国旗はナショナリズムの象徴、取り扱いは要注意
国旗はその国を示す象徴であり、敬意を示すべき対象物です。しかし、日本において国旗というと、なんだか遠い存在に感じるかもしれません。運動会の万国旗やオリンピックなどの国際試合、あるいはテレビ中継される国際会議などのときくらいしか、見かけないという人もいるかもしれません。家に国旗を出すことも、ほとんど見られなくなってしまいました。逆に国旗を掲げれば、なんだか白い目で見られるということも起きるわけです。
しかし、世界で日本のような国はほとんどありません。私の住んでいるインドネシアでは独立記念日には、町中が国旗と国旗のカラーである赤と白の横断幕によって飾られます。そして、国旗の扱い方には世界共通のルールがあり、それに反するのはマナー違反となります。今回は国旗の正しい掲揚方法を説明します。
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国際儀礼としての国旗の取り扱い方
外務省のホームページには国際儀礼(プロトコール)としての国旗の扱い方が紹介されています。つまり、国旗は国際的なマナーに基づいて取り扱わなければならない存在なのです。国旗は国の象徴であり、国旗に敬意を表することは国際社会の基本的なマナーとしても紹介されています。
国旗の基本的な取り扱い方
国旗の基本的な取り扱い方を10個紹介します。
複数国の国旗を揚げる場合の並び順
2か国の国旗を揚げる場合、外国に敬意を表すため、右(向かって左)に外国国旗を、左(向かって右)に自国旗を掲揚します。ただし、自国旗を優先して上位(向かって左)に掲揚する国も一部存在します。3か国以上の場合は、国名アルファベット順に従い向かって左側から右側へ掲揚するか、ホスト国や議長国の国旗を中央に配置し、それ以外を国名アルファベット順に中央より向かって左側から左右交互に掲揚する場合もあります。
ポールを交差させる場合
卓上に複数の国旗を揚げる場合、ポールを交差させることがあります。祝日にバスや地下鉄に乗ると、国旗と交通局や市の旗が交差して掲げられていることもあります。非常に細かいことですが、この交差させる順序も実は決まっています。向かって左側に外国国旗、右側に自国国旗という点は変わりませんが、ポールの交差する部分は外国国旗のポールが手前になる。国旗とそれ以外の旗を交差させる場合は、上位の旗が国旗になりますので、もしどこかで見かけた場合は、よく観察してみてください。
朝礼で国旗を揚げるとき、怒られた経験ありますか?
私の通っていた小学校では、毎週月曜日の朝礼で国旗を揚げていました。しかし、中学、高校と進むと、そもそも国旗すら掲揚していなかったのではないかと記憶しています。時代と共にそういう習慣も少なくなっているのかもしれません。ちなみに、インドネシアの公立学校では毎週月曜日、必ず国旗掲揚があり、全校生徒、教員が校庭に集まり、直立不動で敬礼し、国旗が揚がるのを待ちます。その際、国歌が流れている場合もあります。
さて、話を戻しますが、小学校などで国旗を揚げるとき、当番の人がポールの一番上まで揚げきらずに、怒られることがあります。これは、基本的な扱い方で示した「国旗をポールに掲揚する場合は、常にポールの最上部に接して揚げなければなりません。」というルールに抵触するからです。確か、縁起が悪いと怒られたかと思いますが、それは半旗をイメージするというのが大きいのではないかと思います。
弔意を表すために掲揚する「半旗」
国の要人が死去した場合、また大規模災害などで多数の犠牲者が出た場合、国旗をポールの半分の位置に掲揚する半旗という慣習があります。国際儀礼の中にも含まれており、「弔意を表す場合は、半旗をあげることもあります。手順はポールの場合、一度旗竿の最上部まであげてから半旗の位置まで下げます。また、降納する場合も、旗竿の最上部まであげてから降納します。」とされています。
日本では主に終戦の日、天皇及び皇族関係者の葬儀、元総理大臣の葬儀の他、諸外国の要人が死去した場合にも半旗が掲揚されます。阪神大震災、東日本大震災の際にも半旗が掲揚されており、政府が各官庁や学校、企業等に半旗の掲揚の協力を求める場合もあります。なお、一部には半旗を掲揚しない国もあります。
「国旗」を侮辱してはいけません
他国に対する抗議、紛争、はたまた負けたサッカーチームのサポーターが相手国の国旗を燃やしたり、破ったりする行為がときどき発生します。またデモなどで自国の国旗を同様に破損する行為もあります。他国の国旗を燃やすことは、相手国国民の愛国心を逆なですることとなり、怒りを買います。最悪の場合、国際問題にも発展しかねません。そのため、日本では外国国章損壊罪が存在します。「外国に対して侮辱を加える目的で、その国の国旗その他の国章を損壊し、除去し、または汚損したる者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。」とされています。
しかし、逆に日本で日本の国旗を破損することに対して取り締まる刑法は存在しません。それでも、器物破損罪に問われる場合はあるようです。ただし、世界の国々を見てみると、国旗の破損などの侮辱行為に対して、何らかの懲罰を課していることの方が多いようです。それだけ国旗というものは尊いものであり、敬意をもって接しなければならないものなのです。破損することはなくとも、ルールを守った扱い方を心掛けたいものです。
まとめ
このように、普段あまり気にかけることはありませんが、国旗にはこのように細かい決まりごとがあるのです。日本の国旗を中心に紹介してきましたが、国旗デザインによっては表裏が発生する場合もあります。特にサウジアラビアのように文字が入っている場合など、特に慎重に扱わなければなりません。実際に、さかさまに掲揚されてしまったというトラブルも発生しています。
また、アメリカの国旗のように左上のカントン部分が常に上側にくるように揚げないとならないなど、国ごとにルールを定めている場合もあります。たかが日の丸と言わず、日本も自国の国旗を大切に扱いたいものです。