中学受験 歴史シリーズ。第2回目は『日本の歴史 – 古代(弥生時代)』です。
前回の講義『日本の歴史 – 旧石器時代・縄文時代』では、旧石器時代から縄文時代の家・食料・生活などの変化について見てきました。
残酷なことを言うようですが、日本の歴史で最も豊かで、平和だった時代は早くも終わりを告げます。今回勉強する弥生時代からは、戦いの時代、そして貧富の差が広がり、支配するものと支配されるものの時代に入ります。この先、約2000年以上もの間、私たち一般民衆は、天皇や将軍と言った権力者に支配され搾取され続けるのです。一体、どうしてそんなことになってしまったのでしょうか。
実は、その原因は、皆さんが大好きな米にありました。一体それは、どういう意味でしょうか?そして、この時代から、いま私たちが住んでいる「日本」というものが徐々に形作られていきます。今、私たちが漠然と暮らしている「日本」とはどこからやってきたのでしょうか?
それでは確認していきましょう。
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前回までの学習内容【おさらい】
本題に入る前に、前回までに学習したことをおさらいしましょう。歴史の学習は連続性が重要です。歴史の分野では毎回、復習問題をまず解いてから始めましょう。
問題1 長野県の【 】遺跡からはナウマンゾウやオオツノシカの骨が見つかった。
問題2 群馬県の岩宿遺跡で【 】が発見されたことで、日本に旧石器時代の存在が認められた。
問題3 縄文時代の名前の由来になっている縄文土器には【 】の模様が付けられている。
問題4 縄文土器の特徴は、【 】で【 】ことである。
問題5 縄文時代の人々は台地に【 】住居を建てて、そこに暮らしていた。
問題6 縄文時代の人々が捨てた貝殻や不用物が積もって出来た【 】から、当時の生活を知ることが出来る。
問題7 縄文時代の大規模集落が発掘された青森県の遺跡は【 】遺跡である。
問題8 下の写真は縄文時代の人々がまじないに使っていたと思われる【 】である。
問題9 1185年は【 】世紀である。
問題10 1900年は【 】世紀である。
▼ 解答をみる
弥生時代(BC5~AD3頃)
道具の変化
弥生時代の名前の由来は弥生土器です。最初の土器が1884年、弥生町遺跡(東京都)から発見され、その地名にちなんで弥生(町)式土器と名付けられ、「弥生(式)土器が使われた時代を弥生(式)時代」と呼ぶようになったのが始まりです。今では式を付けることはありません。縄文土器と比べると形・装飾が簡素で、薄くて硬いという特徴があります。つまり、技術が進歩して、より高い温度で焼けるようになった)ということです。その他にも技術の進歩で、いくつかの道具が新たに作られるようになりました。
弥生土器
縄文土器より丈夫。実用的な形。薄くて赤っぽい色。煮炊き用のかめ、穀物貯蔵用のつぼなど、いくつかの種類がある。
金属器
- 青銅器(銅鐸・銅矛・銅剣):祭りや飾りのために使用。青銅は柔らかく、実用的ではない。
- 鉄器(鉄剣・矢じり・くわ・すき・おの):戦い、農作業のために使用。
新しい土器の製造法の他、金属鋳造の技術は、朝鮮半島から渡って来た人(渡来人)によってもたらされました。地理的要因から、九州北部から広まっていったと考えられています。詳しくはこの後紹介します。
稲作のはじまり
私たちが日々当たり前のように食べている米ですが、実は日本人が米を食べだしたのは、弥生時代からなのです。つまり、弥生時代から稲作が始まったのです。稲作が始まったことで、人々の生活、社会、文化は大きく変わることになります。どのように変化するのか、考えながら学習しましょう。
稲作の伝来
米は日本由来のものではない。原産はインド北東部~中国南部、朝鮮半島を経由して、本来は暖かい土地の植物(復習:地理 日本の米作り)。つまり誰かが海を渡って日本にやってきた。
土井ケ浜遺跡(山口県)
- 縄文人より明らかに背の高い人骨が出土
- 稲作の形跡あり
- 人骨に矢じりが打ち込まれているものがあった。
稲作の様子
道具:田げた・くわ・すき(耕す)、石包丁(収穫)。田植えは種もみを直撒きしていた。
登呂遺跡(静岡県)
- 8万㎡を越えるの水田跡
- 井戸の跡、竪穴住居・高床倉庫の遺構
※高床倉庫:収穫した稲の貯蔵、階段にネズミ返しという工夫が見られ、ネズミの侵入を防いでいる - 稲作や狩猟の為の道具が発掘される
縄文人と弥生人の違い
縄文人は成人男性でも155センチ前後、成人女性で150センチ弱と現代人よりも背が低く、彫りが深い顔立ちで、眉毛は濃く、目は大きめで、まぶたは二重、唇はやや厚めで顎の骨が発達しているという特徴があります。そのような特徴から、縄文人は東南アジアに起源があるのではないかと漠然と考えられています。一方で、弥生人は平均身長が162〜163センチぐらいで、縄文人よりも高い。また顔がのっぺりとしており、歯のサイズも縄文人より大きくなっています。これらの人々は、朝鮮半島や中国方面から海を渡ってきたと考えられています。また、もともと日本列島に住んでいた縄文人との混血も進み、現在に至る日本人が形成されていったと考えられています。
つまり、朝鮮半島から渡来人が九州北部に入り、様々な技術の他に、稲作ももたらしたのです(約2300~2400年前)。その他の遺跡の調査の結果、3世紀頃までに東北北部まで広まったと考えられています。
ムラからクニへ
生活や社会の変化(縄文時代との違い)
稲作が始まったことで、人々の生活は縄文時代から大きく変わりました。どのように変わったのか、これまで学習した事柄からもうかがい知ることが出来ます。
問題1 縄文時代から弥生時代で変化したことを考えてみましょう。
ヒント
① 縄文時代は台地に住んでいた
② 高床倉庫の存在
③ 矢じりの打ち込まれた骨
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板付遺跡(福岡県)
死者によって埋葬方法が異なっている。銅剣・銅鉾等(青銅器)が入った豪華な墓(金持ち)。首のない人骨や、矢じりが刺さったままの骨。
吉野ヶ里遺跡(佐賀県)
日本最大級の環濠集落。敵の侵入を防止するため、集落の周りに深さ3.5m、幅6mくらいの濠があります。物見やぐらも存在しています。
稲作を始めたことで、収穫量の大小でムラの中にも貧富の差が生まれるようになりました。富んだものはムラのリーダー(頭:かしら)となります。そして、貧しいムラが豊かなムラに攻め込むようになります。つまり、ムラとムラでの戦いが始まるようになったのです。また、ムラには豊作などを占う、祈祷師が存在していたと考えられています。戦いであるムラが別のムラを征服し、どんどん大きくなっていき、後にクニと呼ばれるようになります。
中国史に見る日本
ここまで、皆さんは、遺跡とセットで日本の歴史を勉強しました。この時代、日本の歴史書はまだほとんど無く、神話の世界です。しかし、中国では既に歴史書が存在しており、その中で日本に関する記述が存在します。ここから先は、もちろん遺跡も重要ですが、遺跡+歴史書をセットで覚える必要があります。歴史書を解き明かすことで、その時代の様子がより鮮明にわかるようになります。
「漢書」地理志
紀元前後、倭には100あまりの小国があり、楽浪郡経由で漢に使いを送る国もあった。中国が漢の皇帝によって治められていた時代。楽浪郡とは、朝鮮半島南部の群。日本が、倭と呼ばれていたことがわかる。
「後漢書」東夷伝
1世紀半ば、奴国の使者が後漢にやってきて金印を授かる。福岡県志賀島にて発見。漢委(倭)奴国王(かんのわのなこくおう)の文字。中国が後漢の皇帝によって治められていた時代。東夷とは、中国からみて東側にある未開の土地の人、異民族の意味(皇帝の支配が及んでいない)。
日本の歴史についてよく出題される問題を少し解いてみましょう。
問題1 漢委(倭)奴国王とはどういう意味でしょうか?
▼ 解答をみる
「魏志」倭人伝
3世紀に邪馬台国の卑弥呼が30ほどの国々を従え、魏に朝貢して、皇帝から親魏倭王の称号と金印、銅鏡100枚を授かる。(三角縁神獣鏡か?)魏とは、中国が3つの国に分かれ戦っていた時代の国の一つ。三国志に登場する魏と同じ。ゲームで親んだ人も多いのでは?朝貢とは、中国の朝廷に貢ぐことで、中国に認めてもらうという、古来からの中国との交易のかたち。漢委奴国王の金印も同じ。
邪馬台国の存在
女王卑弥呼がクニを治める。争いが絶えず、卑弥呼が王に。呪術で争いが収めたとされる。魏志倭人伝にある方角に誤りがあり、場所が特定できない。九州北部か、奈良か?で議論が続いているが答えは出ていない。天皇が統治する日本国のルーツと思われるが、邪馬台国以後、100年先の大和政権まで記述無い(空白の1世紀)。
歴史の学習
中学受験の多くを占める歴史は、年表や人物名など暗記部分が大量になります。年代ごとにまとめたり、人物にフォーカスして時代背景を学んだり、文化財や地理的要素から歴史を探るという方法もあります。膨大な知識が必要となる歴史ですが、興味のある角度から切り取っていくと案外スッと覚えることができます。
No. | テーマ | 内容 |
1 | 旧石器時代・縄文時代 |
旧石器時代、縄文時代の暮らしや文化を解説。 |
2 | 弥生時代 |
古代、弥生時代の暮らしや文化を解説。 |
3 | 古墳時代・飛鳥時代1 |
古代、古墳時代、飛鳥時代、氏姓制度、古墳時代の終焉から 聖徳太子の時代、飛鳥時代の始まりを解説。 |
4 | 飛鳥時代2・奈良時代1 |
古代、飛鳥時代、奈良時代、大化の改新、平城京、 聖武天皇と仏法などを解説。 |
5 | 奈良時代2・平安時代1・平安時代2 |
古代、奈良時代、平安時代、藤原氏の摂関政治、 浄土真宗、武士の台頭、源氏の進出を解説。 |
6 | 平安時代3・鎌倉時代 |
中世、平安時代、鎌倉時代、平氏、封建制度、 執権政治、承久の乱暮を解説。 |
7 | 室町時代 |
中世、室町時代、南北朝の動乱、 東アジアの情勢、経済、産業を解説。 |
8 | 戦国時代 |
中世、戦国時代、都市の発展、ヨーロッパの 状況や文化を解説。 |
9 | 安土桃山時代 |
中世、安土桃山時代、織田信長、豊臣秀吉、 徳川家康の天下統一を解説。 |
10 | 江戸時代1 |
近世、江戸幕府の成立、外交、鎖国、 徳川綱吉の時代を解説。 |
11 | 江戸時代2 |
近世、江戸時代、産業の発展と文化、 三大改革を解説。 |
12 | 江戸時代3 |
近世、江戸時代、ヨーロッパ諸国の市民革命、 産業革命を解説。 |
13 | 江戸時代4 |
近世、江戸時代、ペリー来航、大政奉還、 江戸幕府滅亡を解説。 |
14 | 明治時代1 |
近世、明治時代、明治維新、富国強兵、 文明開花を解説。 |
15 | 明治時代2 |
近世、明治時代、西南戦争、大日本帝国憲法の制定、 立憲国家を解説。 |
16 | 明治時代3 |
近世、明治時代、日清・日露戦争、産業革命、 日本の領土を解説。 |
17 | 大正時代 |
近代、大正時代、第一次世界大戦、 大正デモクラシーを解説。 |
18 | 昭和時代1 |
近代、昭和時代、、関東大震災、満州事変、 日中戦争、世界恐慌を解説。 |
19 | 昭和時代2 |
近代、昭和時代、領土、民主化政策、 第二次世界大戦を解説。 |
20 | 昭和時代3 |
近代、昭和時代、高度経済成長、第一次石油危機、 戦後の国際関係を解説。 |
21 | 平成1 |
現代、平成、バブル崩壊、冷戦、 文化、経済を解説。 |
22 | 平成2・令和 | 現代、平成、令和の経済、政権交代、東日本大震災など 日本を取り巻く環境を解説。 |
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