中学受験 歴史シリーズ。第19回目は『日本の歴史 – 近代(昭和時代2)』です。
前回の講義『日本の歴史 – 近代(昭和時代1)』では、世界恐慌、そして日本での軍事主義の広がりについて見てきました。
第二次世界大戦で日本は敗戦国となりました。つまり、侵略国として、世界から様々な制裁を受け、アジアの国々に対して賠償することを求められました。日本はGHQ(連合国軍総司令部)の管理下におかれつつ、民主化を進めていきました。しかし、ロシア、中国、そして北朝鮮といった社会主義勢力が成長するという世界情勢の変化の中で、再び日本の立場が認められ、独立を回復します。1950年の朝鮮戦争勃発をきっかけに日本は好景気に入り、経済復興は早まり、経済大国への道が開かれていきます。
それでは確認していきましょう。
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前回までの学習内容【おさらい】
本題に入る前に、前回までに学習したことをおさらいしましょう。歴史の学習は連続性が重要です。歴史の分野では毎回、復習問題をまず解いてから始めましょう。
問題1 1929年、世界経済の頂点にあったアメリカで突如発生し、深刻な不景気が世界中の資本主義国に広まった。これを【 】と呼ぶ。
問題2 世界的な不景気から切り抜ける為、イギリスやフランスは外国との貿易を制限し、植民地の貿易を拡大する【 】を実施した。
問題3 アメリカのルーズベルト大統領は経済の立て直しを図るために、公共事業などを拡大し、雇用の場を増やすなどする【 】を行った。
問題4 ベルサイユ条約を放棄し、独裁政治を行ったナチスの党首は【 】である。
問題5 ファシスト党の党首【 】は一党独裁を行い、エチオピアを植民地とした。
問題6 ナチスやファシスト党、また当時の日本などが、民主主義を否定して軍国主義的な独大政治を行ったが、この風潮をカタカナで【 】と呼ぶ。
問題7 1931年、関東軍が南満州鉄道の線路を爆破し、これを中国軍の仕業と主張し、満州を占拠した事件は【 】である。
問題8 1932年、海軍将校らが犬養毅首相を暗殺し、政党内閣を終わらせた事件は【 】である。
問題9 1937年、北京の郊外、盧溝橋での事件をきっかけに、宣戦布告のないまま始まった戦争は【 】である。
問題10 1938年、日本政府は戦争遂行の為に、国民や物資を全て戦争に動員できるように【 】を制定した。
問題11 第二次世界大戦は1939年に【 】がポーランドに侵攻したことで開戦した。
問題12 1940年、日本はドイツ、【 】と三国同盟を結んだ。
問題13 1941年12月、日本海軍はハワイの真珠湾を攻撃し、同時に陸軍はマレー半島に上陸し、イギリス軍を攻撃し、【 】が始まった。
問題14 1945年、【 】にて、アメリカ、イギリス、ソ連の代表者が集まり、ドイツの戦後処理やソ連の対日参戦を決めた。
問題15 1945年8月、日本は【 】を受け入れて、連合国に降伏した。
▼ 解答をみる
日本の戦後処理
1945年8月、ポツダム宣言を受諾して降伏した日本は、連合軍に占領されました。アメリカのマッカーサーを最高司令官とするGHQ(連合国軍総司令部)によって、日本が再び世界の脅威になることのないよう、ポツダム宣言に基づく民主化が進められていきました。ただ、これは直接GHQが日本の政治を行うのではなく、GHQの勧告に基づき、日本政府が政治を行う間接統治という仕組みが取られました。
領土
北海道・本州・四国・九州及び連合国が認めた周辺の島々に限られる(ポツダム宣言による)。結果、台湾・朝鮮等の植民地を失う。沖縄、奄美、小笠原諸島はアメリカ領、樺太・千島列島はロシア領となり、このうち、千島列島については、樺太・千島交換条約によって、平和裏に国境線と領土が確定しているが、未だにロシアから返却されていない(北方領土問題)。
非軍事化政策
極東国際軍事裁判(東京裁判)1946年
戦争犯罪人として指定した日本の指導者などを裁き、太平洋戦争開戦時の東条英機内閣の閣僚を中心に28名がA級戦犯として起訴された。東条英機元総理大臣他、7名が死刑となる。その一方で、逮捕されていた共産党員を釈放した。
公職追放(1946年)
戦争に加担したとして、政治家や資本家など21万人が職を追われた(政府の要職や民間企業の要職につくことを禁止された)。
- 鳩山一郎(政治家、鳩山由紀夫の祖父)
- 岸信介(政治家、安倍晋三の祖父)
- 松下幸之助(パナソニック創始者)
- 五島慶太(東急社長) など
財閥解体(1945年)
財閥は戦争中、政府と強く結びつき、資金や兵器等を提供したため、軍国主義の温床と見なされ、三菱・三井・住友・安田などの資産の凍結され、解体された。財閥以外にも、軍需品に関係性のある造船メーカー、製鉄会社、鉱山会社などの巨大企業も解体された。
天皇の人間宣言(1946年)
日本国民のアイデンティティとして、昭和天皇は極東国際軍事裁判で裁かれないこととなった。一方で、天皇の神格化を自ら否定することを求められた。
治安維持法の廃止(1945年)
共産党員弾圧の緩和。政治活動の自由が認められ、政党も復活した。
民主化政策
農地改革
大地主の土地を国が買い上げ、小作人(土地を持っていなかった農民)に払い下げる。この結果、自作地の割合が、約50%から約90%に大幅に引き上がる。
労働三法の制定
労働者の権利を守るために、労働組合法・労働関係調整法・労働基準法が制定される。ストライキ権、団結権、団体交渉権が保障されるようになり、現場労働者を中心に、共産党支持者増大する。
教育改革
教育基本法制定。義務教育が6年から9年へ。教科書から軍国的記述,建国神話などを削除。新しい教科書の印刷が間に合わない為、古い教科書から該当箇所を黒く塗りつぶした黒塗り教科書が登場した。
日本国憲法の制定(大日本帝国憲法の改正)※現在まで一度も改正されていない
1946年11月3日公布、1947年5月3日施行。主権者である国民が直接又は代表者を通じて間接的に制定した民定憲法という形式をとる(⇔欽定憲法)。国民主権、基本的人権の尊重、平和主義が3本柱。天皇は日本国と日本国民統合の象徴として定められる。帝国議会は国会になり、貴族院は廃止された。衆議院と参議院の二院からなる、議院内閣制。
普通選挙の実現
新選挙法(1945年)。選挙権は20歳以上の男女となり、有権者は国民約50%にまで引き上がる。1946年4月戦後初の衆議院議員選挙が行われ、女性国会議員も生まれる。
第二次世界大戦後の世界情勢と日本の復興
第二次世界大戦後、東ヨーロッパにはソ連の後押しで、社会主義国が多数誕生しました。一方、アメリカは西ヨーロッパの資本主義国を支援したため、ヨーロッパはソ連を中心とする東側と、アメリカを中心とする西側に分裂しました。一方で、世界の平和と安全を維持するために、国際連合が設立されました。結果、東西陣営間で直接戦火を交えないものの、厳しい対立が始まりました。日本は資本主義国として、西側陣営の一員として加わることになり、ソ連、そして中華人民共和国といった社会主義国に対する防共の砦(共産主義の防波堤)として日本の機能させるために、アメリカは日本の占領政策を転換します。また、東側陣営にも西側陣営にも加わらない、第三世界も台頭してきました。
国際連合
1945年6月、サンフランシスコ会議で国際連合憲章が採択され、世界平和と国際協力の推進の為、連合国51か国が参加して、1945年10月に国際連合が成立。本部はアメリカのニューヨークにおかれ、現在は約190か国が加盟している。第二次世界大戦を防ぐことができなかった国際連盟の反省から、アメリカ、イギリス、フランス、ソ連、中国などの連合国(戦勝国)が中心となって設立し、この五か国が常任理事国となり、強い権限を持っている。
国際連盟 | 国際連合 | |
---|---|---|
成立 | 1920年 | 1945年 |
本部 | ジュネーブ | ニューヨーク |
議決 | 総会での議決は全会一致制 | 総会での議決は多数決制 |
制裁 | 経済制裁のみ | 国連軍による武力制裁 |
その他 | アメリカなどの大国の不参加 日本・ドイツ・イタリアの脱退 |
安全保障理事会の強い権限 五大国一致の原則(拒否権) ユネスコなどの専門機関の設置 |
冷戦
アメリカを盟主とする西側陣営(資本主義)VSソ連を盟主とする東側陣営(社会主義)のにらみ合い。1949年、西側が軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)を結成すると、東側は1955年にワルシャワ条約機構を結成して対抗した。その他、宇宙開発や核開発など、様々な軍事目的の技術開発で凌ぎを削る争いを続ける。西側陣営と東側陣営のにらみ合いは、衰えることなく、21世紀の今も続いている。
【ドイツ】西ドイツ(資本主義)・東ドイツ(社会主義)に分断(1949年)
ドイツの占領政策を巡るアメリカとソ連の対立からベルリンは東西に分断され、国家も西ドイツ(ドイツ連邦共和国)とドイツ民主共和国(東ドイツ)に分断された。1961年には東ドイツが東西ベルリンの境界にベルリンの壁を建設し、自由な交通を遮断した。
【中国】国民党と共産党の内戦
中国は日本の支配下から解放されると、国共合作は終了し、国民党と共産党が対立する。内戦は共産党の勝利に終わり、1949年に中華人民共和国(主席:毛沢東)が成立し(中国革命)、東側陣営に加わる。国民党は台湾へ逃れ、中華民国を存続(総統:蔣介石)した。中華人民共和国は今もなお、台湾の併合を目論んでいる。
【朝鮮】朝鮮民主主義人民共和国・大韓民国に分断(北緯38度線)
日本の植民地支配から解放された朝鮮半島は北緯38度線を境に北はソ連、南はアメリカに占領され、1948年に北は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、南は大韓民国(韓国)として独立した。1950年、中国革命に触発された北朝鮮が韓国に侵攻したことから朝鮮戦争が始まった。アメリカを中心とする国連軍が韓国を、中国が北朝鮮を支援し、1953年に休戦協定が結ばれるまで続いた。
【日本】アメリカ軍の補給基地となる
朝鮮戦争時、日本はアメリカ軍の補給基地となり、また、大量の軍事物資の注文が入り、特需景気(朝鮮特需)と呼ばれる好景気を迎えた。また、後の自衛隊となる警察予備隊が1950年に設置された。
【ベトナム】ベトナム戦争が勃発(1960年)
ベトナムは、第二次世界大戦前、フランス領インドシナとして、植民地支配下にあったが、1945年9月にホー・チ・ミンの指導でベトナム民主共和国として独立。しかし、アメリカの介入で南ベトナムにベトナム共和国が作られ、南北分断となった。アメリカは1965年にベトナム民主共和国(北ベトナム)に対する空爆(北爆)を開始、ベトナム戦争に突入したが、北ベトナムが勝利し、南北ベトナムが統一され、国名がベトナム社会主義共和国に改称された。
キューバ危機(1962年)
ソ連とキューバは極秘裏に軍事協定を結び、キューバにソ連が核ミサイル基地を建設していることが発覚した。ソ連、アメリカ間の緊張が高まり、アメリカのケネディ大統領が核ミサイル基地の撤去を要求しキューバを海上封鎖した。ソ連のフルシチョフ首相が要求に応じてキューバ危機去ったが、世界中を核戦争の恐怖に陥れた。
第三世界の出現
第二次世界大戦中から、植民地支配に対する独立運動が展開されていたが、大戦後、再び植民地支配を強めようとするアメリカやヨーロッパ諸国を退け、インドネシア、ベトナム、フィリピン、インドなどが独立を果たした。このような新興各国の首脳が集まり、1955年にアジア・アフリカ会議を開いた。
アジア・アフリカ会議(1955年)
インドネシアのバンドンにて(別名バンドン会議)。インドのネルー首相、インドネシアのスカルノ大統領、中国の周恩来首相、エジプトのアブドゥル・ナーセル大統領が中心となって開催。欧米諸国の植民地支配から独立したアジアとアフリカの29ヶ国が参加。反帝国主義、反植民主義、民族自決の精神。東側、西側いずれにも属さない第3の立場を貫こうとする基本的指向が確認された。平和十原則の決議。
【結果】この会議を契機に民族独立の機運が高まり、1960年にアフリカの多くの国々が独立を果たした(1960年:アフリカの年)。
占領政策の転換
GHQは、当初、日本の非軍事化、民主化政策を推進したが、労働運動は過激化し、大規模なデモやストライキが発生するようになっていた。共産主義者の温床となっていた当時の国鉄では、怪事件が複数発生する。さらに、中国大陸では中国共産党が勝利し、日本も社会主義化する恐れが出てきた。そこでGHQは日本を資本主義国として共産主義勢力に対抗出来る勢力に育てることを優先し、戦争指導者の追放(公職追放)の解除や大企業への規制を緩めるなど、占領政策を軟化させた。
一方で、終戦後、解放していた共産主義者に対し、再び圧力をかけ、弾圧するようになる。これを逆コースと呼ぶ。また、赤狩り(レッドパージ)と呼ばれる、報道機関や官公庁、教育機関、大企業などでも共産党員の解雇も行った。
警察予備隊の創設
朝鮮戦争中の1950年、GHQの指令で、日本を防衛する為の警察予備隊が作られた。さらに1954年には警察予備隊を強化した自衛隊となった。
サンフランシスコ平和条約(1951年)
アメリカは日本を西側陣営の一員として加えるべく、日本との講和を急ぎ、1951年にサンフランシスコ平和会議を開いた。この中で、吉田茂首相がサンフランシスコ平和条約に調印し、48か国との間に講和を結び、翌年の1952年に日本は独立国家として主権を回復した。
【内容】日本は朝鮮の独立を承認。台湾・澎湖島、千島列島・南樺太を放棄。南洋諸島を放棄。沖縄・小笠原諸島はアメリカによる統治。交戦国に対する日本の賠償責任を軽減。(フィリピン・インドネシア・ビルマ・南ベトナムへは賠償を続ける。)
調印しなかった国
- ソ連
- インド
- ビルマ(ミャンマー)
- 中国(サンフランシスコ平和会議に招かれていない)
日米安全保障条約(1951年)※サンフランシスコ平和条約と同時
極東の平和と安全の為。独立後も日本国内に米軍が駐在することを認める。日本は駐在軍経費を分担して支払う。これにより、日本は情勢が不安定な中国、朝鮮半島方面へのアメリカの前線基地となった。
戦犯服役者と公職追放解除(1952年)
逆コースにより、公職追放は順次解除されていたが、サンフランシスコ平和条約の発効と同時に、全ての公職追放は解除となった。、岸信介など、開戦当時の閣僚や服役中の戦犯なども追放が解除された。
歴史の学習
中学受験の多くを占める歴史は、年表や人物名など暗記部分が大量になります。年代ごとにまとめたり、人物にフォーカスして時代背景を学んだり、文化財や地理的要素から歴史を探るという方法もあります。膨大な知識が必要となる歴史ですが、興味のある角度から切り取っていくと案外スッと覚えることができます。
No. | テーマ | 内容 |
1 | 旧石器時代・縄文時代 |
旧石器時代、縄文時代の暮らしや文化を解説。 |
2 | 弥生時代 |
古代、弥生時代の暮らしや文化を解説。 |
3 | 古墳時代・飛鳥時代1 |
古代、古墳時代、飛鳥時代、氏姓制度、古墳時代の終焉から 聖徳太子の時代、飛鳥時代の始まりを解説。 |
4 | 飛鳥時代2・奈良時代1 |
古代、飛鳥時代、奈良時代、大化の改新、平城京、 聖武天皇と仏法などを解説。 |
5 | 奈良時代2・平安時代1・平安時代2 |
古代、奈良時代、平安時代、藤原氏の摂関政治、 浄土真宗、武士の台頭、源氏の進出を解説。 |
6 | 平安時代3・鎌倉時代 |
中世、平安時代、鎌倉時代、平氏、封建制度、 執権政治、承久の乱暮を解説。 |
7 | 室町時代 |
中世、室町時代、南北朝の動乱、 東アジアの情勢、経済、産業を解説。 |
8 | 戦国時代 |
中世、戦国時代、都市の発展、ヨーロッパの 状況や文化を解説。 |
9 | 安土桃山時代 |
中世、安土桃山時代、織田信長、豊臣秀吉、 徳川家康の天下統一を解説。 |
10 | 江戸時代1 |
近世、江戸幕府の成立、外交、鎖国、 徳川綱吉の時代を解説。 |
11 | 江戸時代2 |
近世、江戸時代、産業の発展と文化、 三大改革を解説。 |
12 | 江戸時代3 |
近世、江戸時代、ヨーロッパ諸国の市民革命、 産業革命を解説。 |
13 | 江戸時代4 |
近世、江戸時代、ペリー来航、大政奉還、 江戸幕府滅亡を解説。 |
14 | 明治時代1 |
近世、明治時代、明治維新、富国強兵、 文明開花を解説。 |
15 | 明治時代2 |
近世、明治時代、西南戦争、大日本帝国憲法の制定、 立憲国家を解説。 |
16 | 明治時代3 |
近世、明治時代、日清・日露戦争、産業革命、 日本の領土を解説。 |
17 | 大正時代 |
近代、大正時代、第一次世界大戦、 大正デモクラシーを解説。 |
18 | 昭和時代1 |
近代、昭和時代、、関東大震災、満州事変、 日中戦争、世界恐慌を解説。 |
19 | 昭和時代2 |
近代、昭和時代、領土、民主化政策、 第二次世界大戦を解説。 |
20 | 昭和時代3 |
近代、昭和時代、高度経済成長、第一次石油危機、 戦後の国際関係を解説。 |
21 | 平成1 |
現代、平成、バブル崩壊、冷戦、 文化、経済を解説。 |
22 | 平成2・令和 | 現代、平成、令和の経済、政権交代、東日本大震災など 日本を取り巻く環境を解説。 |
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