点で日本にとって不平等であった。
問題5 開国直後の1865年の日本の貿易相手国は、輸出、輸入ともに【 】が最大であった。
問題6 1865年の日本の最大輸出品は【 】、最大輸入品は【 】であった。
問題7 1858年~1859年にかけて、吉田松陰ら約100名の開国反対派が処罰されたことを【 】と呼ぶ。
問題8 1863年に勃発した薩英戦争の原因は、その前年に発生した【 】である。
問題9 1864年、長州藩の下関砲台がイギリス・アメリカ・オランダ・フランスの四か国に占拠された事件を【 】と呼ぶ。
問題10 1866年、土佐藩の【 】の仲立ちにより、長州藩と薩摩藩で同盟が結ばれた。
問題11 1867年、第15代将軍、徳川慶喜慶喜は大政を天皇に返上した。これを【 】と呼ぶ。
問題12 1867年、朝廷と密通した倒幕派の工作によって【 】が発布された。
問題13 1868年、新政府軍と旧幕府軍との間で【 】が勃発し、旧幕府軍が降伏する五稜郭の戦いまで、約1年間、日本史上最大の内戦となった。
▼ 解答をみる
明治政府維新
大政奉還とその後の王政復古の大号令によって江戸幕府の権力は無くなりました。そして、始まった戊辰戦争のさなか、新しい政府である明治政府は、新たな国づくりに着手します。「維新」とは「すべて改まり新しくなること」を意味します。つまり、これまでの古い仕組みを全て取り替え、近代的な国を作っていくと言うことです。
明治政府の二大方針
五か条の御誓文(1868年)
明治政府の基本的政策を示した5つの条文。政治の方針。明治天皇が神に誓う形式で示す。
【内容】
- 一、広く人材を集めて会議を開き議論を行い、大切なことはすべて公正な意見によって決めましょう。
- 一、身分の上下を問わず、心を一つにして積極的に国を治め整えましょう。
- 一、文官や武官はいうまでもなく一般の国民も、それぞれ自分の職責を果たし、各自の志すところを達成できるように、人々に希望を失わせないことが肝要です。
- 一、これまでの悪い習慣をすてて、何ごとも普遍的な道理に基づいて行いましょう。
- 一、知識を世界に求めて天皇を中心とするうるわしい国柄や伝統を大切にして、大いに国を発展させましょう。
五榜の掲示(1868年)
明治政府が五箇条の御誓文の発表と同時に、庶民が守るべきことを示した5枚の高札(人々が集まる道端などに設置されている札)。
【内容】
- 一札:儒教的道徳観の尊守。また、殺人・放火・強盗の禁止。
- 二札:民衆運動(一揆)の禁止。
- 三札:キリスト教の禁止。ただし、外国からの批判を受け、この決まりは1873年に廃止。
- 四札:攘夷の禁止
- 五札:居住地から脱走することの禁止。
中央集権国家の復活
版籍奉還(1869年)
江戸時代、土地と人民は各藩の大名によって支配、管理されていたが、これらの権限を藩主(大名)から天皇へ返上。つまり、鎌倉時代以前の状態に戻った。ただし、藩主は当面の間、知藩事として残された。
廃藩置県(1871年)
版籍奉還後も、しばらくは藩が残り、知藩事が地方自治をしていたが、1871年にこれらも刷新され、大名による地方の支配が修了。藩を廃止して県又は府を設置(重要地:京都・大阪・東京は府)。また、各府県には県令・府知事が中央から派遣された。
明治政府の二大スローガン 富国強兵・殖産興業
明治政府の当面の目標は、江戸時代末期に結ばれた諸外国との不平等条約の解消です。それを実現するには、欧米に負けない軍事的、経済的強さを持たなければなりません。そこで明治政府は富国強兵、殖産興業をスローガンに強力な軍隊を作り、近代産業を興しました。
富国強兵 – 社会制度の改革
江戸時代、武士が特権階級として、唯一刀を持つことが出来た存在でしたが、明治政府はこれを改め、国民全てが平等(形式上)、そして全ての国民に兵役の徴兵令として義務を負わせ、有事の際に備えました。一方、武士は特権を失いました。
四民平等
士・農・工・商の区別が無くなり、平民となる。平民も苗字を持てるようになる。ただし、皇族や貴族などは華族として、また元武士は士族として、階級上の区分は存在した。
【結果】
- 徴兵令(1873年):満20歳以上の男子(但し長男は除く)に徴兵の義務。
- 廃刀令(1876年):刀を持つことの禁止。
※名字帯刀という武士の特権がこれで焼失。
※士族の不満が溜まる。後の自由民権運動(言論による政府批判)、また西南戦争(武力による政府批判)に繋がっていく。
地租改正 1873年
新しい税制の準備。江戸時代までは米(年貢米)で納めていたものを、現金に変更。
【内容】地価を定めて地券を発行し、不動産としての所有権を認める。地租の税率は3%で、土地所有者が現金で納める。
【結果】農民の負担は変わらず、各地で一揆が発生。「竹槍で、ドンと突き出す、二分五厘」。それを受けて、1877年には地価の2.5%へ税率が引き下げになる。
学制1872年
教育は国づくりの要件。「読み書きそろばん」の出来る子どもを育成。
【内容】義務教育の開始。6歳以上の男子、4年間の義務教育(公立)、1907年には6年間に拡大。
※私立教育も相次いで始まる
- 慶應義塾:創設者 福沢諭吉(学問のすすめの著者)
- 東京専門学校(後の早稲田):創設者 大隈重信(後の総理大臣)
- 同志社:創設者 新島襄(キリシタン)
- 津田塾(女子英学塾):創始者 津田梅子(女子教育の先駆者)
殖産興業 – 近代産業のおこり
江戸時代の約260年間に、世界からもっとも遅れをとったのが産業です。その為、「お雇い外国人」を通して、明治政府は欧米の技術をどんどん取り入れ、短期間に日本の近代化を推進させました。もちろん、同時に多くの留学生などを欧米先進国に使節団として派遣し、近代的な学術や技術を習得させ、日本独自のものに仕立てていきました。明治初期から30年間の間に、官民合わせて20000人近くものお雇い外国人が招かれ、経済の発展の基礎となる、交通や通信の整備を手始めに、彼らは欧米式の考え方、技術、諸制度、生活様式の普及など、様々な分野で活躍しました。
電信(1870年)
東京~横浜間にブレゲ指字電信機(針が文字を指す)を使った電信が開通。その後、全国へ、さらにアメリカ、ヨーロッパとの通信が可能になり、世界の情勢が瞬時に伝わるようになった。イギリスの技術を用いる。
郵便制度(1871年)
誰もが平等に使える、全国一律の郵便の始まり。前島密が建議し、1871年に東京~大阪間で開始。翌年には全国に広がった。
鉄道(1872年)
新橋~横浜間に日本で最初の鉄道が開業(蒸気機関車を使用)。イギリスの技術を用いる。
官営規範工場の建設
問屋制家内工業(マニュファクチュア)から工場制機械工業への転換の為に、国がそのお手本として工場を開設。その後、その技術は民間に受け継がれていった。
富岡製糸場 – 群馬県(1872年)
フランスの技術を用いた近代的な工場。生糸の生産を強化し、輸出を拡大。貿易収支の改善に努めた。
※富岡:養蚕がさかん。近隣で石炭が産出される。広い用地、十分な水を確保できるなどの理由で、この場所が選定された。
北海道の開拓
1869年に蝦夷地を北海道と改称、北海道開拓使を設置する。アメリカ人を中心に78人のお雇い外国人を招き入れ、アメリカ式の大農場制度を移植した。また、1873年には北方警備と開拓とを兼任させる屯田兵制を開始し、初期は東北地方の士族が多く活躍した。
※札幌農学校の開設:初代教頭、ホーレス・スミス・クラーク(クラーク博士)。「Boys be ambitious」の言葉を残し、自分を誘った新島譲に会って帰国。
文明開化
江戸時代の鎖国から一変し、欧米の文化が一気に入り込んできた明治時代初期には、人々の生活や文化も大きく変わりました。この日本の制度・習慣などが西洋化したことを、文明開化と呼びます。都市の人々は和服から洋服を着るようになり、港町横浜では洋風レンガ建築の街並みに、ガス灯が灯りました。アイスクリームが日本に持ち込まれたのもこの頃です。また、日本人が牛肉を食べるようになり、「すき焼き」として親しまれるようになりました。古い日本の文化が消えてしまったという見方もありますが、当時は欧米諸国による植民地化への危機感、また不平等条約の解消の為にも、見よう見まねで人々の生活様式の西洋化を進めました。
断髪令(1871年)
髪型を自由にして構わない(まげにする必要はない)という決まり。実際には、ほとんどの人がまげをやめて、洋風の散髪になり、服装も洋装に切り替わった。1873年には明治天皇も断髪した。
文明開化を揶揄する流行り歌の一節
「散切り頭を叩いてみれば文明開化の音がする」
太陽暦の採用(1872年)
カレンダーを従来の太陰暦から西洋式の太陽暦に変更。
その他
活字印刷技術の発展と日刊新聞の発行・肉食の始まり、牛乳飲用の開始、など
歴史の学習
中学受験の多くを占める歴史は、年表や人物名など暗記部分が大量になります。年代ごとにまとめたり、人物にフォーカスして時代背景を学んだり、文化財や地理的要素から歴史を探るという方法もあります。膨大な知識が必要となる歴史ですが、興味のある角度から切り取っていくと案外スッと覚えることができます。
No. | テーマ | 内容 |
1 | 旧石器時代・縄文時代 |
旧石器時代、縄文時代の暮らしや文化を解説。 |
2 | 弥生時代 |
古代、弥生時代の暮らしや文化を解説。 |
3 | 古墳時代・飛鳥時代1 |
古代、古墳時代、飛鳥時代、氏姓制度、古墳時代の終焉から 聖徳太子の時代、飛鳥時代の始まりを解説。 |
4 | 飛鳥時代2・奈良時代1 |
古代、飛鳥時代、奈良時代、大化の改新、平城京、 聖武天皇と仏法などを解説。 |
5 | 奈良時代2・平安時代1・平安時代2 |
古代、奈良時代、平安時代、藤原氏の摂関政治、 浄土真宗、武士の台頭、源氏の進出を解説。 |
6 | 平安時代3・鎌倉時代 |
中世、平安時代、鎌倉時代、平氏、封建制度、 執権政治、承久の乱暮を解説。 |
7 | 室町時代 |
中世、室町時代、南北朝の動乱、 東アジアの情勢、経済、産業を解説。 |
8 | 戦国時代 |
中世、戦国時代、都市の発展、ヨーロッパの 状況や文化を解説。 |
9 | 安土桃山時代 |
中世、安土桃山時代、織田信長、豊臣秀吉、 徳川家康の天下統一を解説。 |
10 | 江戸時代1 |
近世、江戸幕府の成立、外交、鎖国、 徳川綱吉の時代を解説。 |
11 | 江戸時代2 |
近世、江戸時代、産業の発展と文化、 三大改革を解説。 |
12 | 江戸時代3 |
近世、江戸時代、ヨーロッパ諸国の市民革命、 産業革命を解説。 |
13 | 江戸時代4 |
近世、江戸時代、ペリー来航、大政奉還、 江戸幕府滅亡を解説。 |
14 | 明治時代1 |
近世、明治時代、明治維新、富国強兵、 文明開花を解説。 |
15 | 明治時代2 |
近世、明治時代、西南戦争、大日本帝国憲法の制定、 立憲国家を解説。 |
16 | 明治時代3 |
近世、明治時代、日清・日露戦争、産業革命、 日本の領土を解説。 |
17 | 大正時代 |
近代、大正時代、第一次世界大戦、 大正デモクラシーを解説。 |
18 | 昭和時代1 |
近代、昭和時代、、関東大震災、満州事変、 日中戦争、世界恐慌を解説。 |
19 | 昭和時代2 |
近代、昭和時代、領土、民主化政策、 第二次世界大戦を解説。 |
20 | 昭和時代3 |
近代、昭和時代、高度経済成長、第一次石油危機、 戦後の国際関係を解説。 |
21 | 平成1 |
現代、平成、バブル崩壊、冷戦、 文化、経済を解説。 |
22 | 平成2・令和 | 現代、平成、令和の経済、政権交代、東日本大震災など 日本を取り巻く環境を解説。 |
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