中学受験 歴史シリーズ。第8回目は『日本の歴史 – 戦国時代』です。
前回の講義『日本の歴史 – 中世(室町時代)』では、室町時代の文化や政治などについて見てきました。
もともと権力の弱かった室町幕府ですが、応仁の乱をきっかけに、幕府の力の衰えは決定的なものとなります。一方、力を強めてきたのが地方の守護大名たちです。さらに実力を強めた大名は戦国大名と呼ばれるようになり、自らの領国を自ら治め、富国強兵に務めます。もちろん、室町幕府はこの間も存続していますが、ほとんど存在感が無くなっており、室町時代の後半は、戦国時代と呼ばれています。実力だけがものを言う、下剋上(身分の下の者が実力で身分の上の者を倒す)の時代です。各地の戦国大名たちは勢力を競い合い、領地拡大、そして天下統一の為に、戦いを繰り広げます。そして、その戦いの世の中を終わらせたのが、織田信長と豊臣秀吉です。
それでは確認していきましょう。
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前回までの学習内容【おさらい】
本題に入る前に、前回までに学習したことをおさらいしましょう。歴史の学習は連続性が重要です。歴史の分野では毎回、復習問題をまず解いてから始めましょう。
問題1 新興武士の楠木正成、足利尊氏、【 】らの挙兵によって鎌倉幕府は1333年に滅ぼされた。
問題2 鎌倉幕府の滅亡後、【 】は建武の新政を行ったが、武士の不満が溜まり失敗した。
問題3 後醍醐天皇は吉野に逃れ、【 】を開いた。この後、約60年間、【 】時代が続いた。
問題4 1338年、【 】が征夷大将軍に任命され、室町幕府が開かれた。
問題5 室町幕府に置かれた、将軍を補佐する役職を【 】と呼ぶ。
問題6 南北朝の動乱を終わらせたのは三代将軍の【 】である。
問題7 漢民族がモンゴル民族を北方に追いやり、1368年に【 】が建国された。
問題8 朝鮮半島では1392年、高麗が滅ぼされ、【 】が建国された。
問題9 西国武士や漁師、商人の一部が中国の沿岸で海賊行為を行い、【 】と呼ばれ恐れられた。
問題10 日明貿易では、正式な貿易船であることを判別するために【 】という合い札が用いられた。
問題11 【 】は商工業者の同業者組合で、公家や寺社に税を納める一方、営業を独占した。
問題12 【 】は陸上の運送業者で、馬を使って物資や年貢を運んだ。
問題13 【 】は元は質屋であったが、高い利息で金を貸すようになった。
問題14 【 】は港などで荘園から徴収した年貢の保管や輸送を行った。
問題15 今の石川県で、浄土真宗の信者の農民が中心として起こった大規模な反乱は【 】である。
問題16 1467年から京都を中心に11年に渡って続いた戦いを【 】と呼ぶ。
問題17 問16が起きたときの将軍は【 】である。
問題18 問16の戦乱で中心となって戦った守護大名は細川氏と【 】である。
▼ 解答をみる
戦国時代
権力の中心が朝廷から幕府に変わっても、中央集権国家という仕組みには変わりはありませんでしたが、戦国時代には中央の力が弱まり、一つの国だった日本が、再び小国に分離した状態(分国)になります。皆さんはゲームやドラマなどで、戦国大名の名前を一人くらいは知っていると思います。その戦国大名一人一人が、地方で自分の国を治めていたというわけです。
戦国大名と分国支配
応仁の乱の騒乱により、地方では実力ある支配者が台頭します。守護大名は戦国大名へと変化し、身分の低い者が上の者を実力で打倒する下剋上の世の中となりました。
戦国大名
自らの力で作り上げた領国(分国)において独自の支配を行う地方権力。分国法を制定。鉱山開発、治水・灌漑事業なども行う。周防国、大内氏による石見銀山開発や甲斐国、武田氏の灌漑事業など。
武田信玄の言葉
「川を治めるものは、その国をも治める」
川の氾濫を防ぐための「信玄堤」。氾濫を防ぎ、米の収穫高を上げることが、自分の国を強くすることに繋がるから。
日本の歴史についてよく出題される問題を少し解いてみましょう。
問題 戦国大名の武田信玄は、どうして戦と関係ない堤防を建設したのでしょうか? 「川を治めるものは、その国をも治める」の言葉をヒントに考えてみましょう。
▼ 解答をみる
主な戦国大名
- 相模:北条氏(北条早雲)
- 甲斐:武田氏(武田信玄)
- 越後:上杉氏(上杉謙信)
- 駿河:今川氏(今川義元)
- 尾張:織田氏(織田信長)
- 安芸:毛利氏
- 土佐:長宗我部氏
都市の発展
戦国大名の居城の近くには上級武士、その外側に下級武士を住まわせた武家地を造り、さらに商人や職人を集めた町人地、そして外縁には城のように堅固な造りの寺や神社を集めた寺社地(寺町)を配しました。このような都市を城下町と呼びます。城下町は、そのまま今の県庁所在地になっているところも多く、城下町の面影が残るエリアは、今日では小京都(金沢市)や小江戸(川越市)と呼ばれ、観光資源となっています。また、寺の周囲に発展した都市を門前町、また交通の要所には宿場町、港町などが発展しました。
城下町
戦国大名の城の周囲に発展した町。
- 弘前・小田原・熊本・松本・金沢・松山・岡山…など。
※現存する城(天守閣) 姫路城・熊本城など
町(ちょう)
京都などの古い政治都市。富裕な商工業者である町衆により自治がなされ、応仁の乱で途絶えた祇園祭を復興させる。
門前町
有力な寺院の周辺に栄えた町。
- 長野:善光寺
- 宇治山田:伊勢神宮
- 成田:成田山新勝寺
- 琴平:金刀比羅宮
- 宇佐:宇佐八幡宮
港町・宿場町
港や宿場の周辺に栄えた町。徒歩で移動する時代、街道沿いには、一定距離ごとに旅人が休むための宿場が設けられた。
- 港町:堺・博多
- 宿場町:妻籠・奈良井(中山道:長野)関(東海道:三重)
ヨーロッパとの出会い
15世紀半ばになると、ヨーロッパは新たな領土を広げる為に、大航海時代を迎えます。その中でも、スペインとポルトガルが競って海へと乗り出していきます。また、16世紀初めから宗教改革の影響で、勢力を強めていたプロテスタント派に対抗する為、カトリック派は海外での新たな信者獲得を計画し、カトリック教国であるポルトガル・スペイン両国の航海に宣教師を同乗させ、両国が獲得した領土の住民への布教活動を開始した。そのために、16世紀中ごろになると、日本にまでたどり着くヨーロッパ人が現れます。彼らは日本に何をもたらしたのでしょうか。
当時のヨーロッパの状況
世界三大発明
活版印刷・火薬・羅針盤。元は中国発祥のものだが、イスラム圏を経由してヨーロッパにもたらされた。
ルネサンス
イスラム世界からもたらされた物品や文化が、ヨーロッパ世界に大きな影響を与えた事象の総称。日本語では文芸復興とも訳される。聖書が安価に民衆の手に渡るようになって、キリスト教に関する知識が民衆に根付いた。
宗教改革
カトリック教会の免罪符販売に対し、ルター、カルバンが批判。聖書の教えを重んじる、プロテスタント教会が誕生した。
大航海時代
アジアと直接貿易を行い、利益を得るために新航路の発掘に乗り出す。以前は陸のシルクロードを伝って、イスラム商人を介して貿易が行われていた。オスマン帝国を経由せざるを得ず、税が徴収されていた。また、宗教改革によって勢力が衰えていたカトリック教会が信者獲得の為に海外進出した。
コロンブス(イタリア人・スペインが支援)
1492年、西インド諸島に到達(勘違い)。アメリカ大陸発見のきっかけとなった。 ※ポルトガルは支援を断る
パスコ・ダ・ガマ(ポルトガル人・ポルトガルが支援)
1498年、アフリカ南端喜望峰周りでアジアへ。アジア航路の開拓につながった。 ※ポルトガルは当時ヨーロッパ一の強大国へ
マゼラン一行(ポルトガル人・スペインが支援)
1522年、世界一周を成し遂げる。但し、マゼランはセブ島で殺害(キリスト教を布教した為)。よって厳密には、世界一周したのはマゼランの仲間たち。
日本にもたらされたもの
鉄砲(1543年)
【変化】築城方法、戦い方
種子島(鹿児島県)にて、ポルトガル人によって伝えられた。かつては、山の上の城(山城)が中心だったが、戦国時代になると、平野に巨大な天守閣を持つ城に変化した。戦い方は一騎打ち(個人戦)から、集団戦へ。足軽(※)が戦闘で大きく活躍するようになる。
※足軽:元は「歩行が素早い歩兵」の意味で、奇襲戦法に使われた農民や浮浪人。応仁の乱では、京都で放火や略奪を働いたが、戦国時代になると鉄砲隊として訓練、組織されるようになる。
キリスト教(1549年)
【変化】キリスト教の浸透(キリシタン大名)
フランシスコザビエル(スペイン人宣教師:イエズス会(※))が鹿児島県種子島に上陸。天正遣欧少年使節(ローマ教皇に会いに行く子どもの使節)が日本を出発。
※イエズス会:カトリックの腐敗による宗教改革で勢力を拡大するプロテスタントに対抗。
南蛮貿易(南蛮:ポルトガル・スペイン)
- 場所:長崎・大分・平戸
- 輸出:刀剣・銀・漆器・海産物
- 輸入:鉄砲・火薬・香料・絹織物
※南蛮文化:当時のヨーロッパのことを南蛮と呼んだ。
【結果】九州地方の大名を中心に、新たな知識、新たな武器を手に入れるきっかけとなり、戦国時代の終焉、そして日本の近代化を進める上での大きな影響を残す。
歴史の学習
中学受験の多くを占める歴史は、年表や人物名など暗記部分が大量になります。年代ごとにまとめたり、人物にフォーカスして時代背景を学んだり、文化財や地理的要素から歴史を探るという方法もあります。膨大な知識が必要となる歴史ですが、興味のある角度から切り取っていくと案外スッと覚えることができます。
No. | テーマ | 内容 |
1 | 旧石器時代・縄文時代 |
旧石器時代、縄文時代の暮らしや文化を解説。 |
2 | 弥生時代 |
古代、弥生時代の暮らしや文化を解説。 |
3 | 古墳時代・飛鳥時代1 |
古代、古墳時代、飛鳥時代、氏姓制度、古墳時代の終焉から 聖徳太子の時代、飛鳥時代の始まりを解説。 |
4 | 飛鳥時代2・奈良時代1 |
古代、飛鳥時代、奈良時代、大化の改新、平城京、 聖武天皇と仏法などを解説。 |
5 | 奈良時代2・平安時代1・平安時代2 |
古代、奈良時代、平安時代、藤原氏の摂関政治、 浄土真宗、武士の台頭、源氏の進出を解説。 |
6 | 平安時代3・鎌倉時代 |
中世、平安時代、鎌倉時代、平氏、封建制度、 執権政治、承久の乱暮を解説。 |
7 | 室町時代 |
中世、室町時代、南北朝の動乱、 東アジアの情勢、経済、産業を解説。 |
8 | 戦国時代 |
中世、戦国時代、都市の発展、ヨーロッパの 状況や文化を解説。 |
9 | 安土桃山時代 |
中世、安土桃山時代、織田信長、豊臣秀吉、 徳川家康の天下統一を解説。 |
10 | 江戸時代1 |
近世、江戸幕府の成立、外交、鎖国、 徳川綱吉の時代を解説。 |
11 | 江戸時代2 |
近世、江戸時代、産業の発展と文化、 三大改革を解説。 |
12 | 江戸時代3 |
近世、江戸時代、ヨーロッパ諸国の市民革命、 産業革命を解説。 |
13 | 江戸時代4 |
近世、江戸時代、ペリー来航、大政奉還、 江戸幕府滅亡を解説。 |
14 | 明治時代1 |
近世、明治時代、明治維新、富国強兵、 文明開花を解説。 |
15 | 明治時代2 |
近世、明治時代、西南戦争、大日本帝国憲法の制定、 立憲国家を解説。 |
16 | 明治時代3 |
近世、明治時代、日清・日露戦争、産業革命、 日本の領土を解説。 |
17 | 大正時代 |
近代、大正時代、第一次世界大戦、 大正デモクラシーを解説。 |
18 | 昭和時代1 |
近代、昭和時代、、関東大震災、満州事変、 日中戦争、世界恐慌を解説。 |
19 | 昭和時代2 |
近代、昭和時代、領土、民主化政策、 第二次世界大戦を解説。 |
20 | 昭和時代3 |
近代、昭和時代、高度経済成長、第一次石油危機、 戦後の国際関係を解説。 |
21 | 平成1 |
現代、平成、バブル崩壊、冷戦、 文化、経済を解説。 |
22 | 平成2・令和 | 現代、平成、令和の経済、政権交代、東日本大震災など 日本を取り巻く環境を解説。 |
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