中学受験 歴史シリーズ。第7回目は『日本の歴史 – 中世(室町時代)』です。
前回の講義『日本の歴史 – 中世(平安時代3・鎌倉時代)』では、平安時代から鎌倉時代の文化や政治などについて見てきました。
1333年に後醍醐天皇の執念で鎌倉幕府が滅ぼされると、後醍醐天皇はすぐに政治の立て直しを始めます。しかし、鎌倉幕府討幕の時代から重用してきた足利尊氏との関係性の変化から敵対することとなり、足利尊氏が勝利します。室町時代の名前の由来は、足利氏が幕府を開いた京都の室町に由来します。つまり、室町時代は武家政権ながら、再び日本の中心は京都に戻ったのです。しかし、幕府の力は弱く、国はあまり安定せず、鎌倉時代よりも長く続いていながら歴史の中でもあまり存在感のない時代です。室町時代末期に乱れた国はそのまま戦国時代へと突入してゆきます。一方で民衆(町人や農民)が力をつけてきた時代でもあります。民衆が自治を行ったり、反乱を起こすようになってきました。
それでは確認していきましょう。
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前回までの学習内容【おさらい】
本題に入る前に、前回までに学習したことをおさらいしましょう。歴史の学習は連続性が重要です。歴史の分野では毎回、復習問題をまず解いてから始めましょう。
問題1 1180年、伊豆の流刑地にいた【 】、そして木曽義仲が平家打倒の兵を挙げた。
問題2 源頼朝の家来となった武士は【 】と呼ばれ、主君である頼朝とは【 】と【 】という関係で結ばれた。この主従制度を【 】という。
問題3 1185年、源義経は【 】の戦いで平氏を滅ぼした。
問題4 頼朝は平氏が滅ぼされた後、義経追討の理由で、国ごとに【 】と、荘園や公領ごとに【 】を置くことを朝廷に認めさせた。
問題5 1192年源頼朝は【 】に任命され、鎌倉幕府を開いた。
問題6 【 】は将軍を補佐する役職で、北条氏が世襲し、幕府の実権を握った。
問題7 【 】は御家人の訴訟や裁判に関わる事務を扱う役所である。
問題8 【 】は御家人の統率及び軍事、警察の仕事に携わる役所である。
問題9 【 】は幕府の財政や一般的な事務に携わる役所である。
問題10 承久の乱の後、朝廷と西国武士の監視の為に【 】が設置された。
問題11 承久の乱の中心人物で、乱の後、隠岐に流されたのは【 】である。
問題12 承久の乱がおきたとき、御家人の前で演説した頼朝の妻は【 】である。
▼ 解答をみる
南北朝の動乱
鎌倉幕府を滅ぼした後醍醐天皇は1334年に新たな元号を「建武」と改め、武家と公家を統一して天皇中心の政治を目指した(建武の新政)。しかし、この政治は恩賞が不公平(武士に対する恩賞が少ない)であったこと、公家・寺社中心の政治であったこと、朝廷が政治に不慣れになっていたこともあり、長続きしませんでした。
後醍醐天皇による建武の新政(1334年)
【内容】院政・摂政・関白の否定。公家重視。
【結果】武士の不満がたまる。足利尊氏は源氏の幕府の再興を考える。
南北朝時代(南北朝の動乱)
足利尊氏は武士による政治の復活を目指して挙兵。後醍醐天皇は吉野(奈良県)へ逃れ、南朝を開く。建武の新政は2年で終わる。足利尊氏、光明天皇を擁立、京都に北朝を開く。つまり、天皇が奈良と京都に2人存在する時代が約60年続く。(それぞれ全国の武士を味方につけて争った)
1338年、足利尊氏、光明天皇から征夷大将軍に任命される。室町幕府の成立。
室町幕府の仕組み
- 侍所:京都市中の警備、軍備、警察
- 政所:幕府の財政
- 問注所:文書、記録の管理
執権を廃止し管領に。執権と管領はともに将軍の補佐の役職だが、事実上の将軍としてふるまえた執権の方が力が強かった。六波羅探題廃止し「鎌倉府」に。守護は国司の権限を吸収し、守護大名へ。のちの戦国大名。
※管領には細川氏・畠山氏・斯波氏が交代で就く。
守護大名の成長
足利尊氏は守護に荘園の年貢の半分を取る権利を与えたことから、全国の守護が力を付けるようになり、領地を広げたり、地頭や新興の武士を味方に付け、守護大名となっていった。管領や侍所の長官は守護大名から主に任命された。一方、将軍の力はあまり強くなく、守護大名によって政治が左右されることも少なくなかった。
南北朝の統一
1392年、三代将軍の足利義満が南北朝統一。幕府の全盛期。室町に花の御所(足利家の邸宅)を建設。室町時代の由来。
北山文化
義満の頃の文化。公家文化と武家文化の融合。
- 建築:金閣(鹿苑寺)義満の別荘
- 能:観阿弥・世阿弥親子が大成
- 狂言:能の合間に演じられる滑稽な劇
東アジア情勢
室町時代には、交通の発達などにより、日本国内の交易も活発になりましたが、周辺の国、中国、朝鮮、それに琉球(沖縄)との貿易が活発になります。また、この結果、銅銭が大量にもたらされ、貨幣経済がさらに浸透しました。一方、この頃には倭寇と呼ばれる日本人を中心とする海賊集団が、猛威をふるっていました。おもな潜伏地は対馬・壱岐・肥前などの九州地方の日本海側で、朝鮮半島、中国大陸沿岸を荒らし回り、人々を捕虜にし、略奪を行いました。
中国
1368年、モンゴル民族を追い出し、漢民族の王朝、明が建国される。倭寇の取り締まりを日本に要求し、足利義満は応じ、国交を開く。日明貿易(勘合貿易)。勘合貿易とは、貿易船を倭寇と区別するための、勘合と呼ばれる合い札を用いた。貿易の中心地は堺(大阪)や博多(福岡)。
- 輸入:銅銭(永楽通宝・明銭)、生糸、絹織物など
- 輸出:刀、銅、扇など
【形式】明に日本が朝貢するという形をとる。(歴代の王朝にならい、中華を中心とする国際秩序の構築する為)。中国の属国(臣下)であることを認めなければならない反面、運搬費や滞在費は主人たる明が負担する。幕府の莫大な収入源となる。
朝鮮半島
1392年、李成桂が、高麗を倒し、李氏朝鮮をたてる。倭寇の取り締まりを日本に要求。義満は応じ、国交をひらく。日朝貿易。幕府だけでなく、守護大名や商人も参加。
- 輸入:木綿・織物(当時、日本でほとんど栽培されていなかった)
- 輸出:銅・硫黄
琉球王国
1429年、中山王の尚巴志が、三山を統一し、琉球王国を建てる(北山・中山・南山)。日本、明、朝鮮、東南アジアを結ぶ中継貿易で栄える。
蝦夷地
アイヌ民族の土地。交易を行い、サケやコンブが京都にもたらされる。15世紀になると和人(東北以南の日本人)が進出し、南部に館を建てる。アイヌ人を圧迫。コシャマインの蜂起。
経済・産業
明との貿易が盛んになり、大量に銅銭がもたらされ、貨幣経済が大きく広まります。また、室町時代になると、職人が誕生し、職人が作った品物(例:下駄や傘、織物など)が「市」で売られるようになります。荘園の中心や寺社の門前、港や交通の要地などには定期市(月に6回:六斎市)が立ち、商人が商売を行い、宋銭や明銭が使われ、貨幣経済は地方にまで広がっていたと考えられています。そして、室町時代には様々な産業が生まれていったのです。
土倉・酒屋と呼ばれる高利貸し(貸金業者)の増加
銅銭は輸入が頼りで圧倒的に数が不足していた。現在の質屋のように物品を担保とし、それに相当する金銭を高利で貸与。当初は寺社などから保護を受けていた。その物品を土倉で保管。資金力から、土倉を営む酒屋も出現。高利貸し業者は、そのまま「土倉」「酒屋」と呼ばれ、都市での主導権を握るようになっていく。(寺社や幕府よりも強くなってくる)
各地の手工業が発達・特産品の誕生
- 陶器(瀬戸):瀬戸物
- 絹織物(京都):西陣織
- 酒・油・紙など(博多)
- みかん(紀伊)
- ぶどう(甲斐)
- 茶(京都、宇治)
- 木綿(三河) ※それまでは朝鮮からの輸入に頼っていた。
輸送業の発達
産業の発達から、室町時代には交通が大きく発展した。
- 馬借:陸運業者。馬の背で荷物を運ぶ。道路事情が悪く、牛や馬で荷車で輸送するのは難しかった。
- 問:倉庫業
- 座:商工業者の同業者組合。貴族や寺の保護を受け、営業を独占。
都市の発達
港町・門前町(寺の周辺)・城下町(城の周辺)の発達。京都や堺では町衆という組織が町の自治を行った。
民衆の目覚め
鎌倉時代に中国地方、近畿地方で始まった二毛作は室町時代には関東地方まで広まり、水車のような灌漑設備が作られ、牛馬のふんが肥料に使われるようになり、生産性が向上しました。そんな中、農村では荘園制が崩れ、有力農民のもとに惣と呼ばれる組織がつくられ、農民も自治を行うようになりました。
農民の自治
- 惣:荘園にとらわれない自治的な村
- 寄合:惣での会議
村の掟や、共有地である入会地、灌漑用水の利用などについて決める。
村八分
掟を破ると村八分になる。地域の生活における十の共同作業のうち、二つを除いて参加できなくなる。
- 火災の消化
- 死体の処理
- 成人式
- 結婚式
- 出産
- 病気の世話
- 家の修理改築
- 水害時の協力
- 年忌法要
- 旅行
農業技術の進歩
- 二毛作:年に2度、違う作物を栽培。米と麦。
- 牛馬耕:牛や馬を使って、土地を耕す。
民衆の反乱
正長の土一揆(1428年)
近江国の馬借、農民たちが徳政令(借金帳消し)を要求。酒屋・土倉を襲撃。以後度々発生し、幕府も徳政令を乱発(世の中の混乱)。
山城の国一揆(1485年)
山城国(京都)の国人が守護大名畠山氏を追い出す。8年間自治を続ける。
加賀の一向一揆(1488年)
加賀(石川)の一向宗(浄土真宗)信者が反乱。以降100年間自治を行う。『百姓の持ちたる国』。下の者が上のものを実力で倒す、下克上の世の中に入っていく。
室町幕府の衰退
守護大名による連合政権であったとも言える室町幕府は当初から将軍の権力基盤は弱く、三管領(細川氏、斯波氏、畠山氏)などの影響力が強くなっていました。また、貨幣経済が浸透しても、幕府は貨幣を鋳造せず、経済力を握ることは出来ませんでした。
一方、守護大名は、各地の商工業者や有力農民と結びついたり、独自の交易をすることでますます力を付けていきます。特に三代将軍、足利義満の死後、幕府の力の衰えは顕著で、早くも室町幕府は終焉に向けて進み始めます。そして、その決定打となったのは、応仁の乱と呼ばれる京都での11年にもおよぶ戦いです。この結果、京都は焼け野原となり、多くの寺社が焼け落ちました。現在、京都にある歴史的な建造物のうち、平安時代から残るものは稀で、ほとんどが室町時代以降に再建されたものです。
応仁の乱(1467年)
8代将軍、足利義政の後継争いが原因。
【経緯】義政は実弟(足利義視)を次期将軍に決定(1464年)。後見人は細川勝元(有力守護大名)。富子、男子(足利義尚)を出産(1465年)。後見人は山名宗全(有力守護大名)。東軍 細川勝元 VS 西軍 山名宗全の戦いへ。決着はつかず、最終的には和睦として処理される。幕府の権威は落ち、群雄割拠の戦国時代へ突入してゆく。
【結果】決着はつかず、最終的には和睦として処理される。幕府の権威は落ち、群雄割拠の戦国時代へ突入してゆく。義政のやる気ダウン。1476年、花の御所焼失。義政、一人で小河邸に移る。1482年銀閣を建設。富子は混乱に応じて、富を築く(東軍、西軍双方に高利貸しを行う、応仁の乱後は京都の入り口に関を作り、通行税を徴収)。
北山文化
義政の頃の文化。(義政の心の反映。暗さ、幽玄、わび、さび) ⇔ 北山文化(華麗で貴族的)。
※銀閣があるのが東山。
- 建築:銀閣(慈照寺) 書院造り(たたみ・ふすま・床の間)。地方に逃れた貴族たちによって全国に広まる。日本の住宅建築の源。
- 水墨画:雪舟が大成
- 茶の湯・生け花・連歌・御伽草子(一寸法師・ものぐさ太郎)など
歴史の学習
中学受験の多くを占める歴史は、年表や人物名など暗記部分が大量になります。年代ごとにまとめたり、人物にフォーカスして時代背景を学んだり、文化財や地理的要素から歴史を探るという方法もあります。膨大な知識が必要となる歴史ですが、興味のある角度から切り取っていくと案外スッと覚えることができます。
No. | テーマ | 内容 |
1 | 旧石器時代・縄文時代 |
旧石器時代、縄文時代の暮らしや文化を解説。 |
2 | 弥生時代 |
古代、弥生時代の暮らしや文化を解説。 |
3 | 古墳時代・飛鳥時代1 |
古代、古墳時代、飛鳥時代、氏姓制度、古墳時代の終焉から 聖徳太子の時代、飛鳥時代の始まりを解説。 |
4 | 飛鳥時代2・奈良時代1 |
古代、飛鳥時代、奈良時代、大化の改新、平城京、 聖武天皇と仏法などを解説。 |
5 | 奈良時代2・平安時代1・平安時代2 |
古代、奈良時代、平安時代、藤原氏の摂関政治、 浄土真宗、武士の台頭、源氏の進出を解説。 |
6 | 平安時代3・鎌倉時代 |
中世、平安時代、鎌倉時代、平氏、封建制度、 執権政治、承久の乱暮を解説。 |
7 | 室町時代 |
中世、室町時代、南北朝の動乱、 東アジアの情勢、経済、産業を解説。 |
8 | 戦国時代 |
中世、戦国時代、都市の発展、ヨーロッパの 状況や文化を解説。 |
9 | 安土桃山時代 |
中世、安土桃山時代、織田信長、豊臣秀吉、 徳川家康の天下統一を解説。 |
10 | 江戸時代1 |
近世、江戸幕府の成立、外交、鎖国、 徳川綱吉の時代を解説。 |
11 | 江戸時代2 |
近世、江戸時代、産業の発展と文化、 三大改革を解説。 |
12 | 江戸時代3 |
近世、江戸時代、ヨーロッパ諸国の市民革命、 産業革命を解説。 |
13 | 江戸時代4 |
近世、江戸時代、ペリー来航、大政奉還、 江戸幕府滅亡を解説。 |
14 | 明治時代1 |
近世、明治時代、明治維新、富国強兵、 文明開花を解説。 |
15 | 明治時代2 |
近世、明治時代、西南戦争、大日本帝国憲法の制定、 立憲国家を解説。 |
16 | 明治時代3 |
近世、明治時代、日清・日露戦争、産業革命、 日本の領土を解説。 |
17 | 大正時代 |
近代、大正時代、第一次世界大戦、 大正デモクラシーを解説。 |
18 | 昭和時代1 |
近代、昭和時代、、関東大震災、満州事変、 日中戦争、世界恐慌を解説。 |
19 | 昭和時代2 |
近代、昭和時代、領土、民主化政策、 第二次世界大戦を解説。 |
20 | 昭和時代3 |
近代、昭和時代、高度経済成長、第一次石油危機、 戦後の国際関係を解説。 |
21 | 平成1 |
現代、平成、バブル崩壊、冷戦、 文化、経済を解説。 |
22 | 平成2・令和 | 現代、平成、令和の経済、政権交代、東日本大震災など 日本を取り巻く環境を解説。 |
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