多くの国旗で採用されている星のデザイン、単に格好いいという理由だけではありません。世界には200余りの国々が存在しますが、そのうち70か国以上で国旗に星や月のデザインを取り入れています。世界には様々なデザインの国旗があり、日本のようなシンプルな日の丸タイプ、三色旗、十字のデザイン、それにイギリスのユニオンジャックなど、例を挙げたらキリがありませんが、およそ3か国に一か国は星や月のシンボルを国旗に取り入れていることになります。
ただ、国や地域によって、星そのものが意味するものは大きく異なります。ここではいくつか存在するパターンにわけて、国旗の星に込められた意味を紹介します。
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国旗の「星」「月」に込められた意味
「星」の数が州などの数を表す国旗
言わずと知れた星条旗と呼ばれるアメリカの国旗を知らない人はいないでしょう。赤白の縞模様と右上にあるたくさんの星、これらの数には意味があり、いずれも州の数に由来しています。赤白の計13本の線は独立時の、50ある小さな星は現在の州の数を表しています。つまり州の数が変わると、この星の数も変わり、これまでに26回も変更が加えられています。アメリカの歴史は独立の歴史でもあります。
ですから、この小さな星のそれぞれには、自由や希望などそういう明るいイメージも持ち合わせています。よって、アメリカの国旗デザインは、多くの国にも影響を与えていると言われており、その後星を取り入れた国旗が増える一因にもなっているのではないかと思います。ブラジルの国旗も小さな星々は各州を示しており、アメリカの星条旗同様に、星の数が増減する性格を持っています。
クック諸島、サモア、ソロモン諸島、ツバルなどの国旗も似たような意味合いです。
黄色い「星」は社会主義のシンボル
世界で最初の社会主義国として誕生したソ連、赤地に黄色で鎌とハンマー、それに星が描かれ、これが以後共産党の象徴物のようになっていきました。鎌とハンマーは農民と労働者の団結、そして星には団結の先にある共産党の勝利と言った意味が込められており、星のデザインは鎌とハンマーと共に共産党のシンボルマークになっています。
中国、ベトナム、北朝鮮、キューバと、いずれの社会主義国にも星が採用されています。なお、細かい解釈は各国で異なり、例えば中国の場合、大きな星は共産党、それを取り巻く4つの星は労働者・農民・知識階級・資本家を表していますが、ベトナムの場合、一つの大きな星だけで労働者・農民・兵士・青年・知識人を表しています。
「月」と「星」はイスラムの象徴
自由主義国、社会主義国でも採用されている星マークですが、イスラム圏でも広く採用されています。特にイスラム圏の国旗では星と月の組み合わせになっていることがほとんどです。
イスラム教世界では太陰暦が採用されており、月はイスラム教にとって神聖なものです。国旗に月と星がデザインされていたら、その国はほぼイスラム教徒の多い国ということになります。しかし、建国時の状況と現在が大きく変わっている例もあり、誰もが知っているシンガポールは、もはやイスラム教の国ではなく、華人の持ちたる国というのが実情ですが、国旗にはしっかり月と星が入っています。
逆に国民の9割方がイスラム教徒のインドネシアのように、イスラム教を国教とせずに他民族共存の方針をとっているため、国旗に月や星が入っていないという例もあります。パキスタン、トルコ、アルジェリア、リビアなどが代表例です。
南十字星のイメージの国旗
ちょっと特殊な星の使い方を最後に紹介します。オーストラリアとニュージーランドの国旗はよく似ていると言われますが、いずれも青地に星がいくつか入っています。
この他、パプアニューギニアの旗にも同様に似たような星が配列が見られます。
これらの星はほぼ十字型になるよう規則正しく並んでいますが、実はこれ、南十字星を表しています。南十字星は南半球からしか見えませんので、これらの国は明確に南半球にあることを主張しているのです。同様のモチーフはオセアニアのいくつかの国々の国旗でも見ることが出来ます。星がデザインされた19カ国を一覧でまとめました。下の記事をご覧ください。
まとめ
このように単に星と言っても様々な意味合いが込められています。本来、相容れない資本主義、社会主義、それにイスラーム世界の国々がいずれも星のデザインを国旗に多く取り入れているのは興味深いことです。国ではありませんが、EU(ヨーロッパ連合)の旗も星が円周上に配置されています。夜空に輝く星には、未来や希望、統一性などのイメージにも結び付きやすく、普遍的な意味合いを人々が感じることが出来るというのが、やはり大きいのではないでしょうか。国旗の星印には世界平和のヒントも隠されているかもしれません。