色の違いは文化の違い、それぞれの国旗の意味を見てみよう
世界には200以上の国や地域が存在(そのうち日本が承認しているのは196か国)しており、それぞれに国や地域を示す旗があります。日本人にとっては国旗と言えば、運動会で目にする万国旗でしょう。目にも鮮やかな各国の国旗は、運動会のみならずイベントやお祭りの象徴物にもなっています。しかし、それぞれの国旗の意味を考えたことはある人は意外に少ないかもしれません。有名な国はさておき、そもそもどこの国の旗かわからないということもあるでしょう。
そこで今回は、それぞれの国旗の色が意味するものを簡単に紹介しようと思います。もちろん、同じ色でも国によって意味は様々です。例えば、日本の「日の丸」はご存じの通り太陽を示していますが、実は世界で太陽を赤で描く国は多くありません。
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国旗に最も使われる色は「赤」
国旗には基本的に原色と言われるような色、赤、青、緑、黄色、白などの識別しやすい色が組み合わせて使われています。その中でも日本の国旗にも使われている赤色が、実は国旗に最も多く使われている色でもあるのです。その数は100カ国以上にも及びます。目立つ、明るいという部分もあるのでしょうが、その赤色の意味は日本人が抱くイメージとは少し異なります。
ちなみに、色の組み合わせで一番多いのは3色で、次いで4色、2色の順で、日本のようなシンプルな2色のものは案外多くないようです。なお、ここで国旗を例として挙げるときは、色をメインとして紹介するため、2色のものを中心に紹介してゆきます。
国旗の「赤色」が表す意味
日本
冒頭でも述べた通り、日本の国旗の赤色は日の丸の呼び名の通り、太陽を表しています。しかし、日本人の子供が海外に引っ越して、現地の子どもの喧嘩になったという話がある通り、世界のほとんどの国で太陽のイメージカラーと言えば黄色です。そうなると月は何色かということになりますが、世界的に月の色は白色です。話が少しそれましたが、日本の国旗の色違いのようにも見えるのがバングラデシュの国旗を見てみましょう。
バングラデシュ
緑地に赤丸が入っています。子どもたちに言わせれば、日本のパクりとされてしまいますが、全くパクリではありません。この赤色は、独立戦争で流された血の色と言われています(太陽とする説もあり)。実は国旗の赤色は、このように人々の血や情熱、勇気、あるいは革命を示すことが多いのです。
「赤色」をメインに使う国旗の一例
中国
言わずとしれたお隣中国の国旗。赤色に黄色い星はまさに共産党のシンボルですが、これは革命の赤です。同じく社会主義国家のベトナムの赤もほぼ同じ意味合いです。国の歴史と密接に関わっています。
インドネシア
日本と同じ赤と白の組み合わせをしている紅白旗のインドネシア。白色は神聖や純潔など、日本と同じ意味合いですが、赤は勇気や情熱を示します。このような意味合いで赤を使っている国は他にも多く存在します。
シンガポール
同じく赤白でも、赤を別の意味に取っているのがシンガポールです。インドネシアの国旗に似ていますが、月と星のマークが入ります。このシンガポールの赤色は親愛や国民の平等を表していると言われています。
カナダ
ちょっと特殊な意味合いを持つのはカナダの国旗の赤色です。中央にカエデの葉っぱが配されたカナダの国旗は有名ですが、両端の赤色は実は太平洋と大西洋を示しています。海を赤で表現するとはなかなか珍しいのではないかと思います。
2番目に使われているのは「青」
日本の周辺ではあまり馴染みのない青色の国旗ですが、実は2番目に多く使われています。日本人にとっては海や空のイメージが強い青ですが、その他にも自由や正義・名誉・純潔さなどが込められていることが多いようです。ただ、2色の旗に絞るとその組み合わせは青と黄色、青と白などに限られ、3色旗に多く使われている傾向があります。
「青色」をメインに使う国旗の一例
フィンランド
白地に青色の十字が横たわるフィンランドの国旗。まさに北欧といったイメージのデザインですが、その由来もその通りで、青は湖や海、そして空を、白は国土を覆う雪を示しています。なお、十字が横たわる国旗は北欧地区に多く存在しますが、これはスカンディナヴィア十字と呼ばれています。
ウクライナ
青色と黄色の組み合わせのウクライナの国旗ですが、青色は空、金色は草原実る小麦を表すとされており、まさにウクライナの平原のイメージにぴったりと言えるでしょう。
パラオ
日本の国旗の色違いのような青地に黄色い丸印のパラオの国旗。この青色はパラオが太平洋上に位置することからもわかる通り、海の青色であると同時に、過去の植民地の統治からの脱出を表していると言われています。
アメリカ
三色旗の中に入っている青色も見てみましょう。言わずと知れた星条旗ことアメリカの国旗。州の数を示した星の部分の地色が青色になっていますが、戒心、忍耐、正義を表しています。アメリカのように赤・青・白の組み合わせは多くの国旗で採用されていますが、遡ればイギリスの国旗、ユニオンジャックに至ります。その影響を受けて、例えばマレーシアの国旗など似たような国旗は多く存在しています。
「緑色」の意味は自然だけじゃない
3番目に使われている色は緑です。緑と言うと、やはり自然の緑をイメージする人が多いでしょうが、それだけではありません。例えば、緑地に白色でアラビア文字と刀剣を示した特徴的なサウジアラビアの国旗。サウジアラビアと言えば、砂漠が多くを占め、緑豊かな大地とは程遠い場所です。では、この緑は何を示しているのでしょうか?実は緑色はイスラム教のイメージカラーなのです。そのため、イスラム諸国では緑を国旗のメインの色として配していることが多くなっています。
「緑色」をメインに使う国旗の一例
パキスタン
緑色と白色の典型的な組み合わせのパキスタンの国旗。メインの緑色はもちろんイスラム教を示していますが、残りの白色はイスラム教徒以外の少数派の存在を表していると言います。
バングラデシュ
冒頭でも紹介した緑地に赤丸のバングラディシュの国旗ですが、この緑地は何を示しているのでしょうか。バングラデシュも国民の多くがイスラム教徒の国として知られていますが、緑豊かな自然の色を表しています。対立関係にあった隣国パキスタンのイスラム教徒の緑とは区別して、色を濃くしているとも言われています。
ナイジェリア
ギニア湾に面したアフリカ中西部の国、ナイジェリア。アフリカ屈指の経済大国でもありますが、国旗の色は緑色で森林と天然資源、農業を、白色は平和、統合を表しています。イスラム教徒とキリスト教徒の比率は半々くらいです。
まとめ
このように国旗の色一つを見てみても、その捉え方は国それぞれです。しかし、その意味を読み取ると、その国の歴史や成り立ち、文化を読み解くヒントにもなります。ここではあくまでも一部の国をピックアップすることしか出来ませんでしたので、国旗のデザインに興味を持った人は、是非自分でも調べてみてください。