中学受験 地理シリーズ。第10回目は『世界から見た日本の人口』です。
前回の講義『日本各地の気候』で、日本の地理的要素の大まかな部分の学習は終了しました。しかし、日本の国土は自然環境だけでは成り立ちません。そこに住む、我々日本人が活動しているからこそ、生活が営まれ、産業が生まれるわけです。そして、人口が増えること、また減ることにより様々な問題が発生します。
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日本と世界の人口
世界の人口の人口の6割はアジア地域に集中しています。人口密度もアジア地域が高く、これらは稲作と関係があります。日本は世界からみても人口密度の高い国です。人口数だけでなく、人口密度、人口の増減の理由もふまえて理解を深めておきましょう。
世界の人口
いきなりですが、世界にはどれくらいの人々が住んでいるか知っていますか?
物知りな人なら、そんなの簡単と答えるかもしれませんね。2022年現在の世界の人口はおよそ79億5400万人です。80億人弱と覚えておけば差し支えありません。世界の人口は今も増え続けており、近いうちに100億人を突破するでしょう。
そして、世界で最も人口が多い国も、ほとんどの人が知っているでしょう。お隣、中国(中華人民共和国)です。そして、2位はインド、3位がアメリカ(アメリカ合衆国)というくらいまでは、やはり一般常識として知っておきたいところです。世界の人口トップ5と日本の順位を確認しておきましょう。
世界の人口 ランキング
[第1位] 中国 約14億4,850万人
[第2位] インド 約14億66万人
[第3位] アメリカ 約3億3,480万人
[第4位] インドネシア 約2億7,910万人
[第5位] パキスタン 2億2,950万人
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[第10位] メキシコ 1億3,160万人
※2022年現在
え?と思われた人も多いかもしれません。日本が上位10位ランキング外に転落しました。最新の統計を見ると、メキシコと僅差で11位となっています。
世界の人口をランキング形式で紹介していますので、下記記事をご覧ください。
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世界の人口についてよく出題されている問題を少し解いてみましょう。
問題1 世界の人口はますます増加していますが、増加している原因と増加することによる問題点を書きなさい。
▼ 解答をみる
この手の出題では、普段から如何にニュースや環境問題に触れているかにかかっています。社会の勉強は教科書が全てではありません。常日頃から、幅広い視野を持って生活してください。
おすすめは、朝日新聞社の朝日小学生新聞(毎朝発行・カラー8ページ・月ぎめ2,100円)
毎日活字を読む習慣をつけるにはもってこいですし、何より時事問題に強くなりますよね。ボリュームもちょうどいいです。是非、検討してみてください。
日本の人口
2022年現在の日本の総人口はおよそ1億2,560万人です。もちろん、このような細かい数値を覚えても意味がありません。日本の人口は約1億3千万人と覚えましょう。ただし、日本の人口が1億3千万を超えたことは過去に一度もありません。
日本の人口についてよく出題されている問題を少し解いてみましょう。
問題1 これから日本の人口は増える?それとも減る?
▼ 解答をみる
ここまでの流れから、なんとなくわかってしまう人が多いとは思いますが、教室でこの質問を生徒(カリキュラム進度上小学4年生~5年生)に投げかけると、案外間違える生徒がいます。これで、普段からニュースに触れているかどうかが一発でわかってしまいます。
- この問題を間違える生徒は、社会がそもそも得意ではなかったり、記述問題で足をずっと引っ張る傾向にある!
「増える」と答える生徒は、日本がこれからもまだまだ発展するスゴイ国であるという思い込みがあるように見えますが、戦後日本の成長は止まってしまいました。悲しいかな、日本は既に衰退期なのです。
こういうことを言うと、そんなわけがないと言い張る愛国心のある生徒もいますが、2019年~2020年にかけて、約27万6千人が減少しており、これは戦後最大幅の人口減となっています。江戸時代末期以降、基本的に増加傾向にあった日本の人口ですが、2008年をピークに減少に転じたのです。
日本の人口の歴史
日本では、戦後すぐの1947年から1949年にかけて出生数が大きく増加しています。戦争が終結して、平和な時代が到来し、子どもを持つ家庭が一気に増えたのです。この期間を第一次ベビーブームと呼びます。その後も人口が増え続けますが、第一次ベビーブームで生まれた子どもたちが親になり、再び子どもを持つとき、第二次ベビーブームが訪れました。1971年から1974年頃のことです。1970年代前半の日本は、高度経済成長の好景気の中にあり、豊かな時代でした。子どもたちには何人もの兄弟がいるのが当たり前の時代です。
しかし、それからおよそ20年後、第三次ベビーブームは訪れなかったのです。1990年代初頭の日本は、バブル経済崩壊後の不景気の中にあり、未だに景気回復の兆しは見られません。失われた10年と呼ばれていたものが20年になり、30年になってしまいました。この間に、養育費・教育費の問題から、子どもがいたとしても1人という核家族化(核家族:父、母、子ども1人の3人家族)が進みました。さらに、人々の価値観の変化、また女性の社会進出から結婚をしない人、結婚しても子どもを持たない家庭が増加しました。
現在、1人の女性が産む子どもの数(合計特殊出生率)は1.36人と極めて低くなっています(最低は1.26人の2005年)。現在の人口を維持するには2人は必要ですが、それに満たない限り、今後も人口の減少は続くのです。
日本の出生率についてよく出題されている問題を少し解いてみましょう。
問題1 子育ての負担を理由に子どもを持ちたくても持てない家庭が増えています。どのような対策をすればよいのか書きなさい。
▼ 解答をみる
2019年10月から幼児教育・保育の無償化(ただし、補助の上限金あり)が始まっています。しかし、共働き家庭の増加、また保育士の不足から保育施設の数が十分でなく、保育施設に入れない待機児童問題など、日本の子育て環境は大きな問題を抱えています。また一律の無償化ではなく、所得の低い家庭を優遇すべきという声も多くあります。
まとめ
今回は人口の基礎知識ということで、世界の人口と日本の人口の近年の流れを学習しました。単に今の人口の数値を覚えても何も意味はありません。どうして増えたのか、どうして減ったのか、「何故」という疑問を持つことが大切です。人口問題は、今の子どもたちにも非常に身近な問題でかつ、重要な問題です。家族での会話のネタとしても、どんどん活用してください。また、世界には日本と同じように人口が減っている国、逆に増えている国があります。それらにはどんな共通点があるのか、そしてどんな対策をしているのか、夏休みの調べ学習などを活用し、自主的に学ぶのも良いでしょう。
この章の関連問題
下記にてこの章の関連問題もご用意しました。
何度も解いて知識を体に染み込ませましょう。
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第10章の問題まとめ
Yotube動画で第10章『世界から見た日本の人口』の問題を解いてみましょう!全50問です。