中学受験 歴史シリーズ。第22回目は『日本の歴史 – 現代(平成2・令和)』です。
前回の講義『日本の歴史 – 現代(平成1)』では、日本のバブル崩壊による不景気、アメリカとソ連の冷戦終結について見てきました。
バブル崩壊後の不景気は、一時的な回復を見せましたが、世界金融危機の発生で日本の景気はどん底にまで落ちてしまいました。その後も東日本大震災、そして新型コロナウイルス問題と、日本は難題を次々に突き付けられ、不景気からの脱却が出来ずにいます。バブル崩壊後、失われた10年と言われたものは、ついに失われた30年に突入してしまいました。世界にでは、世界金融危機の影響をあまり受けなかった中国とロシア(ソ連)は強い力を持つようになり、ロシアのウクライナ侵攻では、核戦争も目前の事態になっています。また、中東地域での民族紛争も増えており、時代は混沌としています。ここで学習している皆さんは、歴史の生き証人として、身の回りで起きている社会問題、時事問題に関心をもって接して下さい。
それでは確認していきましょう。
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前回までの学習内容【おさらい】
本題に入る前に、前回までに学習したことをおさらいしましょう。歴史の学習は連続性が重要です。歴史の分野では毎回、復習問題をまず解いてから始めましょう。
問題1 1980年代後半、株式や土地の価格が異常に高くなって起きた好景気を【 】と呼ぶ。
問題2 中曽根康弘首相は三公社の民営化を進め、日本専売公社は【 】、電電公社は【 】となり、国鉄は【 】各社に分割された。
問題3 1989年に消費税(3%)を導入したのは【 】内閣である。
問題4 1989年、【 】にて、アメリカのブッシュ大統領とソ連のゴルバチョフ書記長が冷戦の終結を宣言し、冷戦が終結した。
問題5 1987年、アメリカとソ連の間で【 】が結ばれ、中射程の核ミサイルを廃棄することが約束されたが、2019年にこの条約は失効した。
問題6 1991年、クウェートに侵攻したサダム・フセイン大統領率いるイラクに対し、国連はアメリカ軍主体の多国籍軍を派遣、攻撃をくわえた戦争は【 】である。
問題7 問6の戦争の後、自衛隊の海外派遣の検討が始まり、1992年に【 】が成立し、自衛隊の海外派遣が本格化した。
問題8 アメリカで発生した2001年9月の同時多発テロの報復として、アフガニスタンを攻撃して【 】政権を倒したアメリカ合衆国の【 】大統領は、大量破壊兵器を保有、開発していることを口実に【 】の開戦に踏み切った。
問題9 2004年に人道復興支援の為に【 】がイラク特措法を成立させ、イラクに自衛隊を派遣した。
▼ 解答をみる
世界金融危機(失われた30年)
2008年に発生したアメリカを発端とする世界金融危機に日本も巻き込まれます。さらに円安による企業の海外進出で国内産業は空洞化し、2011年の東日本大震災による原子力発電所の被災以降、日本は貿易赤字国に転落しました。バブル崩壊後、失われた10年と呼ばれていた不況を脱することが出来ないまま、失われた20年、そして失われた30年へと突入しました。
リーマンショック
2008年9月、アメリカの住宅価格下落(住宅バブルの崩壊)に伴い、低所得者向け住宅ローン(サブプライムローン)が不良債権化(回収出来なくなった債権:貸したお金)し、アメリカの有力投資銀行であるリーマンブラザーズが破綻。それを契機として、連鎖的に大手金融機関が経営危機や破綻に陥り、世界的な株価下落と不況を招いた。これは、1929年に起きた世界恐慌以来の世界的な大不況である。
日本への影響
日経平均株価が大暴落し、約1万2千円から6000円台まで下がった。これは、26年ぶりの安値で、バブル崩壊後よりも酷い水準を記録。製造業を中心に非正規雇用者が解雇される「派遣切り」が社会問題化し(小泉内閣は2004年に製造業への派遣労働を解禁していた)、2008年の年末年始には、生活困窮者が年を越せるように、年越し派遣村が東京の日比谷公園に設置された。リーマンショック前には、1を上回っていた大学新卒者の有効求人倍率は一気に低下し、2009年新卒内定者の内定切り(就職が決まっていながら、直前で会社からキャンセルされること)も大きな問題になりました。以降、再び就職氷河期に突入し、大学新卒者の就職率は約6割まで低下した。この状況は2015年頃まで続くことになった。
いざなみ景気
2002年からリーマンショック前の2008年まで、約6年間続いた史上最長の好景気。しかし、国内総生産の成長は2%前後と微増に留まったこと、また、この間に消費税や社会保険料が引き上げられる一方、賃金は上がらず、個人消費が拡大しなかったことから、一般国民が経済成長の恩恵をうけることはなかった。 そして、リーマンショックによりこの好景気は終わりを迎え、失われた30年へと突入していく。
政権交代
5年半という長期政権を築いた小泉内閣は任期満了に伴い、2006年9月に総辞職した。しかし、リーマンショック後の舵取りは厳しく、安倍晋三(第一次)、福田康夫、麻生太郎と、いずれの内閣も1年程度しか続かず、政権支持率も低迷していた。麻生太郎の失言などもあり、2009年の第45回衆議院議員選挙では、民主党が圧勝して史上初めて初めて非自民を中心とする民主党政権が誕生し、長期政権与党であった自民党はそれまで連立政権を組んでいた与党第二党、公明党とともに野党に転落した。しかし、民主党政権は、鳩山由紀夫内閣、菅直人内閣、野田佳彦内閣と3代に続いたが、いずれもリーダーシップを示せず、特に2011年に発生した東日本大震災への対応の遅さがきっかけとなり、支持率は低迷し、野田首相は2012年12月に総辞職し、再び自民党政権に復帰(第二次安倍内閣)した。
東日本大震災
2011年3月11日に発生した宮城県沖を震源とする巨大地震。日本周辺での観測史上最大の地震であり、大津波・火災などにより東北地方を中心に2万2318名の死者・行方不明者が出た。福島第一原子力発電所におけるメルトダウン発生と放射能漏れ事故は全世界に衝撃を与えた。これの事故により、原子力発電所は順次操業を停止しており、火力発電所での発電量を増やしている為、燃料輸入量が拡大し、日本はこれ以来、貿易赤字国に転落した。
リーマンショックを受けなかった中国
リーマンショックをきっかけに世界的な金融恐慌が発生した中、社会主義国の中国は、一時的な景気低迷は発生したものの、4兆元に上る景気対策と金融緩和を受けて急激な回復を見せ、2010年には経済成長率は12.1%に達した。中国は2010年代に目覚ましい発展を遂げ、家電やスマートフォン、自動車を始めとした工業製品の輸出量が著しく増加し、技術革新も急激に進んでおり、日本メーカーの脅威になってきた。事実、いくつかの日本の家電メーカーは倒産し、国産スマートフォンの生産もやめてしまった。現在、中国は電気自動車の生産で世界的に優位になりつつあり、これまで世界で高いシェアを誇っていた日本製の自動車にも、落ち目が見えてきた。
令和時代
2019年5月2日、日本の元号は平成から令和に切り替わった。「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」の規定に基づき、平成天皇が退位し上皇となり、令和天皇にこの皇位が継承された。ちなみに、上皇が誕生するのは、約200年前、江戸時代後期の光格上皇以来のこととなる。
- 上皇がどのような意味を持つのかわからない人は、鎌倉時代をもう一度復習しよう!
なお、かつての上皇は院政として、引き続き政治への力を持ちづづけていたが、現在の上皇は基本的に公務なども行わない。新たな歴史の幕開けの一方、2020年には新型コロナウイルス問題が発生、人々は家から出なくなり、日本経済は大きく停滞した。景気低迷打破の起爆剤として計画されていた2020年の東京オリンピックは1年延期となった。しかし、コロナウイルスの感染拡大が続く中、大半の会場は無観客開催、外国人の入国も厳しく制限されていた為、1千億円前後とも試算された開催中の観客の消費需要も消失。ホテルなど、東京オリンピックの為に先行投資していたところのなかには、倒産する例も出た。新型コロナウイルスは世界経済にも大きな影響を及ぼしていた。
そんな中、社会主義国の中国、そしてロシアが力を強めていた。中国では習近平国家主席が、ロシアではプーチン大統領が事実上の独裁政権を築いており、中国は自国の少数民族の迫害、また他国への経済的侵略、ロシアはウクライナへの武力侵攻を続けている。また、中国とロシアを後ろ盾とする北朝鮮は弾道ミサイルを日本へ向けて立て続けに撃つなど、世界情勢は混沌としている。
安倍政権の終わり
2012年から2020年まで約8年弱という歴代最長の在任を果たした安倍政権だが、長期政権と引き換えに、末期はいわゆる「政治とカネの問題」と呼ばれるスキャンダルが多数噴出、新型コロナウイルス対策も迷走し、2020年8月28日に安倍晋三は首相を辞任した。在任中は不景気からの脱却の為、「金融緩和」、「財政出動」、「民間投資」の成長戦略を「アベノミクス」と称して実行してきた。また、憲法9条(戦争放棄に関する条文の変更)の改正に強い意欲を示した。東京オリンピック、大阪万博の招致にも成功した。外交面戦略に強く、日本国内での評判に反して、海外からの評価が高い。中国への対抗を明確に打ち出し、日本ブランドの輸出に力を入れ、リーマンショック、東日本大震災後の経済立て直しには一定の成果はあった。
集団的自衛権の容認
2014年7月、安倍内閣は集団的自衛権を使えるようにするため、憲法解釈の変更を閣議決定した。集団的自衛権とは、同盟国などが攻撃されたとき、一緒に反撃することができる権利のこと。自衛隊は海外で武力行使はしないというのが基本的な考え方であったが、理論上、自衛隊も海外で武力行使ができるようになった。日本海側での中国や韓国との関係が緊張したり、北朝鮮が核実験やミサイル発射を繰り返すなど、日本をとりまく安全保障の環境は大きく変わっていることへの対応。PKOに参加する自衛隊が離れた場所にいる他国部隊や国連職員を助ける「駆けつけ警護」での武器使用を可能にする方針も示した。
岸田内閣と二つの事件
安倍内閣の後の菅義偉内閣は、引き続きコロナ対策に追われ1年で総辞職し、現在の岸田文雄内閣に引き継がれた。岸田内閣は「成長と分配の好循環」や「コロナ後の新しい社会の開拓」を目指すための「新しい資本主義」を経済政策として掲げた他、「異次元の少子化対策」への挑戦を表明している。一方で、社会保障財源確保の為に若者を中心とした世代への負担を迫ったり、防衛費を大幅に引き上げるなど、国民からの反発も多い。民意に反した独善的な採決も批判されている。そんな中、2022年7月8日に安倍晋三は奈良県での応援演説中に銃撃され死亡した。また、2023年4月15日には遊説中の岸田首相に爆発物が投げ込まれるなど、混迷した世情を現すような事件が相次いでいる。
防衛費の増強
日本は戦後長らくの間、国内総生産に占める防衛費の割合を1%以下に抑制してきた。しかし、中国の軍事力増強や、ロシアによるウクライナ侵略、北朝鮮による核・ミサイル開発などの安全保障上の脅威増大に対応するため、自民党は2022年の選挙公約において、国内総生産比2%も念頭に引き上げ、防衛力を抜本的に強化することを表明した。岸田首相は「2027年度には防衛費とそれを補完する取り組みをあわせ、現在の国内総生産の2%に達するよう予算措置を講じる」と改めて表明し、毎年度約4兆円の追加財源が必要だと、増税への意欲も説明した。
最低の出生数
2022年の出生数は、80万人を割り込み、統計開始以来最少となった。これは国の予測より8年も早いペースで少子化が進んでいることになる。1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率が最低を示したのは2005年の1.26ですが、2021年は1.30と6年連続で低下し、2005年の出生率すら下回る可能性が出てきた。新型コロナウイルス問題後に欧米では出生数が回復しているが、日本では若者世代への支援不足が明らかになっている。このままでは人口減少の加速に歯止めがかからないと言える。
【影響】
- 人口減少による経済規模の縮小
- 少子高齢化に伴うの労働力不足、特に医療や介護、福祉分野での不足が顕著になる
- 現役世代への社会保障負担の増大
歴史の学習
中学受験の多くを占める歴史は、年表や人物名など暗記部分が大量になります。年代ごとにまとめたり、人物にフォーカスして時代背景を学んだり、文化財や地理的要素から歴史を探るという方法もあります。膨大な知識が必要となる歴史ですが、興味のある角度から切り取っていくと案外スッと覚えることができます。
No. | テーマ | 内容 |
1 | 旧石器時代・縄文時代 |
旧石器時代、縄文時代の暮らしや文化を解説。 |
2 | 弥生時代 |
古代、弥生時代の暮らしや文化を解説。 |
3 | 古墳時代・飛鳥時代1 |
古代、古墳時代、飛鳥時代、氏姓制度、古墳時代の終焉から 聖徳太子の時代、飛鳥時代の始まりを解説。 |
4 | 飛鳥時代2・奈良時代1 |
古代、飛鳥時代、奈良時代、大化の改新、平城京、 聖武天皇と仏法などを解説。 |
5 | 奈良時代2・平安時代1・平安時代2 |
古代、奈良時代、平安時代、藤原氏の摂関政治、 浄土真宗、武士の台頭、源氏の進出を解説。 |
6 | 平安時代3・鎌倉時代 |
中世、平安時代、鎌倉時代、平氏、封建制度、 執権政治、承久の乱暮を解説。 |
7 | 室町時代 |
中世、室町時代、南北朝の動乱、 東アジアの情勢、経済、産業を解説。 |
8 | 戦国時代 |
中世、戦国時代、都市の発展、ヨーロッパの 状況や文化を解説。 |
9 | 安土桃山時代 |
中世、安土桃山時代、織田信長、豊臣秀吉、 徳川家康の天下統一を解説。 |
10 | 江戸時代1 |
近世、江戸幕府の成立、外交、鎖国、 徳川綱吉の時代を解説。 |
11 | 江戸時代2 |
近世、江戸時代、産業の発展と文化、 三大改革を解説。 |
12 | 江戸時代3 |
近世、江戸時代、ヨーロッパ諸国の市民革命、 産業革命を解説。 |
13 | 江戸時代4 |
近世、江戸時代、ペリー来航、大政奉還、 江戸幕府滅亡を解説。 |
14 | 明治時代1 |
近世、明治時代、明治維新、富国強兵、 文明開花を解説。 |
15 | 明治時代2 |
近世、明治時代、西南戦争、大日本帝国憲法の制定、 立憲国家を解説。 |
16 | 明治時代3 |
近世、明治時代、日清・日露戦争、産業革命、 日本の領土を解説。 |
17 | 大正時代 |
近代、大正時代、第一次世界大戦、 大正デモクラシーを解説。 |
18 | 昭和時代1 |
近代、昭和時代、、関東大震災、満州事変、 日中戦争、世界恐慌を解説。 |
19 | 昭和時代2 |
近代、昭和時代、領土、民主化政策、 第二次世界大戦を解説。 |
20 | 昭和時代3 |
近代、昭和時代、高度経済成長、第一次石油危機、 戦後の国際関係を解説。 |
21 | 平成1 |
現代、平成、バブル崩壊、冷戦、 文化、経済を解説。 |
22 | 平成2・令和 | 現代、平成、令和の経済、政権交代、東日本大震災など 日本を取り巻く環境を解説。 |
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