時代に合わせて地図記号も進化しています
みなさんは昔、社会の時間に習った地図記号を覚えていますか?
実はそのせっかく覚えた地図記号が今は使われていなかったり、全く新しい記号が登場していることもあります。平成25年には、2万5千分の1地形図自体、それまでの三色刷りから多色刷りへ、大幅にリニューアルしています。久しぶりに地形図と接したときには違和感を感じるかもしれません。近年では地図を手に、ハイキングなどに出かける人もだいぶ減ったのではないでしょうか。しかし、いざ地図を手にしたときに、戸惑わない為にも、変化している地図記号や新しく出来た地図記号を簡単に紹介します。
※このサイトは広告が含まれております。リンク先の他社サイトにてお買い求めの商品、サービス等について一切の責任を負いません。
地図記号の移り変わり
明治時代から現在までの地図記号の移り変わりを時系列で表にまとめてみました。
「畑」の地図記号の歴史
V印の誰もが知っている畑のマーク。しかし、少し世代の古い方の中にはこの記号を知らないという人が存在します。実は現在の畑の地図記号が設定されたのは昭和40年と意外と最近なのです。では、それ以前のマークはどうだったかというと、無記号。これは、軍事行動に畑は支障が出ないという理由からだそうで、陸軍参謀本部が地図を作製した時代の名残と言えるのではないでしょうか。
「郵便局」の地図記号の歴史
これもお馴染みの地図記号。郵便マークと言えば〒ですね。当たり前過ぎて、その意味すら考えない人も多いと思います。この由来はカタカタのテであり、郵政省の前身である逓信省の「テ」から来ているわけですが、今もなお変更されることなく、生き続けています。しかし、明治24年~42年頃にかけて、封筒マークに変更されていた時代もあります。今考えると、封筒マークのままの方が、外国人などにもわかりやすかったのではないかと思ってしまいます。
「病院」の地図記号の歴史
盾に十字マークの病院。キリスト教の十字軍のようにも見え、個人的には何か違和感を感じるのですが、これもかつては若干、デザインが異なりました。当初は十字のデザインはなく、明治24年に初めて十字のマークとなります。このときには、周りの盾型の囲いがなく、薬局のような印象です。
「自衛隊」の地図記号の歴史
あまり馴染みのない地図記号です。自衛隊の地図記号を書ける人はどれくらいいるでしょうか?さて、現在の自衛隊の地図記号は旗に横線1本というシンプルなものですが、昭和30年~40年頃にかけては、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊でそれぞれ異なる旗のデザインでした。
「灯台」の地図記号の歴史
工場、発電所、灯台・・・・と似たものシリーズの地図記号。どれがどれだかわからなくなると悲鳴が聞こえてきますが、実は灯台、昔の方がわかりやすかったんですね。明治16年に地図記号が制定された当初は、塔のてっぺんから光を放つような、より灯台らしいデザインでした。その後も、歯車マークになる前は、光を放つ方向に線が鋭く尖っているデザインでした。
「竹林」の地図記号の歴史
今でも言われなければなかなか理解できないような竹林の地図記号。しかし、以前はもっとわかりにくいものでした。昭和35年以前は、もっと柔らかいタッチで描かれていて、まるでヤシの木のようにも見えますね。
「温泉」の地図記号の歴史
日本人の大好きな温泉、温泉まんじゅうの焼き印と同じくの地図記号。定番中の定番です。しかし、この記号、何故かマイナーチェンジを繰り返しています。ちなみに現在使われている温泉のマークは8代目。これほどまでにコロコロとデザインを変える地図記号は他にあるでしょうか。
廃止された地図記号
時代の変化とともに消えていく地図記号もあります。そのいくつかを紹介します。
銀行の地図記号[廃止]
私たちに身近な存在の銀行ですが、銀行の地図記号を習った人とそうでない人に分かれるのでは?と思います。実は銀行の地図記号は昭和30年以降、廃止されています。ただし、1万分の1縮尺の地形図では引き続き使用されています。
古戦場の地図記号[廃止]
これも昭和35年以降、廃止された地図記号です。しかし、筆者もかつて塾で教わったような記憶があるのですが、気のせいでしょうか??
牧場の地図記号[廃止]
これもありそうで存在しない地図記号。昭和40年に廃止されています。筆者も牧場のマークがこんな形をしていたことを初めて知りました。
塩田の地図記号[廃止]
かつては、瀬戸内海を中心に広く見られた塩田ですが、時代の流れと共に姿を消しています。それに呼応するように塩田の地図記号も昭和61年に廃止されました。
新しく誕生した地図記号
消えていく地図記号がある中で、新たに生まれてくるものもあります。最近誕生した地図記号を紹介します。
図書館の地図記号
その一つが図書館です。本を広げたようなわかりやすいデザインですが、これまだ存在しなかった方が不思議ですよね。誕生は平成14年です。
博物館の地図記号
こちらも平成14年に設定された地図記号です。ちなみに、私が受験勉強をしていた当時のテキストには既に掲載されていました。
老人ホームの地図記号
少子高齢社会の日本を反映しているかのような地図記号、平成18年に制定されました。いきなり、知らない地図記号が掲載されていると、一瞬、え?と戸惑いませんか?
自然災害伝承碑の地図記号
過去に起きた津波、洪水、火山災害、土砂災害等の自然災害の情報を伝える石碑やモニュメントを示します。制定は令和元年と現状、最も新しい地図記号です。子どもが知っているのに親が知らなかったということにならないようにしたいですね。