中学受験 歴史シリーズ。第18回目は『日本の歴史 – 近代(昭和時代1)』です。
前回の講義『日本の歴史 – 近代(大正時代)』では、第一次世界大戦の開戦、国際連盟の設立や大正デモクラシーについて見てきました。
列強に追いつけ追い越せとまい進した、明治、大正時代。第一次世界大戦の戦勝国となり、名実ともに列強入りを果たした日本ですが、大正時代の終わりに発生した関東大震災から世の中が立ち直っていない中、世界を巻き込む大不況、世界恐慌が発生します。経済国入りしていた日本はこの影響を直接受けることになり、暗黒の昭和時代に突入します。日中戦争、第二次世界大戦、そして太平洋戦争と泥沼の戦いへと突き進んでいくことになります。世界を敵に回したともいえるこの昭和時代の戦争は、この後の現代日本に暗い影を落とし続けています。一体何が日本をこのような無謀な戦争に突き動かしたのでしょうか。
それでは確認していきましょう。
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前回までの学習内容【おさらい】
本題に入る前に、前回までに学習したことをおさらいしましょう。歴史の学習は連続性が重要です。歴史の分野では毎回、復習問題をまず解いてから始めましょう。
問題1 バルカン半島の【 】でオーストリアの皇太子夫妻がセルビアの青年に暗殺された。
問題2 問題1をきっかけに【 】が始まった。
問題3 ドイツ、オーストリア、イタリアの三国同盟の対して、イギリスが中心となり【 】が結ばれた。
問題4 日本は【 】を理由に第一次世界大戦に参戦した。
問題5 中国での利権拡大の狙って第一次世界大戦中に中国国民政府に向けて【 】を行った。
問題6 1917年、レーニンの指導のもと、労働者や兵士たちが立ち上がり、臨時政府を倒し、世界で最初の社会主義政権を樹立させた。この出来事を【 】と呼ぶ。
問題7 1919年、第一次世界大戦の講和会議がパリで開かれ、【 】が結ばれた。
問題8 1920年、アメリカのウィルソン大統領の提案により、世界平和を目的とした【 】がつくられた。
問題9 1919年に朝鮮半島で起こった日本からの独立運動を【 】とよぶ。
問題10 1919年、北京での学生集会をきっかけに起きた排日・反帝国主義運動を【 】と呼ぶ。
問題11 【 】は中華民国建国に際しての指導者で、共産党とも協力した。
問題12 問題11の人物の後継者で、1927年に国民政府を樹立したのは【 】である。
問題13 吉野作造は【 】を唱え、普通選挙によって民意を政治に反映させることを主張した。
問題14 憲法学者の美濃部達吉が唱えた国家の主権は国家にあり、天皇は国家の機関であるという学説を【 】と呼ぶ。
問題15 【 】は最初の政党内閣の組織し、平民宰相と呼ばれた。
問題16 選挙資格の制限を撤廃し、25歳以上の男子に選挙権を与える【 】が1925年に制定された。
問題17 1925年には同時に、【 】が制定され、思想や言論弾圧に使われた。
▼ 解答をみる
世界恐慌
恐慌とは経済不況のなかでも極端に悪い状態を指します。一般には好景気の後に、景気が一気に後退する現象と言われています。不景気になると、株価の暴落に始まり、企業の倒産、失業者の増大、人々の購買意欲の低下、そしてモノが売れなくなるといった負のスパイラルに陥ります。このような不況はある一定の間隔で発生するものですが、世界を揺るがす大恐慌が1929年に発生することになりました。第一次世界大戦後、世界はひとまず平和に向けて動き出したかのように見えましたが、これをきっかけに、世界は再び戦争に向けて動き出しました。
関東大震災(1923年/大正12年)
1923年9月1日、11時58分、相模湾北西部を震源とする大地震が発生。この結果、首都東京を中心として、東京、横浜などの都市は壊滅的な被害を受ける。経済の中心地が被災したことで、日本は大きな不景気に見舞われる(震災恐慌)。
【原因】銀行が決済不能(現金の引き出しが出来ない)に陥り、多くの銀行が休業。
アメリカの株式市場大暴落(1929年)
1929年10月24日、アメリカの株式市場が集まるニューヨークのウォール街にて株価の大暴落が発生。この日が木曜日だった為、暗黒の木曜日とも呼ばれている。会社の倒産が相次ぎ、街が失業者で失業者で溢れ、当時、アメリカは世界経済の中心であったために、この混乱は世界中の資本主義国に影響を及ぼし、世界恐慌の引き金となった。工業生産は従来から半減し、所得や物価は大幅に下落、国際貿易も大きく縮小することになる。
【原因】アメリカは第一次世界大戦で戦場とならなかったため、ヨーロッパへの輸出が増えた。しかし,ヨーロッパの経済が立ち直った為、アメリカの輸出量は減少した。生産過剰となり製品が大量に売れ残ることになり、経済の不安が広がっていた。
【日本への影響】当時の主力輸出品であった生糸の輸出がストップ。都市部では多くの企業が倒産。農村部では農作物価格の下落に加え、凶作が重なった。
各国の対策
資本主義国
アメリカ
ルーズベルト大統領がニューディール政策を打ち出し、農作物の政府買い上げや賃金の引き上げ、そして政府が行うダム建設などの公共事業で失業者を雇い、国民の購買力を向上させて経済を安定させた。
イギリス・フランス
自国と植民地との貿易を強め、他国からの輸入品には高い関税をかけるブロック経済を実施し、外国製品を締め出すことによって、経済を安定させた。
社会主義国(そもそも影響を受けていない)
ソ連
社会主義国であるため、世界恐慌の影響を受けなかった唯一の大国。スターリンによる計画経済(5か年計画)を行い、国が主導して農業の集団化、工業の発展を進めた。
資本主義国から、全体主義(ファシズム)国へ
ドイツ・イタリア
有力な植民地を持たないドイツ・イタリアでは、不景気による社会不安を利用して独裁者が現れ、他国を侵略して経済を安定させようとした。ドイツではヒトラー率いるナチスが独裁政治を行い、ユダヤ人を迫害。チェコスロバキアを武力で併合、ソ連と独ソ不可侵条約を結ぶ。イタリアはムッソリーニ率いるファシスト党が独裁政治を行い、エチオピアを武力で併合した。
日本
政党政治が終わり、再び軍部が台頭する。新たな資源を求め、満州、中国侵略。日中戦争へ。
全体主義(ファシズム)とは?
政治団体が巨大資本と結びつき、経済を統制。民族感情に訴え、異民族を排除しようとすることで、団結力を強める考え方。
社会主義 (ソ連) |
資本主義 (アメリカ・イギリス・ドイツ・イタリア・日本) |
|
---|---|---|
恐慌の影響受けず | 国力に余裕あり | 国力に余裕なし |
アメリカに次ぐ工業国へ | 自力回復可能 (植民地と豊富な国内資源) |
自力回復不能 (植民地・国内資源なし) |
↓ 全体主義(≒軍国主義)へ |
日本の中国侵略
世界恐慌の後、自力で経済回復が困難となった日本は全体主義国へと舵を切りました。1930年のロンドン会議で軍縮が決まったものの、これに反対する軍部や国家主義者は首相を襲ったり、満州への進出を主張するようになります。そして、軍部の政治への発言権は次第に強まり、日本全体に軍国主義が広まっていきました。
満州事変(1931年)
日本軍(関東軍)が奉天郊外の柳条湖で日本が利権を持つ南満州鉄道の線路を爆破(南満州鉄道爆破事件)し、これを中国軍の仕業として戦いを始め、満州を占領。1932年に満州国を建国した。満州は日本の生命線と軍部は主張。
【結果】国際連盟は爆破事件現場にリットン調査団を派遣。満州事変は日本の侵略行為と断定され、国際連盟総会で認められた。日本はこれを不服とし、1933年に国際連盟を脱退した。
五・一五事件(1932年)
1932年5月15日、海軍将校らが犬養毅首相を暗殺。政党政治が終わりを告げた。
二・二六事件(1936年)
1936年2月26日、陸軍の青年将校軍部政権樹立を目的にクーデターを計画。首相や大臣を襲撃、高橋是清ら暗殺される。軍部が東京中心部を占拠。
日中戦争(1937年~1945年)
北京郊外の盧溝橋での中国軍との衝突(盧溝橋事件)をきっかけに日中戦争が勃発。軍部は独断で戦線を拡大し、南京を占拠。しかし、蒋介石率いる中国国民党政府は次々と遷都し、終わりの見えない戦争へ。中国共産党は国民党との抗争を一時中断し、国民党と協力し、抗日民族統一戦線を結成(国共合作)する。
強まる戦時体制
- 国家総動員法(1938年):資源と国民の全てを戦争に動員できる法律
- 大政翼賛会(1940年):政党や政治団体を解散し、国民を戦争に動員する為に再結成された機関
- 生活必需品:米は配給制となり、砂糖、マッチ、木炭などは切符制となる
- 朝鮮・台湾の皇民化:日本語の使用と創氏改名
第二次世界大戦(1939年~1945年)
ドイツは1938年、オーストリア、チェコスロバキア西部を併合、さらに1938年にはポーランドに侵攻します。これに対し、イギリスとフランスが宣戦布告し第二次世界大戦が始まりました。1940年にドイツ、イタリア、日本は日独伊三国同盟を結び、そのファシズム国(枢軸国)対 反ファシズム国(連合国)という構図の戦いになります。このことは、日本がさらに太平洋戦争へと進んでいく引き金にもなりました。
ドイツの戦況
開戦当初、ドイツは北ヨーロッパや西ヨーロッパの国々を攻撃し、有利に戦いを進める。パリを占拠、フランス降伏させる。ヨーロッパのほとんどを支配下におき、占領政策を行う。ドイツ国内ではユダヤ人を徹底的に差別し、アウシュビッシュ強制収容所に送った。これに対し、ヨーロッパ各地でドイツへの協力拒否や武力による抵抗運動(レジスタンス)が起こる。1941年には独ソ不可侵条約を破ってソ連に侵攻します。しかし、1943年、スターリングラードの戦いで大敗する。
連合国の対応
アメリカのルーズベルト大統領とイギリスのチャーチル首相が1941年、第二次世界大戦後の国際協調の基本構想を示した大西洋憲章を発表した。
太平洋戦争(1941年~1945年)
長期化する泥沼の日中戦争を終わらせる為には、イギリス領のビルマ(ミャンマー)、またフランス領のベトナム方面から中国への補給路(援蒋ルート)を断つこと以外に手段が残されていなかった。そこで日本は武力による南進を開始した。開戦に備え、1941年にソ連との間で日ソ中立条約を結んだ他、同年には、日本の南進の大義名分として、大東亜共栄圏を提唱した。
大東亜共栄圏構想とは
欧米の帝国主義に基づく植民地支配下にあった東南アジアの各国を解放し、日本を盟主とした共存共栄のアジア経済圏をつくろうという主張。
開戦へ
日独伊三国同盟への対抗処置として、アメリカ・イギリス・オランダが中国を支援するために日本への石油輸出を禁止(ABCD包囲陣)するなど、経済的な圧力を強めてきた。これに対し、国内では開戦への強硬論が高まり、1941年12月8日、アメリカの海軍基地を奇襲した(真珠湾攻撃)。同時にイギリスの植民地であったマレー半島へ上陸し、その後半年でタイを除く東南アジア地域全域を占領した。
強まる戦時体制
- 標語:ぜいたくは敵だ(1940年) / 欲しがりません、勝つまでは(1942年)
- 学徒出陣(1943年):兵力の不足から、文系大学生を戦場へ。また、朝鮮・台湾でも徴兵令を実施。
- 勤労動員(1944年):成年男子の不足から、中学生以上の学生、生徒を仕事に就かせる。
- 学童疎開(1944年):日本本土への空襲が激しくなり、子どもを田舎へ集団で避難させる。
戦況の悪化
イタリア・ドイツの降伏。当初は枢軸国側が有利に戦争を進めていたが、1942年後半から連合国が反撃を開始。ソ連がドイツを破り、アメリカとイギリスがイタリアを降伏させる。フランス、パリも解放される。1945年、アメリカ、イギリス、ソ連の各首脳(ルーズベルト、チャーチル、スターリン)がソ連のクリミア半島でヤルタ会談を開き、ドイツの分割統治、東ヨーロッパの戦後処理が決まった。また、太平洋戦争の終結の為、ソ連の対日参戦を促した。このことは、現在まで続く北方領土問題の原因にもなっている。
終戦へ
ミッドウェー海戦(1942年)
日本はこの戦いで多くの戦闘機・空母を失い敗北。この後、日本軍は劣勢となる。
サイパン島陥落(1945年2月)
マッカーサーの蛙飛び戦法により、太平洋上の島々を次々に日本は失い、これらはB29爆撃機の発進基地となり、以降、日本の各都市への空襲が始まる。
東京大空襲(1945年3月)
B29爆撃機による無差別爆撃。被災者は100万人以上、死亡者は10万人を超えた。
沖縄戦(1945年4月~6月)
沖縄は日本本土で唯一の陸上戦となった(アメリカ軍が上陸)。県民12万人が犠牲に。女学生部隊である、ひめゆり部隊が負傷兵氏の看護で活躍。
ポツダム宣言(1945年7月)
アメリカ・イギリス・ソ連の首脳がドイツ、ベルリン郊外のポツダムで会談し、アメリカ・イギリス・中国の名でポツダム宣言を発表。日本の無条件降伏を要求。日本はこれを拒否。
原爆投下
- 広島:1945年8月6日
- 長崎:1945年8月9日
ソ連軍の満州侵攻(1945年8月8日)
日ソ中立条約の違反行為。中国残留日本人孤児が発生した原因。
ポツダム宣言受け入れを決定(日本の無条件降伏) 1945年8月14日
玉音放送(1945年8月15日)
ラジオを通して、天皇が肉声で敗戦を知らせる。国民はこれまで正確な戦況を知らされておらず、また初めて聞く天皇の声に驚いた国民も多かった。
歴史の学習
中学受験の多くを占める歴史は、年表や人物名など暗記部分が大量になります。年代ごとにまとめたり、人物にフォーカスして時代背景を学んだり、文化財や地理的要素から歴史を探るという方法もあります。膨大な知識が必要となる歴史ですが、興味のある角度から切り取っていくと案外スッと覚えることができます。
No. | テーマ | 内容 |
1 | 旧石器時代・縄文時代 |
旧石器時代、縄文時代の暮らしや文化を解説。 |
2 | 弥生時代 |
古代、弥生時代の暮らしや文化を解説。 |
3 | 古墳時代・飛鳥時代1 |
古代、古墳時代、飛鳥時代、氏姓制度、古墳時代の終焉から 聖徳太子の時代、飛鳥時代の始まりを解説。 |
4 | 飛鳥時代2・奈良時代1 |
古代、飛鳥時代、奈良時代、大化の改新、平城京、 聖武天皇と仏法などを解説。 |
5 | 奈良時代2・平安時代1・平安時代2 |
古代、奈良時代、平安時代、藤原氏の摂関政治、 浄土真宗、武士の台頭、源氏の進出を解説。 |
6 | 平安時代3・鎌倉時代 |
中世、平安時代、鎌倉時代、平氏、封建制度、 執権政治、承久の乱暮を解説。 |
7 | 室町時代 |
中世、室町時代、南北朝の動乱、 東アジアの情勢、経済、産業を解説。 |
8 | 戦国時代 |
中世、戦国時代、都市の発展、ヨーロッパの 状況や文化を解説。 |
9 | 安土桃山時代 |
中世、安土桃山時代、織田信長、豊臣秀吉、 徳川家康の天下統一を解説。 |
10 | 江戸時代1 |
近世、江戸幕府の成立、外交、鎖国、 徳川綱吉の時代を解説。 |
11 | 江戸時代2 |
近世、江戸時代、産業の発展と文化、 三大改革を解説。 |
12 | 江戸時代3 |
近世、江戸時代、ヨーロッパ諸国の市民革命、 産業革命を解説。 |
13 | 江戸時代4 |
近世、江戸時代、ペリー来航、大政奉還、 江戸幕府滅亡を解説。 |
14 | 明治時代1 |
近世、明治時代、明治維新、富国強兵、 文明開花を解説。 |
15 | 明治時代2 |
近世、明治時代、西南戦争、大日本帝国憲法の制定、 立憲国家を解説。 |
16 | 明治時代3 |
近世、明治時代、日清・日露戦争、産業革命、 日本の領土を解説。 |
17 | 大正時代 |
近代、大正時代、第一次世界大戦、 大正デモクラシーを解説。 |
18 | 昭和時代1 |
近代、昭和時代、、関東大震災、満州事変、 日中戦争、世界恐慌を解説。 |
19 | 昭和時代2 |
近代、昭和時代、領土、民主化政策、 第二次世界大戦を解説。 |
20 | 昭和時代3 |
近代、昭和時代、高度経済成長、第一次石油危機、 戦後の国際関係を解説。 |
21 | 平成1 |
現代、平成、バブル崩壊、冷戦、 文化、経済を解説。 |
22 | 平成2・令和 | 現代、平成、令和の経済、政権交代、東日本大震災など 日本を取り巻く環境を解説。 |
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